日本の原風景 ここにあり――小湊鉄道の四季 松原浩士
小湊鉄道は内房線の五井を起点に、養老川に沿って終点の上総中野まで39.1キロを1時間余りで走ります。上総中野から、いすみ鉄道(元国鉄木原線)で外房線の大原へ抜けることができ、この二つが房総縦断鉄道の役割を果たしています。
五井から途中の上総牛久までは、日中でも一時間に1本はありますが、養老渓谷までは1日に9往復、上総中野まで行く列車は4往復しかありません。しかし、田園風景の中をのんびりと走るディーゼルカーの姿を見ていると、これが日本の原風景といっていいでしょう。
普段は、朝夕は2両編成で、日中は1両ですが、養老渓谷の新緑と紅葉のシーズンは3両又は4両編成で運転されています。
自動券売機が主流の時代ですが、小湊鉄道では、昔懐かしい硬券の切符が今でも現役です。
そんな旅を楽しんでみませんか。地球温暖化が深刻ですが、今こそ環境にやさしい公共交通として、小湊鉄道の末長い存続を願わずにはいられません。
●小湊鉄道
名前の由来である安房小湊までをめざして、大正14年に一部営業を開始。昭和3年に現在の営業区間が開通しました。沿線は市原市の田園風景が広がり、高滝駅から先は次第に山間部に入って行きます。
のんびりした風景や、昔懐かしい駅舎の姿などが人気を集めています。途中の里美駅では、土日に駅の喫茶室が開かれ、季節の野菜なども販売。養老渓谷駅には足湯も開設されました。上総国分尼寺(上総村上)での歴史探訪、大福山(上総大久保)や養老渓谷のハイキングなどが楽しめます。
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