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【2005年 2月県議会】議案討論(05/02/17) |
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日本共産党を代表して、常任委員長報告に反対する主な議案と請願について、討論をおこないます。
はじめに、議案第1号平成17年度一般会計予算ですが、新年度予算案は『骨格』とは言うものの、留保された補正財源は558億円にすぎず、私学助成や国保の県負担分などを勘案すると事実上の通年予算であります。その中身は、堂本県政の4年間に示された『巨大事業優先、暮らし・福祉・教育切捨て』の逆立ちした財政運営が、いっそう際立った形で現れていると言わざるを得ません。
まず第一に、必要のない巨大事業への採算度外視の浪費であります。つくばエクスプレス沿線開発のための予算は、住宅供給公社の土地区画整理事業の継承を含め、今年度の45億円から93億円へと倍増しています。過大な区画整理事業が、地価の下落や保留地販売計画の大幅な見込み違いから、莫大な赤字をもたらすことは何度も指摘してきたとおりであり、見直しは一刻を争うはずです。また八ツ場ダムについても、北千葉・印旛の両広域水道企業団の負担を除く県負担分は、今年度に比べ1.7倍の24億円にも達しています。水あまりなのに巨額の県費負担でダムを作るのは止めてほしい、こうした県民の声に真っ向から逆らうものとなっており、到底認められません。
第二は、そうした無駄遣いが続く一方で、県民の切実な願いである福祉・医療・教育が犠牲になっていることです。特別養護老人ホ−ムの建設費補助は、今年度45億円から19億円に大幅減額で、待機者はこの4年間で倍増、1万6千人を超えました。保育所整備費も12億円から9億円に減額で、待機児童はついに2千人を超え、障害者施設の待機者も1300人、どれをとってもあまりにも深刻です。また県は、小児慢性疾患医療費助成制度、いわゆる子どもの難病への県単独助成制度の廃止を決めましたが、これにより小児喘息の患者のおよそ9割が助成をうけられなくなると言われており、極めて重大です。全国最下位の私学助成では、議会決議が堂本知事に拡充を求めたにもかかわらず、「骨格予算だ、任期切れだ」などと言い逃れをするばかりで、改善の方向は見えません。こんな県民無視、議会軽視が許されるでしょうか。しかも県は、財政難を口にしながら、年間80億円もの財源となる大企業の法人事業税超過課税の導入をまたもや見送ってしまいました。あまりにも道理を欠いた姿勢です。よって反対いたします。
次に議案第20号県立病院特別会計についてです。県は新年度から初めて「損益勘定留保資金」という項目を設け、15億円を計上しました。これは「この予算のまま推移すれば、これだけ赤字が出る」ということをあらわしたものです。一般会計からの繰入金を4年間で31億円も減らし、最初から赤字を見込んだ予算は、とても認められません。よって反対いたします。
次に、議案第28号企業立地の促進に関する条例についてです。県は、この目的を、県経済の発展と県民生活の向上などとしていますが、史上空前の利益をあげている日本屈指の大企業に、県民の大事な税金を50億円も注ぎ込むなど、とうてい認めるわけにはまいりません。県は、茂原に進出予定のハイテク企業による雇用効果を、900人だなどと宣伝してきましたが、現段階での地元からの雇用は60人程度に過ぎません。誇大広告で夢をふりまきながら、巨額の税投入で他県と助成金を競い合い大企業を呼び込む、こうしたやり方はもはや、自治体の変質と言わざるを得ません。よって、反対いたします。
次に、議案第30号職員定数条例の改正についてです。適正化の名のもとに、新年度だけで220人、この8年間では、第1次・第2次計画あわせて3487名もの県職員べらしが、目標をはるかに超えて進められてきました。なんと年平均436人という猛スピ−ドで進められてきましたから、その結果、現場はどうなったか。昨年度、県職員の現職死亡の原因のトップは悪性腫瘍と並んで自殺です。精神疾患も増え続け、県庁診療所内のメンタルヘルス相談は、今年度は12月段階で既に383件と、前年をはるかに上回っています。県民サ−ビスの低下や、さらなる健康悪化を招く職員減らしは止めるべきです。よって反対いたします。
次に、議案第34号は、任期つき県職員の採用に関する条例についてです。これは、正規職員を、3年から5年の「任期つき」職員に置き換え、人件費の削減を図ろうとするものであり、民間委譲や指定管理者制度への移行のテコとして利用される懸念も否定できません。また、生活保護や児童虐待、DV対策や徴税など、ほんらい、県の正規職員がやるべき本格業務にも、任期つき職員が携わることとなり、個人情報保護の立場からも大きな問題があります。今、深刻な雇用の流動化が問題になっていますが、今回の任期つき採用は、これに県自らさらに拍車をかけるものであり、反対いたします。議案第53号,55号,56号も任期つき採用の導入を含むものになっているので、反対します。
次に、議案第37号個人情報保護条例の改正についてです。今回の改正では、実施機関の対象が「議会」「県警本部長」「公安委員会」に拡大されたものの、県警と公安関係にあまりにも例外規定が多く、問題です。例えば、条例では、実施機関は、どんな情報をどんな目的で扱っているかなどについて登録簿に記載し、申請があれば閲覧等に供さなければならないと定め、また、「思想・信条・宗教」など社会的差別の原因となる恐れのある情報については収集してはならず、目的以外の利用や提供は許されていません。ところが、こと警察や公安委員会になると、「個人の生命、身体の保護、または犯罪の予防鎮圧もしくは捜査のため」等として、ほとんどすべてが例外扱いとなっているのです。個人情報をどう利用し提供しようが、何の歯止めもないことになりかねず、極めて危険です。よって反対します。
最後に、請願第113号は、「教科書をよくする千葉県議員連盟」という政治家の集団が、新年度採択予定の中学校の歴史・公民教科書の教育内容に直接立ち入るものであります。しかも請願者は、採択されるべき歴史・公民教科書は、現行教育基本法の欠陥を解消するものでなければならないなどと書いていますが、それは具体的には、『愛国心』などを盛り込むべきとの立場であることが審議の中で明らかになりました。県がそのような方向で資料を作成し、市町村をも指導するよう求める請願など、到底賛成できません。現行憲法と教育基本法に基づく教育の徹底を強く求め、反対いたします。
今議会も、私どもは、県政の問題点を縷縷指摘してまいりましたが、いまや、県民が主人公の新しい県政への転換は急務であり、そのために全力を尽くす決意を申し上げ、反対討論といたします。
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