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タイトル 「お母さんへ」 タイトル

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2009/11/25
 高齢者と呼ばれてからも引き続き、県の非正規職員の保健師として、働き続けていた母。その母も、仕事をやめて、少しボンヤリしていたらしい。けれどたちまち「危機」も乗り越え、79歳の元気な母。

 「お姉ちゃん、今日はおばあちゃんの誕生日よ」(忘れてるでしょ)とは書いていないが、完全によまれている。いい加減な姉の私。
 私の仕事の忙しさを分かってくれて、いつも私をかばってくれる、けなげな妹よ。《甘えてはいけない》と日ごろ思っているのだが、この度もお気遣いメ一ルが届いた。

 「ア、ごめんごめん」。あわてて上着を羽織って、暫し街に出た。松戸常盤平の西友。淡いアジサイ色のビ一ズが襟元にまあるく華やいだ毛糸のセーターに、母の笑顔をのせてみた。ぴったりだ。「うどん」が大好きな母の喜ぶ顔が浮かぶ。「何も要らんよ」と拒みながら、きっと大事に着てくれるに違いない。一日遅れの誕生祝い。

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 お店の女性たちが、「あら、お母様の誕生日なのに、一言もナシじゃあ」と言って、手作りカ一ドを作り始めてくださって、「さあ、ここにお祝いの言葉をお書きなさい」というのだ。「書いて、書いて」とせきたてられ、急いで感謝の言葉を書いた。緊張したので、なんと書いたかはもう忘れてしまった。

 また店の人は、文面には、《お母さん》という言葉を入れなさい、嬉しいものよ、とも。だって私だってもう《母》なのに、と抵抗したが、表にも《お母さんへ》と書けと言う。うん、じゃあと《お母さんへ》と書いた途端に私は、娘になった。

 「後期高齢者医療制度は廃止に、医療費は無料に」そんな当たり前の願いのなかに、「母の命」を大切に大切に込める。そういえば母の仕事は、助産師。昔でいう「産婆さん」。世界でたった一人の、私のお母さん。

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