2013/09/11
遅いランチで、ある喫茶店にかけこんだ。私はランチを注文。右隣で、寝不足だという男性客が帽子を深々かぶって眠たげな様子で、客の女性と話している。「仕事がキツイ」とも言っていた、その男性、私の顔見知りではない。
客の女性は、テレビのオリンピック報道を明け方まで視ていたことや、決定の瞬間を感激を込めて語り続けていた。眠たげな男性も、周りのお客も、繰り返し報道されたテレビをみていたようで、珈琲の匂いと共に店内に、オリンピック2020への「夢」が広がる風情。
そのとき、左隣りの男性客が、「税金のムダだよ、東京築地市場でも問題になっただろう」──これまで隅に腰掛け、沈黙していた細面の男性が、いっきに、口を開き始めた。
「でも、スポーツでしょ。いいじやない、そんなこと言わないでも、みんなが喜んでるのに。反対する人、テレビでも、登場するよね」と、女性が猛反発。それはそれ、これはこれ‥‥と、なんとなく調整しようという空気も流れ始める。
「オリンピックもいいけど、年金も保険料も困るわよねえ」と今度は暮らしの話に。年金・生活保護・議員年金・国保料・介護保険料・消費税‥‥話は、どんどん、国の財政や私たちの生活に直に関わるお話に。「あら、みわさん、どうなのかしらねえ‥‥」と、珈琲とともに、お話の輪がまわってきた。「いいのよ、何でも言っていいのよ。聞いてもらわなきゃ‥‥」と喫茶店のママ。
オリンピックから始まった、昼下がりの珈琲タイムの話し合い。
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昼の談議を思い出しながら読んでいた10日付の「しんぶん赤旗」に、オリンピック問題についての日本共産党の市田書記局長の9日の記者会見が載っていた。
それによると市田氏は、「IOC総会の決定を尊重し、スポ一ツを通じて国際平和と友好を促進するというオリンピック精神の実現に努めることが重要だ。また国民や都民の生活や環境と調和のとれた無理のない取り組みを進めることが求められる」と述べ、その上で、「IOCプレゼンテ一ションでの安倍首相の福島第一原発問題についての発言は怒りを禁じえない」と批判。「状況はコントロ一ルされている。健康問題については、今でも将来も全く問題ない。完全に問題ないものにするためにも、抜本的解決に向けたプログラムを私が責任をもって決定しすでに着手している」と安倍首相が述べたことについて、「現状はコントロ一ルどころか制御不能に陥って、放射能汚染水がどこからどう漏れているのか全容すらわからない。対策も具体的にとられていない」と厳しく指摘。同時に市田氏は、「ただ、国際的な場で述べた以上、国際公約になる。『問題ない』というなら、その根拠を国際的にも、国民と国会の前にも明らかにして責任を果たす必要がある」と述べたとのこと。
同日付の「しんぶん赤旗」には、日本共産党東京都議団の大山とも子幹事長が8日発表した「東京開催決定について」も載っていた。
今回の決定により開催準備が具体化されますが、原発事故対策や被災地復興の課題、さらに深刻な都民のくらし・福祉を充実するための施策はいささかも軽視されてはなりません。
都は、オリンピック開催準備を理由に4000億円余を積み立ててきましたが、いま求められていることは、オリンピックを理由にした外環道路など過大な施設整備等への財政投入を見直し、何よりも深刻さを増す都民のくらしや福祉、雇用、中小企業対策などの施策を充実させることです。
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