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【2005年 9月県議会】代表質問 1回目の質問への答弁@ |
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日本共産党みわ由美議員の1回目の質問への答弁
答弁者 堂本暁子知事
共産党の三輪由美議員の代表質問にお答えいたします。
まず最初の御質問は、暮らしと社会保障の充実についてでございます。
我が国は、今、本格的な人口減少、そして超高齢社会の到来で、税制、それから社会保障制度を初め各種の規制、歳出など、広範囲にわたる構造改革を進めることが何より必要だと認識をしています。何度も申し上げているように、今変えなければ、とても高齢社会を乗り切ることができない、そういう状況に国としても県としてもあるというのが現実です。構造改革の推進に当たっては、国のことについては国で十分に議論をしていただきたい。そして、加えて地方の視点から地域の活力が遺憾なく発揮できるような改革としていただくことを願っています。それが不可欠だと考えています。その上で、県としても地域や県民の力の連携と協働を基本として、時代の大きな変化に的確に対応できるよう構造改革を進めてまいります。
次に、国が国民への社会保障の切り捨てを進めているときに、県がそれに追い打ちをかけているのではないかとおっしゃっていますが、私が知事に就任した平成13年6月の補正予算と今年度6月の補正予算を比べると、県全体の予算はほぼ横ばいの状態が続いていますけれども、県単医療費については50億円から61億円へと22%増加しています。また、本格的な少子・高齢社会を迎え、老人医療給付費や介護給付費、さらに乳幼児医療費などの社会保障費は967億円から1229億円と27%増加をしているところです。県が切り捨てるようなことはしておりません。
難病に苦しむ親子の悲痛な叫び、知事は聞こえないのかとの御質問です。小児慢性特定疾患治療研究事業についてでございますけれども、県では、本年4月から新たに国として始められたこの事業に移行したところです。確かに制度改正後の国の認定基準が厳しかったので、ぜんそくの患者さん等、多くの対象外となった方がおられます。ちばのぜんそくの子を持つ親の会からも4万人を超える署名をいただいておりますけれども、そうした中で対象者の拡充、あるいは対象疾患基準の緩和を国に要望いたしました。県としても、今後もまた努力をしていきたいと考えております。
今回の介護保険の見直しについての御質問です。必要な介護が受けられないようなことがあってはならないとの御質問ですが、今回の改正は、将来の急速な高齢化の進展を見据え、公平、公正な観点から行われたものと認識をしております。例えば施設においてあるいは在宅などいろいろな形の中で、できるだけ公平、公正な形での介護保険が使われるようにという改正だと認識をしています。また、この10月から実施された施設給付の見直しも、このような観点から在宅と施設の間の利用者負担の不均衡を是正するために行われたものです。実施に当たっては、所得に応じた居住費、食費の負担限度額が設定されるなど、さまざまな対策が講じられております。県としては、制度の円滑な実施に努めてまいります。
次に、財政改革についてお答えをいたします。
今回の行動計画は、地域が主体的に個性を発揮する分権型社会へと時代が大きく変化する中で、現行のプランを一歩先に進めて県民や民間企業などと連携をし、また協力、協働しながら、千葉県が果たすべき役割や能力を最大限に発揮できるように、県庁経営システムと予算の質的転換を進め、財政再建と活力ある千葉県づくりの両立を図っていくことを目的としております。
次に、これ以上職員への犠牲転嫁は到底認められないが、どうかとの御質問です。今回の行動計画の県庁経営改革や財政改革を進めていく中で、定員や給与の見直しにより人件費の適正化を図っていくことは必要であると考えております。
次に、大企業の法人事業税その他についてですが、個人県民税への超過課税は許されないと思うが、どうかとの御質問です。千葉県の税財政研究会は、みどりの保全など地域環境のための税制の御提言をくださいました。そこで、これを計画に組み入れておりますけれども、みどりの保全など地域環境のための施策からの受益は広くすべての県民に及ぶことから、行政サービスに対する会費的な性格を有する県民税均等割の超過課税により、法人を含む県民が広く負担を分かち合うことが望ましいとされています。これは個人県民だけではなくて、法人を含む県民ということが望ましいと考えています。このみどりの保全など地域環境のための税制については、現在、庁内で試案づくりのための作業を進めているところでございまして、その試案をもとに、議会や県民の皆様に御意見を伺いながら検討していきたいと考えているところです。
次に、つくばエクスプレス沿線開発等に関する御質問ですが、厳しい財政状況のもと、財政運営に当たり一番重要なことは、600万県民が真に必要としている事業、本県の将来の発展のための事業を効果的、効率的に実施していくことだと考えています。このため、事業の選択は厳しいものにならざるを得ませんが、規模の大小にかかわらず、いかに県民が求め、必要としている事業か否かということで今後も判断をしていきたいと考えています。
次の御質問です。大企業に税負担を求めるべきで、法人事業税、法人県民税均等割への超過課税を導入すべきではないかとの御質問ですが、法人事業税の減税は、国税である法人税の減税とあわせて、大企業か中小企業かを問わず、景気対策や企業の国際競争力の強化の観点から国の施策として実施されたものと理解しております。現在の税負担に加え、さらに負担をお願いするには慎重な検討が必要と考えており、単に企業規模だけに着目して、対象を大企業だけに絞るような超過課税の議論は適当ではないと考えています。
自治体財政に責任を負うべき国に対して、厳しくその責任を全うするよう迫るべきではないかとの御意見、御質問です。これまであらゆる機会を通じて国に要望してきたところですが、今後とも財政運営の安定化や自主性の拡大のため、国庫補助負担金の超過負担の解消、地方交付税の総額の確保など、地方財政制度の改正について積極的に国に働きかけてまいります。
次に、三番瀬についてお答えいたします。
全国から注目されている三番瀬のカキ礁の価値についてどう認識しているかとの御質問です。群集するカキがしま状に連なった、いわゆるカキ礁のある猫実川河口域は、三番瀬の中でも最も波の影響が少ない場所ということです。このような環境に適した自然の営みの結果、カキ礁が発達してきたと考えられます。一般的にカキ礁には、海水の浄化能力や岩礁等のすき間で暮らす生物への生活場所の提供といった働きがあることが知られています。このカキ礁が三番瀬にどのような働きをし、また、生物多様性にどのような影響を与えているかについては、今後、事業計画を策定する中で研究、検討していきたいと考えているところです。
県が策定しようとしている再生計画が、三番瀬の豊かさや生物多様性を支えているカキ礁の存在を少しでも危うくするものであってはならないがという御質問です。猫実川河口域については、円卓会議においてもさまざまな議論がなされた場所ですので、具体的な再生事業等を検討する際にカキ礁を含めて慎重に対処していきたいと考えております。
次の御質問は、生態系の保全と大規模な人工干潟の計画は両立しないと考えるが、どうかという御質問ですけれども、県の基本計画案においては、海域をこれ以上狭めないことを原則としており、今後、県としての事業計画を策定する中でこの原則を基本としながら、さまざまな観点から具体的な再生事業を検討していく必要があると考えております。
次の御質問は国民保護計画についてでございます。お答えいたします。
戦争が起こる可能性があると考えているのかとの御質問なんですけれども、現在、世界各地ではさまざまな地域紛争が起きているほか、アメリカ同時多発テロを初めスペインやイギリスなどでも大規模なテロが随分と数多く発生しています。最近ではバリ島でも爆発の事件があり、日本人が犠牲になったばかりです。また、日本の周辺を見ましても、いろいろ問題を抱えていることは御存じのとおりです。このような状況にかんがみれば、600万県民の安全を確保するため万が一の不測の事態に備えることは、知事としては当然のことと考えております。
軍事的攻撃、大規模テロを自然災害と混同していないかという御質問ですけれども、現在、世界各地で発生している地域紛争やテロ、そして我が国を取り巻く状況から、万が一の場合に備えて住民の生命、身体、財産を保護するため、県国民保護計画を定めるものでございます。決して戦争協力づくりではございません。また、自然災害と混同して考えてもおりません。
次の御質問は、戦争協力の下請機関に変質させられてしまうのではないかとの御質問です。県の最も大事な責務は、県民の生命、身体、財産を守ることであり、武力攻撃やテロなどによる災害に対し的確な対応を図ることも県の重要な責務でございます。そのため国民保護計画を策定し、国や関係機関と緊密に連携しながら、県民の保護のための措置を総合的に推進し、県の責務を適切に果たしていきたいと考えております。
憲法が定めた基本的人権は守られると考えているのかとの御質問です。基本的人権については、国民保護法にも尊重すべきことが明記されております。本県の国民保護計画の基本的な方針としても最大限配慮していきたいと考えています。また、国民保護措置等の実施に当たっては、仮に基本的人権に制限が加えられるときがあっても必要最小限度のものとし、憲法の保障する自由と権利を尊重していきたいと考えております。
私からは以上の答弁ですけれども、一言だけ加えさせていただきたいのは公害問題でございます。一言申し上げたいと思います。まるで県の職員が真剣に働いてこなかったようなおっしゃりぶりだったかもしれませんけれども、県職員の名誉のために言いたいのですけれども、公害の阻止については、今、大変いろんな問題を抱えておりますけれども、県の職員は本当に体を張って、まさに議員おっしゃったように、毅然として立ち向かっているのが現在でございまして、どうぞその点は認めていただきたいというお願いをいたしたいと思います。
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