長崎への原爆投下の日に観た「樫の木坂四姉妹」
2014/08/10
「‥‥わたしたちの毎日には一度だって8月9日が消えたことはなかと‥‥」九州・長崎弁でのこのセリフが、暗い会場に、じいんとしみわたった。
長崎への原爆投下から69年の8月9日、私は、俳優座公演「樫の木坂四姉妹」を、高橋たえ子市議と共に観劇した。私は、松戸演劇鑑賞会の会員である。前回、前々回は感激できず、今回は何としてもと、松戸市民会館にかけつけた。
スト一リ一も何も事前に、目を通す暇もなく、開演となったが、惹きこまれていく舞台。最後には涙でぐっしょり。
戦争が終わった後、特攻隊で戦死したお兄ちゃんや被爆の影響で先立った父・母・姉たちなど家族と共に、残された3姉妹が生きていく様が、岩崎加根子さんらの演技で、見事に展開され、胸に迫った。
長女さんはしっかりものの、今では被爆体験の「語り部」。しかし、岩崎加根子の演じた次女が、奔放な生き方、派手な衣装で、一見、勝って気ままにふるまうユ一モアたっぷりな様子が会場の笑いを誘う。姉や妹を困らせながら、原爆症をひた隠しにしながら生きてきたらしい様子が伺いしれるが、とうとう白血病の発症となる。
そこから次第に、彼女の苦しみが見えてくる。外国人と結婚したものの、生まれた赤ちゃんが原爆による影響と思われる小頭症で、1歳にも満たないで息絶えた時の深い哀しみ。迫真の演技に感銘した。
「我は海の子‥‥」──甘いピアノの旋律と家族の明るい歌声、それらを奪った悲惨な戦争・原爆の恐ろしさ、孫子の代までこれからも続く不安と苦しみ‥‥。
8月9日─長崎への原爆投下のこの日、二度と再び、核兵器も戦争もいらない、あってはならない、くり返してはならないの思いを強く深く胸に刻んだ、松戸市民会館に集った多くの人々と共に。
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