人生の最終章──よりそい、笑顔で
2013/03/26
友人でもあり、特別養護老人ホームで働く職員さんでもある彼女と、喫茶店でお茶を飲んだ。
まだお互いが子育て真っ最中の頃からの知り合いで、懐かしさがこみあげる。それぞれの娘・息子たちは、大きくなったけど、さてさて自分たちはあまり変わってないわね、とおおらかに笑い讃えながら。
でも、そうでもないか…大変だったと、やはり多少の不調は年のせいと、「くたびれ」も語り合った。
そして仕事の話になって、介護労働のシフトの大変さに私が触れたとき、「特養は、住まいですから」─彼女は、きらきら輝く眼で即座にこう語って微笑んだ。私は、誇りと愛情があふれる明るさに、胸うたれた。
そして、もっと人の手厚い体制があれば、入所者の「自己主張や意欲」を、ゆとりをもって認めてあげられるのだけど…と悔しさも、率直に語ってくれた。”そう、変えたいね”との思いも共有できた。
熱い話と、紅茶とケーキ。
2時間がすぎ、別れ際、席を立ち上がりながら、彼女は言った、「人生の最終章でしょう。寄り添って笑顔で、見送ってあげたいの…」。ふわりと、あたたかな春の風が、小さな喫茶店でそよいだ気がした。
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