日本共産党 千葉県議会議員 みわ由美

Google
WWW を検索  サイト内 を検索

活動紹介


12月定例県議会 加藤英雄議員の代表質問(一回目)

 12月定例県議会で12月6日に日本共産党 加藤英雄県議が行った一回目の代表質問(全文)です。

質問項目
1.知事の政治姿勢について
(1)消費税率10%引き上げについて
(2)憲法「改正」について
2.子どもの貧困対策について
(1)実態調査と実効ある計画について
(2)学習、医療費の支援について
3.クロマグロ漁獲規制と沿岸漁業支援について
(1)TAC法に基づく管理について
(2)「水産改革」について
4.河川の災害対策について
(1)河川の「流下能力不足区間」について
(2)災害時の住民避難について
5.教育問題について
(1)「学校における働き方改革推進プラン」について
(2)産休・病休の代替教員配置について
6.TX沿線巨大開発と街づくりについて
7.県立高校のエアコン設置について
 日本共産党を代表し質問いたします。

 初めに知事の政治姿勢についてです。

 安倍内閣は、来年10月に消費税を10%に引き上げることを決めました。増税による国民負担増は4兆円を超える規模になります。しかしいま国民は、これほどの負担に耐えられるでしょうか。県内をみても、労働者の昨年の名目賃金は10年前と比べて月額で1万円も減っており、物価変動を加味した実質賃金は10年で91・2%へと約1割も減っています。これでは今度の増税を受け止められるだけの体力があるとは言えません。しかも全国の実質賃金の変化は94・2%ですから、千葉県の賃金減少率は全国でも大きなものとなっています。
 こんなときに消費税の増税を強行すれば消費が冷え込み、経済に取り返しのつかない打撃を与えることになります。千葉県の経済をみても、県内総生産は名目で2007年度に20兆3380億円を記録して以降、これを上回った年はありません。物価変動を加味した実質でも、2013年度の20兆0270億円から2年連続縮小しています。こうした状況で消費税を増税していいのか、知事はどうお考えか、まず伺います。

 安倍内閣は、来年からの消費税増税を、うそとごまかしで強引に進めようとしています。
 首相は、消費税は「みんなが払う公平な税金」だと言っていますが、はたしてそうでしょうか。消費税は、収入がある人も無い人も、みんな同じ税率での負担が求められるもっとも不公平な税金です。実際に年収2000万円以上の世帯の消費税負担率は1・5%ですが、年収200万円未満では8・9%にもなります。しかも10%に増税されると複数税率を導入しても、2000万円以上の負担率1・8%に対し、200万円未満は10・5%と格差が広がります。消費税ほど不公平な税金、弱いものいじめの税金は無いと思うが、知事の認識はどうか、お答えください。
画像
 政府は、消費税増税は「社会保障を維持するため」などと言い続けていますが、これこそまったくのごまかしです。消費税が増税されるたびに、医療費が上がり、年金が削られてきました。増税されても、保育所の待機児童は解消されず、特別養護老人ホームへの入所待ちで介護殺人や介護自殺など痛ましい事件が後を絶ちません。来年10月の消費税増税でも、これに合わせるかのように後期高齢者医療の窓口負担を倍に引き上げ、要介護1と2を介護保険からはずすなど、財務省から、社会保障をなで斬りにするメニューが公表されました。消費税が増税されても社会保障はドンドンひどくなってきています。どこに消費税は消えたのでしょうか。それは大企業や富裕層への減税の穴埋めです。
 消費税導入以来、国民が支払った消費税の総額は372兆円、一方、大企業への法人3税の減税総額は291兆円に上ります。実に消費税の8割が大企業減税の穴埋めに消えたことになります。これでは、いくら消費税が増えても社会保障に回るはずがありません。消費税を増税する一方で大企業には減税、こんなおかしな税金のあり方を知事はどうお考えか。知事の認識をお聞かせください。

 今回の消費税増税では、適格請求書・インボイス制度の導入が大きな問題になっています。2023年10月から始まるインボイスの義務づけで、売り上げが年1000万円以下の非課税業者は、税務署の登録番号が受けられないため、インボイスを発行できません。取引先は仕入れ税額控除が出来ず、自ら負担せざるを得なくなり取り引きの継続が困難になります。非課税業者は全国で500万、千葉県内でも15万に上るとされており、影響はきわめて大きなものとなります。
 先日、青年経営者のみなさんと懇談する機会がありましたが、そこでも話題は消費税増税に集中しました。
 ネットショップを経営している青年は、「税込み価格で値段を付けているが、来年10月に消費税が10%に増税されたときに、その分、値段を引上げられるかどうかは、周りとの関係できまる。同じ商品を扱っている他業者が上げないのに、自分のところだけ上げたら売れなくなってしまう。『がまん大会』のようなもので、体力が無くなれば辞めるしかない」と不安を語り、インボイスについても「仕入れ先には消費税の免税業者がいるが、インボイスが導入されたらその業者への支払い消費税が控除できなくなるので、きつい。取り引きを止めなければならなくなるかもしれない」と話していました。消費税増税とインボイスの導入で小規模事業者が廃業や倒産の危機に瀕することになるのは明らかですが、知事の認識はどうか。インボイスの導入は止めるよう国に働きかけるべきですが、お答えください。
 大企業への行き過ぎた優遇税制を見直せば4兆円の財源が出来ます。法人税率を安倍政権以前に戻せば2兆円の財源を生み出すことが出来ます。たったこれだけで来年の消費税増税は必要なくなります。税金の集め方を変え、消費税の増税は中止すべきだと考えますが、お答えください。

 次に憲法についてです。

 安倍総理は憲法の改定案を提出すると宣言しました。
 その内容は、憲法9条に自衛隊を書き込み、緊急事態条項を設けることなどとなっています。もしもこのまま実施されれば、自衛隊は、現在の9条が定めている戦力不保持の例外として、軍隊として動くことになります。緊急事態条項も、政府が緊急事態を宣言すれば、総理大臣と内閣に権限が集約され、国会を通さなくても法律と同じ効果を持つ政令が作れるようになります。ナチスドイツが、民主的なワイマール憲法の下でも戦争に突き進んだのは、この緊急事態条項があったからです。権限を内閣に集中し、国民の権利を制限する緊急事態条項は戦争への扉を開くものだと考えますが、知事の見解はどうか。
 安倍総理は、憲法改定を進めるために、来年の参議院選挙までに国民投票を実施する構えでいます。知事も9月議会で「国民各層の意見を十分踏まえ」とか「広く国民的な議論のもとに」などと答えていました。しかし、あと半年あまりで国民的議論が担保できるでしょうか。戦争に向かって大きく踏み出すような憲法改定は断念すべきと思うがどうか、あわせてお答えください。

 次に、子どもの貧困対策について伺います。

 県は2015年「千葉県子どもの貧困対策推進計画」を策定し、とりくみを開始しました。政府は、こどもの貧困が改善傾向にあると言いますが、はたして本当にそうなのか。まず県内での実態について伺います。
 夏休みは給食がないため体重を大きく減らす子、修学旅行代が払えない子、親が仕事でいつも夕食は店の弁当を買いに来る幼い兄弟の姿など、胸痛む実態が県内でも広がっています。またこの間の県の指標をみると、2015年の高校進学率は、県平均では2年前より上昇しているのに、生活保護受給者の進学率は逆に低下し、高校中退率も悪化するなど、格差がいっそう広がってきています。
 文科省の調査では、県内で「朝食を毎日食べる子が減る傾向」にあり、小学6年生の約15%、中学3年生の約22%に、毎日の朝食習慣がないとされています。経済的困窮や、非正規雇用の拡大など親の就労状況の悪化が背景にあるとも言われ、深刻な実態が明らかとなっています。知事は、いっそう深刻となる「子どもの貧困」の現状、実態をどう認識しているのか、まず伺います。
 県は、県内の子どもの貧困率はわからないと言いますが、山形大学の戸室健作准教授の調査では、千葉県の子どもの貧困率は、2012年に10.4%となり、20年前の約3.3倍に急増しているとしています。この結果をどう受け止められるのか、お答え下さい。
 県の現状把握、調査は極めて貧弱だといわなければなりません。2015年の計画策定時に、県内5市の生活保護世帯、僅か188人の保護者の実態調査をしただけで、その後は行われていません。これで県内の子どもの貧困の実態が掴めるでしょうか。
 例えば松戸市では、職員を二人確保し、市内の小学5年生と中学2年生の全児童生徒とその保護者、合計13,578人を対象に調査票を配布し、大規模な「子育て世帯生活実態調査」を実施しました。生活・健康、家計の状況、教育、就労や住環境など、幅広い調査を行い、「4人に1人が生活困難層」との結果を公表しています。市の担当者は「市内の子どもや親のおかれた現状をしっかり把握することが、貧困対策にとって重要」と語っていました。県レベルでも沖縄、広島、東京、大阪などで本格的な調査が行われています。知事、今こそ「子どもの貧困対策」に本腰を入れて取り組むためにも、市町村とも協力して、総合的な実態調査を、緊急に実施すべきではありませんか。お答え下さい。
 次期計画は、それに基づき、子どもの貧困を根絶する明確な数値目標も掲げた、実効ある計画に見直すべきです。答弁を求めます。

 次に、県が生活困窮者自立支援法に基づき、町村で実施している学習支援事業について伺います。県のアンケ一トでは、学習支援事業に参加した最大の理由が「参加費がかからないから」次に「子どもが参加したがったから」となっており、その結果「成績も伸び、ためになった」「もっと回数や教科を増やして」と期待の声が強く寄せられています。しかし17町村中10町村での実施に留まっており、埼玉県では23町村すべてで学習支援教室を多彩に開設しているのと比べても極めて不充分です。県の責任で、この事業を早急に全町村に広げ、ひとり親家庭なども含め生活困難を抱えたすべての子どもたちに、学習支援の機会を保障すべきです。お答え下さい。

 貧困対策の最後に経済的支援について、ひとり親家庭の医療費助成制度の改善を求めて伺います。全国では都道府県の約7割、32自治体で、基本的に窓口での負担がない現物給付となっています。千葉県は償還払いで、一旦窓口で医療費を立て替えなければならず、これがひとり親家庭の大きな負担となっています。
 先日、この春大阪から千葉に転居してきた40代で、高校生の息子さんと二人暮らしのシングルマザ一の方から訴えがありました。「昨年、悪性脳腫瘍に倒れ大きな手術をして、毎月約3万円の医療費がかかります。大阪と違って千葉では窓口で一旦、立て替え払いをしなくてはならず、毎月18万円ほどの傷病手当だけの生活では、その負担が大変です。千葉の制度を知らなかった私が悪いのか。千葉では病気のシングルマザ一は生きていけないのでしょうか」と涙を浮かべていました。知事に率直に伺います。千葉に転居されてきたシングルマザ一の方にこんな辛い思いさせていいのか。お答え頂きたい。 
 知事、県試算でもあと一億円程の予算で現物給付に改善することが可能です。今こそ決断し、ひとり親家庭の経済的負担を軽減すべきです。答弁を求めます。
 同時に、子どもの医療費通院助成を18歳まで広げてほしいの声は切実で、その道を開くためにも、県による通院費助成の拡大は必要不可欠です。東京都の「子供の生活実態調査」でも、医療の受診抑制の理由について、自己負担金が払えなかったと答えたのは、16歳から17歳では2.7%、とりわけ困窮層では18.8%に上ることが明らかになりました。お金がなくて医者にかかれないなどということがあってはなりません。18歳までの医療費助成に道をひらくためにも、知事、子どもの医療費通院助成を、中学3年生まで拡大すべきですがどうか。答弁を求めます。

 次に、クロマグロの漁獲量規制、いわゆるTAC法に基づく管理と、沿岸漁業への支援について伺います。

 水産庁は7月から日本周辺のクロマグロの漁獲規制を、漁獲可能量を示すTAC制度に移行させ、沿岸漁民や漁協には事前説明もいっさいなしで漁獲量配分を示し発表しました。クロマグロの漁獲枠は、30キログラム以下の小型魚とそれ以上の大型魚に分けられます。それを近海を生業とし、漁業経営体の94%を占める小規模な沿岸漁業と、船団を組んで大型の網で魚を一網打尽にする、大型まき網などの沖合漁業との枠に分け、さらに小型沿岸魚業の漁獲枠が県ごとに割り振られます。今回の配分枠は総量で小型沿岸魚業には2050トンに対し、大型中心の沖合漁業は、その2.2倍の4560トン、しかも大型魚の沿岸漁業への配分は、大型まき網などの4分の1以下と極めて理不尽なもので、明らかにニッスイ、ニチロなどの大規模経営体優遇の漁獲割り当てになっています。
 これに怒った全国の沿岸クロマグロ漁民は、6月25日に「配分根拠を明らかにせよ」「大型船優先の配分に反対」「沿岸漁民は生活できない」など、農水省前でプラカードと大漁旗を掲げ怒りの声をあげました。これには「この日は外房での漁は休み」と、千葉の沿岸小型漁船漁協からも多数の漁民が駆けつけています。
 千葉県でも漁協が主体となって生産や漁場行使の調整を担うなど、漁協における話し合いによって秩序ある漁業が行われています。そのルールを無視した、水産庁の上からの押し付けに漁民のみなさんが怒るのは当然ではありませんか。知事の認識をお聞かせください。今回の大型漁船優遇の漁獲枠の根本見直しを国に強く求めるべきではありませんか、お答えください。

 わが党は、勝浦市にある沿岸漁船漁業協同組合で役員の方々からお話を伺ってきました。
 マグロはえ縄漁を営む方は「7月に、3か月間の割当枠を超えてしまったと県から連絡があった。それで自主的に8月、9月は獲らなかった。目の前にマグロがいるのに獲れない。収入はゼロだった」と、資源維持のために漁獲枠を守っていると話されました。他の方は「今年の割当量は、去年の実績の半分程度だ」と話し、さらに「定置網に大型のマグロがかかり、漁獲枠を超えてしまった。その分、自分たちが獲る枠が少なくなるのでは」と不安を口にし、組合長からは「今回の漁獲割り当ては、意欲を持っている若手の漁師がやる気をなくす」との声も寄せられました。
画像
 さらに漁協では、マグロの産卵期は3カ月、自主的に禁漁のルールをつくり、操業時間の短縮も行って、資源の維持・管理に自ら努力している取り組みも話されました。
 知事は、漁業資源を守り、千葉の水産業を支え、地域経済に貢献してきた、これら沿岸漁民の声をどう受け止められますか。 
 知事、海に囲まれた千葉県の主要産業ともいえる漁業を担っている、沿岸漁民のところへ足を向け、その切実な声に耳を傾けていただきたい、なさるかどうか、合わせてお答えください。
 そもそもクロマグロ資源の減少の要因は、言うまでもなく大中まき網など大型遠洋・沖合漁業の乱獲にあります。そこにメスを入れずに、沿岸漁業を切り捨て、漁業と漁場を企業に開放する仕組みに変えようというのが、いま論議されている水産改革、漁業法の改正です。

 今回の法改正の問題の一つは、漁協や地元漁業者を優先してきた、養殖などの定置漁業の漁業権を、地元の頭越しに、知事が企業に直接与え、地元優先のルールは廃止するとしていることです。これでは力のある企業の沿岸漁業への参入・支配が広がり地元漁民が狭い漁場に追い込まれていくことになります。沿岸、近海の漁業権が、漁協一括ではなくバラバラにされ、混乱と対立が広がるのは必至ではありませんか。
 海にはそもそも農地のような個人所有のエリアはありません。地元の海がその地域の専用漁場とされ、漁業権を付与された漁協を中心に漁民たちがルールをつくり、共有で利用する、いわゆる浜の秩序が作られてきました。これは戦前、都会の資産家や企業が優良な漁場を占有し地元漁民が利用でなかった、その反省の上につくられ、70年維持されてきたものです。
 利潤を追求する企業が、わが物顔で地元の海を利用できるようになったら、浜の秩序は乱れ、小規模沿岸漁民が切り捨てられていくことになります、こんな規制緩和は断じて認めることはできないと思うが、知事の見解を伺います。

 もう一つの問題は、海の議会と言われている海区漁業調整員会を公選制から知事の任命制に変えようとしていることです。海区とは大臣が定める海の区割りで、漁業調整委員会は各県に設置されています。千葉県の海区漁業調整委員会も現在、公益代表と、公選によって県内の漁協などから、漁民の代表が参加し、漁業権の免許などの知事の諮問に答えたり、自らの漁業調整も行っています。任命制になれば漁民の声が届きにくくなることは必至であり、企業優先の委員会にもなりかねません。
 知事、漁業調整に漁民の声を公平に反映させる民主的な制度である、現在の公選制の維持を国に強く求めるべきではありませんか、お答えいただきたい。
 今回の「水産改革」は漁民の要求から出てきたものではありません。政府の規制改革推進会議が昨年、検討を開始し、水産庁も一体で作業を進め、今年5月に「改革案」としてまとめたものです。
 衆院農林水産委員会で行われた参考人質疑でも、「地域漁民の生業が保障されるのか」「企業優先に変更するのは戦前のシステムに後戻りすることになる」などの懸念の声が出されています。
 70年ぶりの法改正というなら、拙速な強行は避け、漁民、漁協も含めた国民的な議論こそ必要だと思うがどうか、知事の見解を伺います。

 次に河川の災害対策について質問します。

 近年、異常気象の影響による経験したことのない記録的な雨量で、西日本豪雨災害に見られるような中小河川の氾濫や土砂災害などが起こっています。県内でも2013年10月の台風26号では、従来の観測を上回る大量の雨が短時間かつ広範囲に降り、一宮川など河川護岸の損壊は273カ所に及びました。その被害は甚大で、亡くなった方を含む多数の人的被害や、約5000家屋の床上・床下浸水被害などが発生しています。
 こうしたもとで昨年5月「千葉県大規模氾濫に関する減災対策協議会」が設立され、今年3月には「取組方針」を明らかにしました。その中では「県管理河川流域において大規模氾濫が発生することを前提として、社会全体で常に洪水に備える」とし、「施設では守り切れない大洪水は必ず発生する」との認識が示されています。
 現在、県管理217河川のうち、2016年度時点の時間雨量50ミリ対応の河川整備率は約6割となっています。昨年度行われた、全国中小河川緊急点検の結果、流下能力が不足している区間は、一宮川、大柏川、鹿島川など19河川、のべ7.8キロメートルにおよぶことが明らかとなっています。県は今年度から着手しているとのことですが、ことは急を要します。そこで伺います。流下能力不足区間の整備予算は優先的に確保し、具体的に整備を促進していく必要があると思うが、どうか、お答え下さい。

 洪水被害は最小限に留めなければなりません。そのためには住民への的確な情報伝達による、円滑で迅速な避難が何より求められます。そのための市町村からの適切なタイミングでの避難勧告発令などの発信は人命を守ることに直結します。集中豪雨の時、市長村の判断材料の重要な柱となるのが、水位計などによる河川の増水状況です。現在、河川に設置されている水位計は、本川を中心に63河川108カ所ですが、県管理河川の3割程度にすぎません。減災対策協議会の「取組方針」でも「水位計がない区間があり、情報提供が難しい」ことが減災対策の課題としてあげられています。ところが県は、これは「市町村から出た意見を掲載した」ものであり、「水位計は足りている」と言い張っています。おかしいではありませんか。いったいどちらなのか。水位計が足りなく、河川の洪水情報が適時伝わらなければ、市町村は何をもって情報発信の判断をするというのか、県の見解をお聞かせいただきたい。
 しかもおかしなことに、県は、足りていると言っている水位計について、年内に、市町村からのアンケートを取りまとめるとしています。その上で、県内15か所の土木事務所からの意見聴取を行うとのことですが、やることが逆さまです。河川の流下能力や、堤防の脆弱箇所、洪水の危険地帯など、日常的に地域内の河川の状況を掌握しているのは土木事務所です。ならば、水位計の必要性も含め、ただちに土木事務所の意見をまとめ、必要な対策を講じるべきではありませんか。お答え下さい。
 河川の氾濫で浸水する恐れのある老人福祉施設などを利用する「要配慮者」の避難も重要です。2016年の災害で、岩手県の高齢者施設で9人が亡くなったことを教訓に、昨年6月に水防法が改正され、施設に対して避難計画の策定が義務付けられました。施設を利用する高齢者や障害者を守るために職員配置や避難場所、移動手段などを定めるものです。国交省の調査では、今年3月現在、千葉県では588施設中76施設、13%で全国平均の18%を下回っています。県は、法改正されたばかりで、各施設へ計画作成の周知徹底に力を入れているといいますが、関東1都6県のなかでは一番遅れています。栃木は31%、茨城は29%です。県も認めているように、ネックになっているのは災害による危険が迫ったときの職員体制や、安全な避難場所とそこへの移動手段の確保などです。ぎりぎりの人員体制で運営している施設が多く、とくに夜間は困難が伴います。やはり施設任せでは避難計画の作成はすすまないし、その実効性も不確かなものになる恐れがあります。
 そこで、国に対して、災害時に対応できる人員体制確保への支援を求めるとともに、県としても施設の状況に応じた支援策を検討すべきと思いますが、ご答弁下さい。

 日常的に河川の状況を調べ、危険個所などをチェックしている土木事務所が果たしている役割は大きく、とりわけ、定期的な河川パトロールは極めて重要です。ある土木事務所は、年2回、梅雨どきや台風の季節の前後に各河川の上流、下流5キロ程度を4人一組で、右岸、左岸に分かれて、歩いて堤防の崩れや陥没などの有無を目視で点検し、転落防止用の柵のチェックなどもしています。ところが県は、こうした河川の安全性を確認する土木事務所の職員を、この8年間で52人も減らしてきました。土木工学や建築などの技術職だけをみても、34人も削減しています。その結果、現場では何が起こっているか。台風や集中豪雨の時には、ただちに現場に急行し、危険個所などの点検、現状把握が求められます。しかし現場に派遣できる職員がいない、現場に行けば、事務所が空になる、出るに出られない、これが土木事務所の現状だと伺いました。
 知事、これで、近年、大きな被害を出している河川洪水に対応できる人員体制といえるでしょうか。県は、土木事務所の職員体制の実情について、どのようにお考えか。マンパワーの充実は災害時の住民の安全確保に直結します。その仕事を担っている土木事務所の職員は、十分に確保すべきと思うが、どうか。お答え下さい。

 次に教育問題について伺います。

 初めに8月に発表された「学校における働き方改革推進プラン」についてです。
 まずこの「プラン」の基本目標についてですが、「プラン」では「週あたりの在校時間が60時間をこえる教職員を『ゼロ』にする」ことを当面の目標として掲げています。
 言うまでもなく教職員の所定労働時間は、1日7時間45分で休憩時間が45分、学校における拘束時間は8時間半となっています。
 拘束時間8時間半で、業務が完了する、子どもと向き合う時間もとれる、授業準備も行える、これを学校における本来の働き方として、「改革推進プラン」の基本目標とすべきだがどうか、お答えいただきたい。
 この「プラン」のもとになっているのが、15年前に作成された「教職員の総労働時間の短縮に関する指針」です。この時から教職員の長時間労働が問題になってきていました。
 「指針」に掲げられている課題の中で、唯一「必ず」と義務規定になっているのが、「週に一日は定時退勤日を設ける」というものです。しかし実態はどうか。15年間、定時退勤を実施してきた学校数はまったくわからず、教育事務所が行う学校訪問の聞き取りの項目にすら含まれていませんでした。「指針」は空文化しまったくの学校任せになっていたのではありませんか。
 そこで伺いますが、労働時間の短縮を目的にした「指針」に基づく、この間の取り組みについてどのように検証し、評価をしているのか。学校任せにせずに、「プラン」をどう実効性あるものにしていくのか。合わせてお答えください。

 どうすれば教職員の多忙化を解消し、真の「働き方改革」を進めることができるのか。そのためには多忙化の根本要因を取り除くことが必要です。
 昨年、10年ぶりとなる詳細な国の教員勤務実態調査が公表されました。10年前の調査と比べ、小学校では1日の勤務時間が43分増え、その内容を見ると、増えた時間の8割以上が授業、授業準備となっています。学習指導要領の改訂などによる授業時間などの増加が教職員の大きな負担になっていることがわかります。
 10年間で最も増えている授業時間、この増えた分の業務を軽減しようと思えば、どうするか。授業は教員しか対応できません。教員を増やす以外に軽減策はないと思うが、教育長の見解を伺います。

 国の調査でもう一つ明らかになったのは受け持ち児童数と勤務時間の関係です。小学校では受持ち児童数が少なく、学級規模が小さい少人数学級になっていけばいくほど、成績処理などの時間も短くなり、総勤務時間が減少していくことが明らかになっています。
 多忙化を解消し、総労働時間を減らす「学校における働き方改革」の要は、少人数学級を推進し、それに見合う教職員を増やしていくことにあると思うがどうかお答えください。
次に、産休、病休などの替わりの先生が配置されない、いわゆる未配置問題について伺います。
 教員不足「定数に対し全国で600人」「本県105人、公表自治体で最多」と報道され、千葉県は全国でも際立った未配置の現状にあることが明らかになりました。
 今年の未配置は、異常な事態となっています。11月1日時点の未配置総数は141人で、昨年の2.5倍にもなっています。
 「講師の配置を進めている」と言ってきましたが、今年の教員未配置は集計し始めてから最悪の事態となっています。なぜこんな異常事態になっているのかお答えいただきたい。
 とりわけ深刻なのが産休・育休の替わりの先生が配置されていないことです。この時期、昨年は9人だった未配置が今年は35人、4倍にもなっています。現在の産休未配置は最長で6カ月にもなります。申請をしてから一年近くになろうというのに、いまだに配置されずに、学校現場に多大なしわ寄せが押し付けられた状態が続いています。

 私は産休未配置の問題で柏市内の小学校でお話を伺ってきました。この学校では9月2日から産休に入った教員の替わりの配置がなく、現在、教務主任がクラス担任を兼務しています。この方は昨年度に妊娠が分かった時点で産休の申請をしています。当然、市教委を通じて教育事務所にも報告されているはずです。さらに来年1月6日に新たに産休に入る教員がいます。この方は今年6月に産休の申請をしています。このまま未配置という事態になれば、3学期の大事な時期に教頭先生がクラス担任にならざるを得ないと話していました。22学級、26名の教師集団で運営されてきた学校組織が瓦解しかねない事態を招くことにもなりかねません。
 県内で現在申請されているだけで、今年度末までの産休取得見込み者は183人と推計され、当然これに見合う新たな代替教員の配置が求められます。
 産休代替教員の配置は、「教職員の出産に際しての補助教職員の確保に関する法律」に定められた県教委の義務であり、未配置は法を逸脱した行為です。教育長の認識を伺います。
 今までの延長では、膨大な未配置を生むことになります。特別の対策が必要になると思うが、県教委はこの異常事態にどのように対処するのか、具体的にお答えいただきたい。
 法第3条では「特別の教職員がある場合においては」として、休暇等補助教員や事故対策教員など、特別の教職員がいれば代替教員として配置することは可能だとしています。
 であるなら解決策はもう明らかではありませんか。法が示すように年度当初から休職等に対応する、特別な教職員を一定数、県の責任で正規採用し、すぐに配置できる体制をつくることが必要なのではありませんか、お答えいただきたい。

 次に、つくばエクスプレス沿線巨大開発と街づくりについて伺います。

 TX沿線の区画整理事業は事業認可から、すでに20年が経過しました。事業の進捗とともに、駅前周辺には高層マンションが立ち並び、居住者が増え、流山おおたかの森駅周辺の区域では、すでに計画人口2万8600人を上回る、3万0560人の居住人口となっています。
 一方でこの間、区画整理区域内に予定されていた学校用地が次々と返上され、住宅地や業務用地へと用途を変える事業計画変更が行われ、県もこれを容認してきました。
 そこで伺います。人口規模に見合って配置されていた学校予定地がなくなり、これで「家族みんなが快適なまち」を目指すとしてきた、将来の街づくりの基準が満たされるのか、お答えいただきたい。
 ことは学校建設の問題です。県内の学校教育の充実発展に責任を持つ立場にある教育庁との協議はどのように行われてきたのか、お答えください。

 流山市内の、TX沿線学区の小中学校では軒並み児童生徒が急増し、いわゆるマンモス校が次々と生まれ、いま大きな問題になってきています。
 文科省は小学校の適正規模を12学級〜18学級とし、25学級以上を大規模校、31学級を超える過大規模校は「速やかにその解消を図る」としています。
 すでに34学級、38学級という過大規模校が生まれ、さらに市が行った推計では、2023年度には、市内17の小学校のうちTX沿線の6校が過大規模校となり、うち4校は40学級を超える規模になるとも想定されています。
 TX沿線に出現している、超過大規模校について、教育長はどのような認識をお持ちか。
 過大規模校への市教委の対応に保護者からも批判が寄せられています。市教委は市議会で「県の学級編成の弾力的運用で48学級まで容認」すると答弁し、保護者説明会では「48学級を超える学校については1学級を40人に戻す」などと驚くべき発言まで飛び出しています。
 これまで作られてきたルールも無視した、あまりにも無責任な発言ではありませんか。教育長はどのように対応するのか、お答えいただきたい。
 過大規模校の学校現場では、いま何が起こっているのか。先月、現場で苦労されている先生方からお話を伺ってきました。
 38学級、全校で1250人の規模となっている小学校では、校舎の増築が行われ、グランドが狭くなった中で運動会が行われました。当日は児童、保護者で混乱するため、保護者は基本、校舎2階デッキからの見学となり、子どもの競技の時だけ、グランドに降りて「学年優先エリア」とのぼり旗で指定された場所からの応援が許可されるという、驚くような運営となっています。
 1年生は8クラスで、校外学習はバス8台での移動となります。結果として4クラスごとの行動としましたが、学年がいっしょに行動することが困難な校外学習となっています。
 下校時間は、いっせいに子どもたちが外の歩道にあふれ危険が伴うために、時間差での下校の指導をしています。
 図書室の利用も、低学年優先で、学年別に利用時間が割り振られ、並んでいても時間内に本を借りられなかった児童もでています。
 さらに「トイレも、水道も足りない」「プールを利用する回数が少ない」などの声も寄せられました。

 一方、学校運営の中心となる教師集団はどうか。「クラス数が多く学年の一体感がない」「学年全体を把握できない」「ほかの教師の担任クラスが覚えられない」など声が出され、さらに教職員も増えたため、「職員室の電話回線が少なく、保護者への連絡も電話の順番待ちとなっている」など、信じられないような学校運営が行われていました。
 教育長は、こんな学校現場の実態をご存知か、このまま放置しておいていいのか。教育長、ぜひ学校現場に足を運んで現状を掴んでいただきたい、なさるかどうか。これで子どもたちの学びを保障し、自立を育む教育条件、環境が整っていると言えるのか、あわせてお答えいただきたい。ただちに過大規模校を解消し適正規模にするために、県教委はどのような指導・援助を行うのか、お答えください。
 開発によって、駅前から移転を余儀なくされた小学校は464人の児童でスタートし、今は1146人、2.5倍となり、開発区域内に新設された小中併設校の小学校では、695人が1250人に増えています。明らかに宅地造成を目的に鉄道建設と一体に県主導で進めてきた、区画整理・開発によってもたらされた人口増であり、児童の急増です。開発の弊害が、児童生徒の学習権を脅かすなど、断じてあってはならないことです。
 県の責任は重大だと思うが、知事の見解をお聞かせいただきたい。

 最後に、この夏、大問題になった県立学校へのエアコン整備について伺います。

 普通教室にエアコンが整備されていない県立高校について、来年度廃校になる1校を除く19校について、来年の夏に向けて、県費によるエアコン整備が実現し、98校の保護者負担についても県負担に切り替えると答弁がありました。この8年、生徒、教職員、市民団体などが繰り返し要求してきたもので、歓迎したいと思います。
 残るは職員室などへのエアコンの整備です。いまだに県立高校88校、特別支援学校28校の職員室にはエアコンが整備されていません。教育長は年間4〜5校へ設置をしてきた、その「整備のペースを早める」と答弁したもののその内容は明らかにされていません。
 率直に伺いますが、生徒たちが学ぶ教室にはエアコンが整備され、一方、先生方の執務室、仕事場である職員室、管理諸室へのエアコンの整備率は、いまだに3割弱に留まっています。なぜこんなに遅れているのか、その理由をお示しください。
 7月に県教委が行った調査で、県立高校の職員室の最高気温は実に39.4度に達していました。知事が言う「災害レベルの暑さ」だったことを示しています。
 その猛暑の中での仕事を余儀なくされる教員は、まさに猛暑災害の被災者です。災害時に求められるのは、被災現場からの緊急避難と、生命、身体を守るための緊急措置を講ずることです。教育環境の整備、労働条件改善のためにも、来年に向け全職員室へのエアコン設置を決断すべきですが、お答えいただきたい。

 以上で一回目の質問を終わります。


TOP