「夫(87歳・認知症)は、特養待ち401番目。早く入れて。私はもう限界」と妻(81歳)
要介護者にむごい千葉県の実態
2009/03/11
明日が、知事選の告示日。どうしても今日訪ねたかった、松戸市内にお住まいのKさん(81歳)のご自宅に向かった。「忙しいのによく来て下さった」との言葉に恐縮した私。
Kさんは、認知症が激しくなった87歳のご主人の介護で、毎朝毎夜、目が放せず、日々3〜4時間の睡眠で、「私自身がこうして生きているのが不思議だ」とまず切り出された。「老々介護『残酷』なんて通り過ぎましたよ。『介護は在宅で?』とんでもない」と堰をきったように、今に至るいきさつを語り始めた。
「ご主人を引き取って」と施設から電話、入院中の妻、絶句
立派にお仕事をされていた頃のご主人のことを誇らしげに語り始めたKさん。今は大変辛い思いをさせられているようなのに、事情の説明がここから始まったことにKさんのご主人への愛情を私は感じて、目頭が熱くなった。
認知症が始まってから3年。昨年は、Kさん自身が歩行困難のため腰の手術をするという前夜、認知が進んだご主人のシヨ一トステイ先から、引き取ってくれの電話。3週間の入院を、2週間で切り上げて、Kさんは施設探しを始めたという。
はや、間もなく8ヶ月が過ぎようとしているが、徘徊や幻覚や、放尿・・水びたしの毎日。Kさんもつい、言葉づかいも荒くなり、限界とのこと。デイサ一ビスでは手に負えず、あちこちの特別養護老人ホ一ムに当たってみた。今申し込んでいる所では、401番目と言われ、ガックリされている。
千葉県は全国最低――特養老人ホ一ム定員数(人口比)
松戸市、待機者県内で断トツ!!(千葉市を除けば)
65歳以上の人口千人当たりの特養定員は、千葉県は全国最下位。特養ホ一ムの建設に力を入れてこなかった県の責任はあまりにも重大だ。
●08年7月1日段階で、千葉県の待機者数は、1万8758人、その内県内居住者の待機者1万5173人(内、県内の居宅で待機しているのはほぼ半数の7483人)、県外居住者3585人。
●県内居住者1万5173人の内、《要介護度4》は3798名、<要介護度5》は3009人。両者併せて44%にものぼる。
●また深刻なのは、松戸市内の待機者が1320人であること。政令市を除けば、群を抜いての県内トップ。本当に、千葉県も松戸も深刻そのものだ。政治の責任は重大。
1位 松戸市 1320名
2位 柏 市 942名
3位 船橋市 890名
4位 佐倉市 610名
5位 市川市 588名
「初めに1700万円、1ヶ月50万?」無理、無理……
ムダ遣い止めて、特養ホ一ム作って、八田さん!!
腰も足も痛いKさん。そして義父の介護に手が放せぬKさんの娘さんも頼りにはできない。とうとう追い詰められ・・・結局、1ヶ月40万円のショ一トステイに3ヶ月だけ入所させざるを得なかった。
その間に、401番目の順番が?無理とは思うが、「何とかして!」と藁にもすがる思いにもなるとのこと。また「人のご臨終を祈るなんてことはしたくないけど……」と時折かすめる思いに我に帰るKさん。有料老人ホ一ム入居時に1700万円、1ヶ月50万円の、目が飛び出るような有料老人ホ一ムのパンフみながら、「もちろん無理、無理!」と淋しげに話すKさん。
「みわさん、八田さんに、言って。夫と57年一緒に来たけど、夫も私ももう限界ですって。夫のために、私のためにも早く特別養護老人ホ一ム造ってください、って、言って!!」
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