さるすべりの夏 会えなくて
2010/08/27
仕事・仕事の嵐で、帰省できるいとまもなく、近年になく酷暑の続く今年の夏を“短い”と錯覚しそうな忙しさである。そんな折便りが届いた、故郷からの手紙だ。有り難い文字、父と母からだ。一つの封筒に、それぞれの便せんにしたためられた、一言ひとこと。読み終わり・・・目を閉じた。
“仕事はちょっと一休みだ”と、手を休め、外に出る。ああ、さるすべりは、母の好きな花。
真っ白い雪のような房が、たっぷりと真夏の風に吹かれている。まるで灼熱の太陽にほほえむかのごとく透き通った白だ。夏の終わりに静かに、ひっそりと。なんという華やかさよ。
年を重ねるということは、めでたく有り難く尊いことなのに・・・年金は減るばかり、税や保険料は上がるばかりで、つらく心もとなくなってきている高齢者の今。高齢者を不安に追いやる政治が、平然と大手をふっていることに、今更ながら腹が立つ。
父よ、母よ会えなくてごめん。夏に揺れる さるすべりの道。
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