僕、来春から公務員になります!
ある県内自治体職員の「試験に合格しました」という青年が、ひきしまった笑顔で、元気な声を私にかけてくれた。
自治体リストラ――この厳しい就職状況の中で高い倍率をクリアーしたことはご本人の大きな自信にもなっているであろう。同時に、彼の顔をみながら、《派遣切り》など今の雇用の深刻な実態も、「まあ、そう。おめでとう!」と言う私の頭をよぎった。
キラリと光る真っすぐな眼差しが、実に希望に充ちている。「有難うございます。僕やりたいこといっぱいあるんです。まず、子どもたちのことから……一度ゆっくり僕の話、聞いて下さい」
「素晴らしいこと! じゃあ、その道の長になって思いきってやって……。今度ゆっくりお話ししましょう」「ハィ、お願いします。いろいろやって、将来は上(うえ)目指したいです」
あたたかな空気が室内に流れ、人生の門出に船を漕ぎ出す船長は、まぎれもなく自信に満ちた《僕》だ。そうではない苦悩し漂流する大勢の《僕や私》たちも、こんなふうに希望に燃え、船長になって荒海に漕ぎ出すことができる日本に、早くしたい。青年たちの船の帆が晴れやかになびく、そんな政治への転換は急務だ。夢あきらめません!と宣言した彼に花を捧げたい。
扉をひらくと冬の寒気に、皇帝ダリアの木が、そびえていました。
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