ハチミツの王様――蓮華草の蜜
2010/05/07
レンゲソウが、5月5日付「しんぶん赤旗」の「くらし・家庭」欄に連載の「雑草のふしぎ」に登場。たまたま、この連休に里がえりした実家近くの田んぼで撮った蓮華(写真)と、重ね合わせて読んだ。
レンゲソウは「紫雲英(ゲンゲ)」ともいい、遠くから見ると紫色の雲のように見える、花(『英』はうるわしい花)の意味とのこと。仏様の座られる蓮華台に似ているので「蓮華草」とも書かれるらしい。
葉や茎に、窒素をいっぱい含み、その葉や茎を田んぽにすきこむと、窒素がしみ出し、土地が肥えるため、化学肥料を使わずに土を肥やす緑肥とも言われているそうだ。
蓮華草やシロツメクサの首飾りを編んだ幼いころは、遠い昔。近年、蓮華畑が減ってきたのは、田植えが機械化され、小さな稲の苗を早く植えなきゃならず、レンゲソウが十分に育つ前に田植えを行うため、土地を肥やすのに役立たなくなったというのだ。代わって今は菜の花が、緑肥の代表とか。
それで、レンゲソウが減ってきたのか、と理解はした。しかし、「レンゲソウの花には、甘み、舌触り、香りのすぐれた蜜があり、そのため、昔から、『ハチミツの王様』でした。レンゲソウには、この座だけは守り続けてほしい」と、甲南大学の田中修教授。
幼いころ目にした、一面の蓮華畑を想いだしながら、ブ――ンという、蜂の音を聞いた。私の目の前の蓮華は、やはり王者の風格たっぷりの雑草だ。田んぼが一面、甘くて赤い「蓮華台」が敷き詰められたように咲き誇るレンゲ畑だったころ、私は小学生だった。道草は当たり前だったあのころ。赤い風車のように、くるくる花を回したのも、遠い思い出。
この頁トップへ