運慶 新たな発見 錦 和煕
拙著 小説「運慶」を出版してから約1年半、さして長くないこの間、運慶に関する新たな発見がいくつもありました。拙著出版の直前5月には、興福寺西金堂の釈迦如来像(仏頭のみ現存)が、運慶作と裏づけられる史料が発見されました。いままで成朝など他者作とも考えられていました。
また最晩年作とされてきた興福寺北円堂の無著・世親像より4年後の1216年作と分かったのが、称名寺光明院(神奈川県)の大威徳明王像。
もう1件は、海外オークションで14億円で落札された大日如来像。もとは栃木県足利市にあった樺崎寺(かばさきでら)に納められていたとされる。
この像は今秋、東京国立博物館(上野)で、もう一体の大日如来像(足利市・光得寺蔵)、京都・六波羅密寺所蔵の運慶の肖像(伝)とともに展示されました。私は胸高鳴らせながら会いに行きました。像は小さいが、居ずまいを正される気迫や気品を感じました。
これからも、運慶に関する新しい発見が成されることを期待しています。
――――――――――――――――――――――
錦 和煕(にしき かずひろ)さん
*略歴 1944年生まれ、群馬県出身。千葉県松戸市在住。
1970年、北海道大学工学部卒業。機械製造会社に3年勤務した後、団体職員
として勤務。2001年から2004年まで、しんぶん「赤旗」千葉県通信員を務め
る。
*著書 小説・運慶(発行所 新風舎)
この頁トップへ