日本共産党 千葉県議会議員 みわ由美

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活動紹介


丸山慎一県議会議員(船橋市選出)の代表質問を紹介します

パネルを示して代表質問する丸山慎一県議会議員(船橋市選出)
パネルを示して代表質問する丸山慎一県議会議員(船橋市選出)
 6月定例千葉県議会で、日本共産党を代表して丸山慎一県議会議員(船橋市選出)が行った質問です。

 日本共産党を代表して質問いたします。
 初めに、知事の政治姿勢について伺います。
 その一つは3期目の県政運営についてです。
 千葉県ではこれまで、新産業三角構想をはじめ、千葉ニュータウンやつくばエクスプレス沿線開発、それらを結ぶ巨大な高速道路ネットワークの建設など大規模開発最優先の県政が進められてきました。その一方で、医師や看護師の数は全国最下位クラス、保育所待機児童も5000人をはるかに超え、特別養護老人ホームの待機者も1万1千人にのぼるなど、医療や福祉は大きく遅れています。「こうした状況を改善してほしい」というのが多くの県民の願いです。しかし3期目の森田県政はこの願いに応えるものとはなっていません。
 子育て世代への支援で、今議会の補正予算に保育士給与の引き上げ補助金が計上されていますが、これは貴重な第一歩です。しかし、「子育てするなら千葉県」という知事が目指している姿からすれば極めて不十分なものと言わざるを得ません。月2万円という助成額を見ても県の負担は1万円に過ぎず、半分は市町村負担を義務付けています。東京都は、今年度から月額4万4千円に補助を引き上げましたが、認可保育所と認定こども園などは都の全額負担で、市区町村負担はありません。全産業平均から10万円低い保育士給与の現実を見れば、せめて東京都並みの金額に引き上げるべきではないでしょうか。また、市町村が負担しなくても県の補助を実施できるように改善すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 補正予算では、医師確保で10人分、看護師確保で30人分、修学資金貸付事業の対象人数を増やしています。これも前進だとは思いますが、人数が少なすぎます。しかも看護師の貸付額は他の都道府県の半分程度で、全国で一番、額が少ない状況はまったく改善されていません。遅れた千葉県から脱出するためにも、貸付額を全国並みに増額し、貸付枠も大幅に増やすべきだと思いますが、お答えください。
 その一方で、介護人材の確保では、2月の当初予算でも今回の補正予算でも、介護職員に直接向けたものはまったくありません。しかし、事態は深刻です。昨年、県内では「介護・看病疲れ」による殺人が3人、自殺が7人に上っています。殺人といっても、ほとんどの場合、心中しようとして死にきれずに残されたり、「もう死にたい。殺してほしい」と言われて手にかけてしまったというものです。長い人生を生きてきて、その最後がこれでは、本当に悲しくてやり切れません。もしも特別養護老人ホームに入れていれば、もしもお金の心配なく十分な介護が受けられていたら、こうした事件は起きなかったはずです。知事は、介護疲れによる殺人や自殺についてどう感じていらっしゃいますでしょうか。また、政治の責任が大きいと考えますが、知事はどう思われるでしょうか。状況を改善しなければならないのに、介護職員の確保に直接効果のある新たな予算措置はまったくありません。これは知事の公約にも反するのではないでしょうか。お答えください。

 政治姿勢の2つめに、安倍総理の改憲発言について伺います。5月3日、安倍総理が改憲団体の集会にビデオメッセージを寄せ、そのなかで、憲法9条に自衛隊を明記する、2020年に改定憲法を施行して東京オリンピックの年を日本が生まれ変わる年にしたいなどと言いました。しかしこの国の主権者は国民です。総理は国民の主権者としての権限をゆだねられて政治を運営しているにすぎません。だからこそ、憲法99条で国民が決めた憲法に従って運営することが定められており、これがなければ国民主権自体が成り立ちません。知事は県議会で「憲法は最高法規であり、尊重し遵守することは知事として当然のこと」と答えています。その知事から見て、今回の安倍総理の発言は、どうお感じでしょうか。認識をお聞かせください。
 安倍総理は憲法9条について、今の自衛隊をそのまま認めるだけのように言っていますが、まったく事態は異なります。自民党の中から、9条第2項で定めている戦力不保持の例外規定として第3項に「ただし」書きで自衛隊を書き込む案が示されていますが、これによって第2項の効力は無きに等しくなり、自衛隊が文字通り戦力として動き出すことになります。自衛隊を戦力化する憲法改定について知事の見解を求めます。
 安倍総理が改憲発言でオリンピックを持ち出したことにも批判が広がっています。オリンピック憲章では、「オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すため」とされ、そのために「スポーツと選手を政治的または商業的に不適切に利用することに反対する」としています。今回の安倍総理の発言は最悪の政治利用であり、この規定に照らしても許されないものです。とりわけ千葉県は開催県の一つです。憲法改定に反対の人も賛成の人も、ともに心から歓迎できる平和の祭典にしていかなければならないと考えますが、知事の認識はどうか伺います。

 政治姿勢の最後に、テロ等準備罪、いわゆる「共謀罪」について伺います。先週の木曜日、安倍政権は委員会採決も省いて本会議にいきなり持ち込むという異常なやり方で「共謀罪」を強行成立させました。知事は選挙中、東京新聞への回答で「法案の内容について国会でしっかりとした議論がなされるべきだ」と答えていますが、今回の共謀罪をめぐる経過を見て、「しっかりとした議論がなされた」とお考えでしょうか。
 そもそも「共謀罪」は国民の「心の中」を処罰の対象にして、思想・信条の自由を奪う重大な危険性があることが国会の審議を通じて明らかになりました。「刑法」では、犯罪によって具体的な被害が生じた場合に初めて処罰するのが原則です。しかし「共謀罪」は2人以上で話し合い、「準備行為」をしたと捜査機関がみなせば、犯罪を実行しなくても処罰の対象になります。政府は「一般の人が対象になることはない」と言いますが、法案にはそんな歯止めはありません。「テロ対策」だという理由も、政府自身の最初の原案に「テロ」の文字がまったく入っていなかったことがこじつけであることを物語っています。こうした「共謀罪」は、たとえ数の力で成立させられても絶対に動かしてはならず、廃止しなければならないと考えますが、知事の認識をお聞かせください。

 次に大型開発について伺います。
 千葉県では、1960年代の極端な高度経済成長と同一歩調で、企業庁による臨海部の埋め立てを中心にした開発が進められ、1970年ごろから内陸工業団地の造成が広範囲に進められてきました。そのなかで企業庁が着手した25地区のうち8地区で事業が中止に追い込まれ357億円の損失となりました。残り、17地区でも5地区が赤字で、その合計は530億円にのぼっています。なかでも1990年代のバブル崩壊以降に着手した工業団地はひとつ残らず赤字です。経済情勢が激変したにもかかわらず、これまで通り無謀な巨大開発路線を突き進み続けたブレーキ無き暴走が傷口を大きく広げる要因となりました。
 見過ごせないのが「幕張新都心」や「千葉ニュータウン」「つくばエクスプレス沿線開発」という県が鳴り物入りで進めてきた大規模事業で、大きな赤字を出していることです。「幕張新都心」は685億円の赤字、「つくばエクスプレス沿線開発」は196億円の赤字、「千葉ニュータウン」にいたっては1249億円もの赤字を出しています。「採算が取れない大型開発は中止を」と求めてきた県民の声を振り切って、強引に進めてきた千葉県の姿勢は厳しく問われなければならないと考えますが、知事の認識をお聞かせください。
 千葉県は、こうした歴史からまったく学ばず、新たな大型開発に着手しようとしています。その一つが北千葉道路です。成田空港へのアクセス強化による生産性の向上や周辺道路の渋滞緩和、災害時の緊急輸送ネットワークの強化などがうたわれていますが、どのくらい生産性が向上するのか、どのくらい渋滞が緩和するのか、まったく示されていません。災害対策というのであれば、まずやらなければならないのは現在の緊急輸送道路沿道の建物の耐震化です。こうしたものを後回しにして、何千億円かかるかわからない道路建設に踏み出すのは順番が逆です。まずは既存道路の安全対策や耐震補強工事の推進などに力を入れるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 そもそも県として、全線での供用開始はいつ頃と考えているのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。人口も減り、右肩上がりの経済も収束しているときに何年先に開通するかわからないような大型開発事業に手を出すべきではないと考えますが、いかがでしょうか。

 新たに着手しようとしているのは北千葉道路だけではありません。
 今年1月に策定された「千葉港長期構想」は、大型化している外航船舶への対応やアクセス道路の混雑解消、コンテナ貨物の利用率の向上などを掲げた極めて大規模なもので、千葉県財政に大きな影響を及ぼすのは明らかです。しかし、大型船が必ず来る保証はなく、旅客船が来られるようにという計画も来るか来ないか、まったくわかりません。将来の貨物量では、20フィートコンテナ換算で10万個となっているコンテナ貨物の取り扱い量を、20年後には3倍、30年後には4倍にすることを目指すとしています。しかし、1月に行われた地方港湾審議会で県は、目標達成の根拠について具体的に答えることができませんでした。もしも具体的な根拠を示せるというのであれば、はっきりとこの場でお答えいただきたい。
 これほど根拠があいまいであるにもかかわらず、千葉中央地区では30haもの海域を埋め立て、道路を建設する計画になっています。葛南地区では巨大な橋を2本もかけて臨港道路を通そうとしています。しかもこのルートは第2湾岸道路とまったく同じものとなっています。港の整備にかこつけて、事実上、第2湾岸道路の建設が動き出すようなことはあってはならないと思いますが、お答えください。
 さらに問題なのは、どのくらい費用がかかるのか、まったく算定していないことです。大規模な埋め立てや2本もの巨大な橋をかければ事業費は数千億円単位になるのは目に見えています。これほどの超巨大事業であるにもかかわらず、概算さえ示さないで県民が納得すると思っているのでしょうか。お答えください。
 一方、長期構想では三番瀬海域について「干潟や浅瀬の保全」を掲げています。そのためにどういう方策を取ろうとしているのか、お聞かせください。再生計画を策定してからこの10年間、県自身による事業評価で最も遅れているのが、「三番瀬の再生・保全・利用のための条例の制定」と「ラムサール条約への登録促進」です。最初の事業計画でも新事業計画でも第3次事業計画でも、すべて「ほとんど達成されなかった」という評価になっているのは、この二つだけです。なぜこうした結果になってしまったのか、県としての取り組みのどこに問題があったのか、今後、どう改善しようとしているのか、お聞かせください。

 千葉港長期構想が想定している20年後、30年後の状況など、誰にも予測できません。根拠を示さなくていいのなら、いくらでも過大な想定を作れます。しかしそれによって使われるのは県民の莫大な税金であり、それを考えるべきです。幕張新都心やかずさアカデミアパークなど、これまでの大型開発に投じた公金は残念ながら取り戻すことはできません。しかし、北千葉道路の自動車専用部分や千葉港長期構想はまだ工事が始まっていません。過去の歴史から教訓を導き、過ちを繰り返さないよう根本から見直すべきではないでしょうか。知事の答弁を求めます。

 次に成田空港の機能強化について伺います。
 昨年9月、国土交通省と千葉県、空港周辺の9市町と成田国際空港株式会社の四者で構成される「成田空港に関する四者協議会」で、B滑走路の延伸とC滑走路の新設、深夜の飛行時間の拡大などを内容とする「成田空港の更なる機能強化」が、空港会社から示されました。
 これまで午前6時から夜11時までとしてきた飛行時間を、午前5時から翌日の深夜1時まで、3時間拡大するというものでした。飛ばない時間は現在の7時間から4時間に短縮されます。地域説明会では、深夜の飛行時間の拡大に猛烈な批判と反対の声が上がりました。「これ以上、睡眠時間が奪われるのは絶対に認められない」「健康被害を考慮しているとは思えない」など、住民のみなさんから出された声は当然のものでした。
 これを受けて空港会社は、今月12日、飛行制限の緩和について見直し案を示しました。内容は、当面、A滑走路の飛行時間を1時間延長し、C滑走路が完成したあとは、朝5時から夜11時までの「早番」と、朝6時半から深夜の0時半までの「遅番」を定期的に入れ替え、空港全体としては朝5時から深夜0時半まで運用するというものです。
 しかし、「早番」と「遅番」を入れ替えようが住民から見れば、一日の中で静かな時間が、深夜の0時半から早朝5時までのわずか4時間半になってしまうことになり、見直し前と大して変わりません。あまりにも非人間的で、まともな暮らしをすることはできません。それでも知事は人間らしい生活ができると考えているのでしょうか、お聞かせください。

 先日、住民のみなさんの案内で現地へ行き、実際に騒音を体感してきました。A滑走路の直下で、1分半から2分間隔で飛び立つ航空機の押し寄せてくるような轟音で話もできませんでした。横芝光町の中台区にある共同利用施設の騒音表示板は80dBを記録しました。この近所で生まれ、ずっとここで暮らしてきたという80歳の女性は、「夜は本当にうるさい。飛行機の音でテレビも電話も聞こえなくなる」と現状を話し、「孫のために息子が引っ越すので、近々転居することになった」と寂しそうでした。長い間、地域で暮らし地域を支えてきた人たちが、騒音被害のために住みなれた土地から出ていかなければならなくなる。これは住民追い出しと同じことです。こういう事態は本来、あってはならないと思いますが、どうでしょうか。騒音対策、環境対策として周辺対策交付金や防音工事への助成などはありますが、それで解決できるような問題ではありません。そこを終の棲家としてきた住民が、人生設計を変えざるをえないような苦渋の選択を迫られているのです。だからこそ個々の住民と向き合い、個別的、具体的な救済策を講じることが欠かせないと思いますが、お答えください。

 成田空港では、機能強化によって年間離発着回数の容量を、現行の30万回から50万回に大幅に増やす計画ですが、もしもこのまま実施されれば、環境悪化は計り知れないほど深刻になります。それは夜間の飛行時間が拡大することだけではありません。現在、夜10時台は1時間あたり10便に制限されていますが、機能強化によってこの便数制限がすべての時間で撤廃されます。第1段階のA滑走路の1時間延長だけでも、最大で1時間当たり60便ほどの離着陸回数が、深夜0時まで続くことになります。C滑走路が完成すれば0時30分まで時間が延長され、1時間当たりの最大容量は98便にまで拡大します。なぜ住民は、深夜に何十便もの騒音を我慢しなければならないのでしょうか。我慢の限界を超えた状況が生まれるのは明白だと考えますが、お答えください。

 そもそも、現行の午前6時から午後11時の飛行というのは、成田空港の開港時に当時の羽田空港の夜間飛行制限時間を参考に設定されたものです。羽田空港でも首都圏空港の機能強化の一環として、新たな都心ルートの検討が行われていますが、陸上を飛行する場合はこれまで通り、午前6時から午後11時が前提となっています。なぜ成田空港だけが、夜間飛行制限を緩和し、住民につらい思いをさせなければならないのでしょうか。明確な答弁を求めます。
 現行の飛行時間は、千葉県としても守るべき住民への約束です。2013年、飛行制限時間の弾力的運用が持ち込まれたときに取り交わされた「確認書」では、「弾力的な運用によって、なし崩し的に運用時間が拡大することのないよう、23時以降に新たなダイヤを設定しないこと」と明記されています。今回の飛行時間の拡大は、「確認書」の合意に反するものだと考えますが、「確認書」に名前を連ねている一人として、森田知事の認識はどうか、答弁を求めます。当然、県民への約束ですから、「確認書」にもとづいて、飛行制限の緩和は止めるよう強く求めるべきです。お答えください。

 次に、地域経済について伺います。
 千葉県経済を活性化させていくうえで、それを支えている中小企業と労働者の状況を改善することが欠かせないという認識は誰もが共通していることだと思います。
 総務省の調査によれば、2014年7月現在で千葉県内の中小企業数は12万8900社、実に県内全企業の99・8%を占めています。そこで働いている労働者は約102万人で、県内企業に勤めている労働者全体の78%に上ります。この数字を見ただけでも中小企業は千葉県経済にとって決定的ともいえる位置を占めているのは明らかです。
 ところが中小企業の現状は厳しく、働き手を確保できなかったり、同一業種の中での価格競争にさらされて適正な利益を上げられる環境にない企業が少なくありません。後継者が見つからず存続が危ぶまれている企業もあります。県は、こうした中小企業の置かれている実態について、どう認識しているのか伺います。
 若者のなかで、安定を求めて大企業志向が強まる中、中小企業の人材をいかに確保するのかは、企業の未来を左右する決定的な課題であり、中小企業が必要としている人材の確保と育成で県の果たすべき役割は極めて重大です。
 兵庫県では、中小企業の人材確保や若年者の県内での就職や定着を図るため、若手社員の奨学金返済を支援する中小企業への補助を始めました。学生時代に借りた高い奨学金に苦しんでいる若手労働者に対して返済支援制度を設けている中小企業に、年6万円を上限に、入社から3年間補助をする制度です。今年度予算で650社、1700人分として7900万円を計上していますが、毎日、問い合わせが来ていると話していました。千葉県でもこうした制度を実施すべきではないでしょうか。また、義務教育9年間のなかで県内の中小企業の果たしている役割や魅力を伝える努力を行い、地域の中小企業への就職定着を促進する取り組みなども検討する必要があると思いますが、どうでしょうか。
 従業員が数人程度の小規模企業は、多くのところで業務に追われる状態が恒常化しているため、様々な行政の支援制度なども把握しづらく、補助制度があることを知っても、申請書類の作成や役所への手続きなどができないことも少なくありません。小規模企業に対して、県が地域に出かけて行って行う丁寧な情報提供や申請事務への具体的な支援を進めることも重要だと考えますが、いかがでしょうか。中小企業、小規模企業への有効な支援を強め、活性化が県全体の経済発展につながるためにも、元気戦略や中小企業振興条例の検討を進めてきた「経済活性化推進会議」のような機関を設置し、県内各地域の特徴を生かして産業振興と中小企業の活性化を合わせて進められるよう体制強化を図るべきだと思いますが、どうでしょうか。

 いわゆる「働き方改革」に関して、1月の公労使会議では、少子化の要因の一つとして千葉県内の働き方について分析が行われています。千葉県の合計特殊出生率は1・32で全国を下回り、有配偶者出生率も全国より低く、未婚率は全国を上回っています。30歳から39歳の未婚者の所得分布では所得200万円未満の割合が、男性は25・1%、女性は40・3%となっており、所得が低いことが結婚を妨げている要因であることを浮き彫りにしています。労働時間でも千葉県は週60時間以上働く雇用者の割合が10・2%と全国より高く、通勤時間も98分で全国より23分も長く上から2番目で、これが家事や育児の時間をそぐ大きな要因となっています。こうした分析結果について県としてどう認識しているのか、お答えください。
 長時間労働や長時間通勤、非正規の正社員化と給与の引き上げなどの解決は、労働者の生活をより豊かにしていくだけではなく、千葉県の未来にとってもきわめて重要な課題となっています。県として、どのような手立てを取ろうとしているのか、伺います。いま国では、月に100時間未満の時間外労働を容認する労働法制の改悪を進めようとしていますが、長時間労働を助長することにもなりかねません。県として異を唱える必要があると考えますが、どうでしょうか。最低賃金も時給842円ではまともに生活することすらできません。思い切って引き上げるよう国に求めるべきだと思いますが、お答えください。

 労働者の賃金を確保することに関連して、千葉県から委託を受けて県庁で働いている民間労働者の給与についてお伺いします。県は、委託業者が社員に支払う給与について労働基準法や最低賃金法を順守することを義務付けています。しかし、それが守られていない事例が内部告発で寄せられました。県庁庁舎の警備業務で、実際に支払われている賃金は最低賃金さえ満たしていません。
 県は、2014年度から3年間、警備業務を東京に本社を置く「オーチュー」という会社に委託してきました。オーチューの警備社員は1年契約で、勤務形態に応じた賃金となっています。「日勤」「夜勤」のほかに「当務」と呼ばれる24時間勤務の3種類の勤務形態でシフトを作成し、8人でローテーションを組んでいます。「日勤」は8時30分から18時30分まで、休憩時間を除いた実働7時間30分で日給7000円。時給に換算すると933円でかろうじて千葉県の地域別最低賃金時給842円を上回っています。しかし「夜勤」は実働11時間45分で日給8000円、時給換算で681円にしかなりません。「当務」は実働16時間15分で日給1万3000円、時給に直すと800円にしかならず、ともに最低賃金を下回っています。県はこうした実態を把握しているのでしょうか、お答えください。最低賃金を下回って働かせている株式会社オーチューについて、どう認識しているのか。一刻も早く是正の措置を取るべきではありませんか、お答えいただきたい。
 そもそも入札の段階からこうなることは予測できていました。3年間の業務について入札が行われたのは、2014年2月で、23社が応札した結果、オーチューが落札しました。しかし、3億853万2千円の予定価格にたいして、落札額は2億1805万2千円で70・7%です。予定価格の中の人件費分は2億4338万6千円となっており、この落札額では人件費分にもなりません。これではまともな賃金など支払えるはずがなく、落札したときにわかっていたはずだと思いますが、県の認識をお聞かせください。最低賃金を下回ることはあってはならず、こうした事態を繰り返さないために、人件費積算額を下回る落札額は除外する規定を設けるなど制度自体を是正する必要があると思いますが、お答えください。
 同時に、是正のためには、これまで繰り返し提起してきた「公契約条例」の制定がもっとも効果があります。最低賃金法や労働基準法を守るのは、どんな企業でも当然のことですが、県が発注するあらゆる業務でこれを貫くためにも「公契約条例」を制定すべきだと思いますが、お答えください。

 次に、国民健康保険の県単位広域化について伺います。
 来年4月から始まる広域化は、国民健康保険が抱えている構造的な危機を克服するためとの理由で導入されたものですが、現状の困難を打開するものとはとても言えません。
 国民健康保険の実態は極めて深刻です。保険料が高いためなかなか払いきれず、千葉県全体で保険料滞納世帯は実に24万1千世帯、4世帯に1世帯が払えていません。知事は、滞納世帯の多さについてどう考えているのか、お答えください。その大多数が「払いたくても払えない」世帯だと考えますが、知事の認識はいかがでしょうか、大事な問題なのではっきりとお答えいただきたい。
 滞納世帯に対する厳しい保険料の取り立てと保険証の取り上げが悲惨な出来事を生んでいます。流山市で息子さんと二人暮らしだった女性は、胸のしこりに気づいていましたが、保険料を滞納していたために保険証を取り上げられ、受診をためらっていました。しこりから膿が出るほどになってやっと病院にかかり乳がんだとわかったときには手遅れで、1年後には亡くなりました。警備の仕事でもらえる給料は14万円、5万3千円の家賃を払うと食べるのがやっとでした。病院の職員は「氷山の一角だ」と語っています。知事はこうした実態があることをご存知でしょうか。どう感じていらっしゃるでしょうか。お答えください。
 背景には、国民健康保険の構造的変化があります。高齢化が進んで医療費支出の増大をもたらし、保険料の引き上げにつながっています。一方、加入者のなかで年金生活者を中心にした無職と非正規労働者が増えて全体の8割近くを占め、加入者の所得水準は年々低下してきました。保険料が上がるのに所得は下がる――。これでは保険料を払えない世帯が増えるのも当然です。国保が抱えるこうした深刻さについて県はどう認識しているのか、お答えください。しかし構造的変化を避けることはできません。医療費支出の増大や加入者所得の低下は、当面、このまま進んでいくと考えざるを得ません。これを解決するには、所得が減っても払える保険料に引き下げる以外にありません。国が支出を増やして保険料の引き上げを抑制すべきだと考えますが、認識をお聞かせください。

 ところが今回政府が持ち出してきた都道府県単位の広域化は、市町村が担っている国保のなかの財政権限だけを都道府県に引き上げて、新たに導入した納付金の制度を利用して、相対的に所得の低い市町村を所得の高い市町村に支えさせようという仕組みであり、国の責任を放棄するものと言わざるを得ません。
 これまで国保は、市町村が必要な医療費支出を計算して徴収すべき保険料額を決めていました。広域化では、県が市町村に納付金の額を示し、これにもとづいて市町村が保険料額を決めることになります。ところが県が納付金の額を決定するにあたって市町村ごとの加入者の所得を勘案することにしたため、所得によって納付金の額が左右されることになりました。ここに広域化の根本問題の一つがあります。
 県が行った試算では、県内市町村の中で保険料が上がるのが29市町村、下がるのが25市町村となり、半数の市町村が半数の市町村を支えるという国の狙いがくっきりと表れる結果となりました。市町村に市町村を支えさせるような広域化の仕組みは、国の責任放棄と言わざるを得ないと思いますが、見解をお聞かせください。
 同じ試算で、最も保険料が上がる市町村の増加額は2万3480円にものぼり、最も増加率の大きな市町村は20・1%もの負担増になることも明らかになりました。これほど大きな負担増は、県民の負担能力を超えたものになると考えますが、県の認識はいかがでしょうか。
 保険料は所得に応じて支払う応能負担と決まった額を支払う応益負担の組み合わせで算定されます。船橋市の国保の医療分でみると、応能負担が63%で応益負担が37%の比率になっています。しかし広域化にあたっての千葉県の比率は54対46となっているので、船橋市の場合、県の言うままに従うと、応能負担が減って、応益負担が増えることになります。その結果として、所得が少ない世帯ほど負担が重くのしかかってきます。広域化では、県が市町村に標準保険料率を示すことになっていますが、これで応能負担と応益負担の平準化を推進するようなことがあってはなりません。保険料は応能負担を中心にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 もう一つ、広域化の大きな問題は、県が国保の運営方針を策定して市町村に圧力をかける仕組みが導入されることです。そしていま策定が進められている千葉県の運営方針素案での最大の焦点の一つが一般会計からの繰り入れです。市町村では保険料の引き上げを抑えるために、一般会計からの繰り入れを行っていますが、県の運営方針素案では、解消・削減に努めるよう求めています。しかし県の資料によれば、その額は基金と合わせて一人当たり全県平均で1万1260円にもなります。もしもこれが無くなれば、最大の引き上げ額2万3480円が3万4740円に跳ね上がる可能性が出てきます。こんな大幅な保険料の引き上げにならないように、少なくとも、一般会計からの繰入金は100%市町村の裁量に任されていることをあらためて確認し、運営方針の記述から削減方針を削除すべきだと思いますが、お答えください。
 県は、今回の保険料試算結果について、市町村ごとの数値は明らかにしていません。しかしこれが、県民の間に不信や不安を広げています。50年ぶりの大規模な制度改変を行おうというのですから、すべての情報を県民に公開し、県民的議論を促し、県民の理解を得ながら進めていくべきではありませんか。お答えいただきたい。

 最後に、子どもの教育にかかわって県教育委員会が今年度から始めた小学校3年生の少人数学級と教員未配置についてうかがいます。
 県教委では昨年度まで、小学校1年生はすべて35人学級、2年生と中学1年生については35人学級の選択制、その他の学年は38人学級となっていました。今年度からは、小学校3年生も35人学級を選べるようにしました。これは関係者の願いに応えたものであり一歩前進と言えます。しかし大きな課題も残されています。35人学級の実施によって学級の数が増えるのに先生を増やさないことです。実施のための独自の予算もまったく計上されていません。県教委は、現在配置している少人数指導の加配分を当てればいいと言いますが、これでは学校現場は不安になるのは当然です。
 こうした県教委の不十分さを背景に、今回、小学校3年生で実際に35人学級を選択したのは134校で19校は選びませんでした。理由は、3年生を35人にしても4年生が38人のままなので、また元に戻さなければならないことや、学級が増えてしまうと教室が不足するというものなどです。せっかく少人数学級を拡大したのに実施できないでいる学校があることについて、県教委はどう認識しているのかお答えください。
 とりわけ、教室不足で実施できないのは重大です。すでに35人学級を導入している中学校1年生でも「教室が確保できない」という理由で8校が35人学級を断念しています。教育条件の整備という教育委員会として最も責任を負わなければならない教室の確保を市町村教委とも連携して解決する必要があると思いますが、どうでしょうか。
 今回の35人学級について全教船橋教職員組合が船橋市内の学校長にアンケートを取りました。このなかで「35人学級は必要か」という設問に対して、回答が返ってきた23校中、22校が必要だと答えています。「4年生から6年生でも必要」との回答もありました。実施にあたっての課題では、「小学校4年生への進級時に現状の38人学級にもどってしまうこと」を上げたのが18校、「少人数担当教員が学級担任になって引き上げられてしまうこと」というのが16校、「教室が不足する」が6校となっています。自由回答では「急な発表で増員もないのは疑問」、「教員が不足する」などの回答が寄せられています。学校運営に責任を負っている現場からのこうした声について、どう感じているのか、お答えください。こうした不安や疑問を正面から受け止め、本格的に解決して、安定的に少人数学級を進めていくために、必要な教員の配置と全学年での実施を早急に進めるべきだと思いますが、どうでしょうか。

 学校が思い切って踏み切れないのは、教員不足という深刻な実態があるからです。今年3月1日現在で、千葉市を除いた県内公立小中学校での教員未配置は92校に上りました。出産休暇や育児休暇、療養休暇などで長期にわたって欠員となる先生の補充ができなかった結果です。こうしたなか、今年1月末、船橋市内の市立小学校で、欠員が補充されなかったために担任を配置できず、3年生の3学級を2学級に統合せざるを得なくなりました。その結果、1クラスが50数人となる信じがたい事態となってしまいました。
 この学校では、昨年9月と12月、病気療養と出産休暇で相次いで2人の先生が欠員となりました。しかし代替教員が配置されなかったため、教務主任と音楽専科の先生が担任となり穴を埋めました。それぞれの先生が担っていた業務は、他の先生も分担し、先生方の努力で乗り切ろうとしていました。ところが1月に入って、さらに欠員が1人出てしまったため、ついにやりくりしても担任を配置できなくなり、苦渋の決断で学級を統合したものです。5日間だけだったとはいえ、50人を超える学級で授業をせざるを得なくなったことについて、県教委としての責任をどう考えているのか、お聞かせください。今後、こうした事態の無いようにするために、どういう手立てをとっているのか、お答えください。
 現実には改善どころか、今年度は4月の年度当初から、小学校で49校、中学校で24校が未配置となり、5月になっても小中合わせて56校もの未配置が出ています。何の手立ても取られていない、何の反省もしていないと言わざるを得ません。生徒にとっても先生にとっても学年の始まりであり、最も大事な時であるにもかかわらず、こうした事態となっていることに対して、県教委としてどう認識しているのか、お答えください。

 未配置の最大の要因は、長期の欠員を補充する安定した仕組みがないことにあります。欠員が出ると、登録している講師に電話で当たりますが、別の仕事についている場合も多く、教育事務所では「2月ともなると難しい状況だ」と話していました。
 こうした状況を踏まえて市町村では独自に臨時講師を採用し、その中から代替教員を確保する仕組みを作っているところがあります。昨年度、こういう形で市町村の臨時講師を代替配置したのは3市1町となっています。市町村で始まっているこうした努力は貴重ですが、本来、県教委の責任で確保すべきです。認識をお聞かせください。
 同時に、臨時で代替教員を日常的に確保しようとしても、非正規という不安定雇用のためうまくいかない場合も少なくありません。欠員が出たらただちに配置できるようにするために、正規の教員を県教育委員会が確保すべきだと思いますが、お答えください。教育事務所管内など一定の地域全体で見れば、毎年、欠員が出る人数はそう変わるものではなく、少なくとも、その人数を県として確保すべきだと考えますが、お答えください。

 長期の欠員自体を減らしていくことも重要な課題です。千葉県の長期療養休暇は2015年度で578人に上っており、毎年600人前後で推移しています。このうち、神経・精神疾患が192人とこれも毎年200人前後となっており、多忙化が拍車をかけています。これを改善していくために、社会問題になっている教師の多忙化と正面から向き合い、解決の手立てを取って行くことは、急務の課題となっています。
 多忙化には事務量の増大や研修時間が増えていること、子どもへの対応が複雑になってきていることなどたくさんの要因がありますが、そのなかの一つに部活動への指導があります。2007年、文部科学省が「運動部における休養日などの設定例」として、「中学校では週2日以上の休養日の設定」「土日については家族や部員以外の友達、地域の人々などとより触れ合えるようにするという学校週5日制の趣旨に配慮」「長くても平日は2〜3時間程度以内、土日は3〜4時間程度以内」など具体的に例示をして実施を求めています。ところが千葉県では、内容を伝達するだけで実態をまったくつかんでいませんでした。昨年度、文科省が行った調査では、千葉県の部活動の運動実施時間は、1週間の平均時間で男子は18時間18分、女子は19時間3分となっており、ともに文字通り全国トップ、全国で一番、部活動の時間が多い県となってしまっています。平日の平均では最小の岐阜県の2倍、土日は最小の鳥取県の1・7倍にも上ります。この現状について認識をお聞かせください。県教委として、いままでの延長ではなく、こうした状況を是正するために、学校ごとに個別的に改善を求めるなどの思い切った手立てが必要だと思いますが、どうでしょうか。

 以上で、最初の質問を終わります。
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