日本共産党 千葉県議会議員 みわ由美

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活動紹介


4月臨時県議会で、みわ由美県議が討論

4月臨時千葉県議会で討論する日本共産党みわ由美県議(4月18日、千葉県議会)
4月臨時千葉県議会で討論する日本共産党みわ由美県議(4月18日、千葉県議会)
 日本共産党の みわ由美県議は4月18日、4月臨時千葉県議会で「未払賃金等請求事件に係る第一審判決に対し控訴」の専決処分承認に関して以下の反対討論をしました。

 日本共産党を代表し、討論を行います。議案第4号は、児童相談所元職員による未払賃金等請求事件に係る千葉地方裁判所による第一審判決(令和7年3月26日)に対し、県が控訴するため、急施を要するものと、同日専決処分をしたことについて、議会の承認を得ようとするものです。

 私は、本日の健康福祉常任委員会でも質疑しましたが、県からは納得できる説明や答弁は全く得られず、よって本議案に反対の立場から、以下、主に3点について、理由を申し述べます。

 まず第一は、県が、本判決に対し、即日控訴を決めたことです。
 判決は、千葉県市川児童相談所の一時保護課の元職員(児童指導員)飯島章太さん(当時28歳)が、人員不足から、昼休み等の休憩時間に休憩出来ないこと、また夜間の仮眠時間が労働から解放されていないとして、休憩時間及び仮眠時間を労働時間と認め、未払い残業代の支払いを県に命じています。

千葉県市川児童相談所を視察する みわ由美県議(右端)と浅野ふみ子県議(左端)
千葉県市川児童相談所を視察する みわ由美県議(右端)と浅野ふみ子県議(左端)
 また判決は、新卒で入職した原告に対し、県が十分な研修を行わず、受け入れ児童らに対する心のケアに悩む原告に、長時間労働を強いたことによる損害賠償も命じるなど、極めて重要な内容となっています。マスコミ各紙も一斉に、「児相職場 過酷実態に風穴。県の安全配慮義務違反認める」など報道し、県内外から注目されています。本事案は県にとって、極めて重いものであることは言うまでもありません。

 ところが知事は、即日、控訴をしました。これでは「判決の中身を検討する前に、控訴を決めていたように見える。改善しようとする姿勢が見られず残念」「反省はあるのか」との誹りを、受けるのはあたりまえです。実際、知事は、即日控訴をした当日も、議会や県民に、報告も説明も、一切ありませんでした。市川児童相談所の意見も聞いていません。一週間後の定例記者会見で記者に問われ、県の主張が一部認められず残念、などとコメントしただけです。

 しかも、県はこの間、2019年野田市での小4女児虐待死事件で、千葉県社会福祉審議会から「児童虐待死亡事例検証報告書」(第5次答申)や、2023年市川児童相談所への第三者評価で、「受け入れをする子どもの人数、年齢、状況に応じた、必要な職員が配置されていない」等、職員配置の不足に対し、厳しい指摘をうけ、改善を求められてきました。2021年には船橋労働基準監督署から、45分の休憩をとれていないことへの是正勧告を受け、県もその事実を認め、未払い賃金を支払っています。

 そして2022年に原告が、「過酷な職場環境から休職する職員が相次いでいる。裁判を通して働きやすい職場になってほしい」「一時保護所が改善され、子どもにも職員にも良い環境になるきっかけにしたい」と起こした訴訟で、今回、県が、断罪されたのです。ところが、即日控訴です。少しでも、児相の労働環境を良くして子どもたちの支援をとの切なる願いを踏みにじるものと言わなければならず、到底、認められません。

 反対の第2の理由は、過酷な労働実態・職場環境や、県の安全配慮義務違反に、今も十分な改善が、見られないことです。
 県も努力をして、一時保護の定員を令和元年の20名から28名に増やし、正規職員を約1.5倍に増やしました。それは認めますが、一方で、保護児童数も多いときは70名近くまで、定員の2倍3倍近くに増え、職員が長時間労働を強いられる、少なくない職員が精神疾患を発症し休職せざるを得ない、保護された児童と向き合う時間が取れない等々、恒常的で且つ深刻な職員不足が、率直に言って、今も改善されていません。

千葉県市川児童相談所を視察する みわ由美県議(左端)と浅野ふみ子県議(中央)
千葉県市川児童相談所を視察する みわ由美県議(左端)と浅野ふみ子県議(中央)
 私は、本議案審査のため一昨日4月16日、党県議団として、市川児童相談所の一時保護所を訪ね、昼食時間を含め視察懇談をしてきました。多忙で過密な業務のなかご対応頂いた現場の職員さんには心から感謝を申し上げます。現場は、予想を超える過酷な実態で、正直、言葉を失いました。例えば「今でも保護児童数は、定員の2倍超え。昼休憩や夜間の仮眠休憩がとれない時も少なくない」「職員は毎日『宿直室』でなく廊下や添い寝で寝ている。3月は最大で65名の児童を保護したが、今ある布団は50組。本日の常任委員会では、この数すら県は、掴んでいませんでした。夜尿や嘔吐、生理などで汚れ、布団も足りず職員含め分け合っている」「児童にとって本当にここは安全安心か自問自答しながらの毎日。職員が足りない」との訴えに、本当に胸が詰まりました。

 知事は一体、こうした実態をどれだけ理解されているのか。職員不足のため、未だに、休憩も仮眠もとれず、懸命に児童のため長時間労働せざるを得ない職員のことをご存知か。漸く虐待から逃れ保護された児童らが、パニックで泣いたり叫んだり、自分や他人を傷つけ苦しんでいるのに、十分寄り添えないと苦悩する実態をご存じなのか。現状では「判決」に対する県側の受けとめや反省が一切みられず、到底認められません。

 最後に反対の第3の理由は、千葉県は今、児童相談所の新設・増設や、職員の増員、研修の充実を、めざしています。その事と、指摘した深刻な実態との乖離を考慮すれば、即刻、控訴を取り下げ、判決を受け入れ、予算の大幅増額等で体制強化や環境改善に全力をあげるべきだ、ということです。
 原告は、過酷な労働実態を改善し、児童相談所職員に十分な研修と、精神的身体的安定を保障すること、児童と向き合う時間を取り戻し、子どもの権利と尊厳をまもることを強く望み、裁判にふみきったと思いを語っています。児童相談所ではたらく職員や、県民、子どもたちの、共通した願いでもあるのではないでしょうか。

 今回の判決を、受けとめることこそ、児童相談所職員の大幅な待遇改善と抜本的な体制強化、児童の環境改善に踏み出す一歩です。今、直面している40名もの児童指導員不足など職員不足の打開にもつながります。知事には、その先頭に立つことを、切望するものです。

 そうしてこそ、保護された児童をはじめ、広く子どもたちの権利と尊厳をまもる確かな道も開けるのではないでしょうか。全国でも例がないと言われている児相の労働環境を巡る訴訟に、画期的な第一審判決が下されました。人権と多様性尊重が叫ばれる今、千葉県の児童福祉行政の歴史に、禍根を残しては、なりません。

 最後に重ねて、職員と子どもたちのために、控訴取り下げの決断を、と、知事に強く求め、議場の皆様のご賛同を心から訴え、以上、議案第4号への反対討論といたします。

以上




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