ダムなし未来の探求
2009/12/14
八ツ場ダム・川辺川ダム中止と、全国140余のダムの見直が示されてから、数ヶ月。まさに激動の情勢が続いている中で、今日は「ダムなし生活再建への道」をテ一マに群馬で開かれたパネルディスカッションに参加してきました。
「山もない、友もいない……ダムで豊かにならなかった」
「水になった村」の映画監督・写真家の大西暢夫さんの、全国のダム予定地を撮られた写真は、壊されてしまった、人々や子どもたちの暮らしや営みを切々と伝えていた。
「20年間ダム予定地を私は回っているが、まだ回りきれない。こんなにダムを作り続けなきゃならない社会は、どこかで変えなきゃならないんじゃないか、と思ってきた」
「故郷をやむなく離れ都会に住みながら、今日もどこかで、家族会議を開いて、印鑑を押そうか押すまいかと、苦しんでいる人がいる。そのことを忘れないでほしい」
「『そのときは、お金をもらってそれでいい、と私は思った。しかし都会に移り住んでみたら、山もない友もない家に鍵かけて閉じこもる、豊かになるはずがちっとも豊かにならなかった……』。こう嘆く、ダム現地から離れた人たちの声もたくさん聞いてきた」と静かに訴える大西さんのお話には、説得力がありました。
「治水のために必要」に真っ向反論 地元からも再建に意欲
水問題研究家の嶋津先生は、治水などをめぐって八ツ場の必要性を叫ぶ下流域の県での論調に対して、真っ向から反論。八ツ場ダムの治水効果は極めて小さいこと、ゲリラ豪雨とダムを結びつけるのも飛躍がありすぎること、雨の降り方によって違うのだから、治水は堤防整備こそが基本だ、と強調しました。
さらに、長野原町・草津市など地元の町議さんや関係者らも次々と発言。、財政状況の厳しさや、生活再建はまだまだこれからだということは前提にしながらも、“ダムなしでどうするのか”という角度で積極的・意欲的な取り組みを始めようとしていることが、発言からわかりました。
「ダムなしでこそ吾妻渓谷の自然を生かせる」「広大な国有地を特別に活用できる村おこしを考えようではないか」「地すべりなどの心配のない安全な地域振興策にしたいんだ」――地元からは、新しい動きが始まろうとしているのが明らかです。また下流の埼玉県のある町で、利根川の堤防整備を求める意見書を可決したとの発言もありました。
党埼玉県議会議員の山川すみえさんと共に
即刻、生活再建法の制定を
また会場には、政権党国会議員の秘書も参加。求めに応じて、「ダムなしの生活再建案を考えたい」「有識者会議で検討いただく」と発言しました。しかし渡辺洋子=八ツ場あしたの会事務局長からの質問には「生活再建法は再来年か、ウ一ンそれでは……」と、肝心の生活再建法の制定時期について明言せず、緊迫する一幕がありました。
これについてパネラ一からも、最後のマトメの発言で、「生活再建法が再来年なんてことになったら、八ツ場現地の生活再建は失敗に終わってしまう」と痛烈なメッセ一ジが発せられました。生活再建法を国は直ちに制定すべきです。もうこれ以上、住民を犠牲にできませんし、絶対にしてはならないのです。
「止めると決めた国は責任をもって、成功させるべき」
中止を言明したのですから、治水・利水の再検証とあわせて同時並行で、生活再建と地域振興策についての待ったなしの取り組みが、強く求められています。「止めると決めた国は責任を持って成功させるべき!」――これから、全国の再建モデルに「八ツ場」をしよう、という意気込みも語られました。
さあ、「八ツ場」の新たな闘いは始まったばかり。未来への探求です。政治には、その未来への責任があります。
○関連
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緊急 八ッ場のこれからを考える に走る
○参考
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生活再建へ支援を/八ツ場考える緊急集会
(09/12/15付「しんぶん赤旗」)(PDF)
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八ツ場ダム 筑西市議会が中止請願採択
(09/12/13付「しんぶん赤旗」)(PDF)
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