八頭(やつがしら)と小芋だよ
千葉県の「八街市内の畑で、子どもたちと一緒につくった八頭と小芋だよ……」知り合いの方から、暮れに分けていただいた。「まあ、これ、何ですか」と私は思わず聞いてしまった。
八頭? あらためて調べてみますと――「植えつけた親芋が、あまり成長せず、まわりにできた小芋の成長が早いので、親芋を中心に小芋が合体した独特の形になります。くっついた小芋が八個の頭のように見えるので、八頭。ホクホクとした歯ごたえ、あっさりとした味わい。末広がりの八と、人の頭になるという名前の縁起をかついで、おせち料理に使われる」とか……。
そこでこのお正月に、母に帰った私が、「これ、八頭だよ」と、成長した娘や息子たちに見せた。「親芋があまり成長せず……」のくだりは、苦笑いだなあ。
ところが、例のごとく、あっというまに休みは終わってしまって……。八つ頭と小芋は――ようやく我が家の鍋で仲良くコトコト。まあ、なんて、優しい味でしょう。芋の舌触りが、何ともいえない。成長しない親も、頑張る小芋たちも、それぞれの味をかもしだし、おせちの一品を、古来飾ってきたのでしょう。この味、やっぱり、子どもたちにも食べさせたかったなあ。
そう、つぶやいていた。ほっぺが思わず、ふんわりするような、ほんとうに優しい芋の味。不思議、不思議・・・・。
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