日本共産党 千葉県議会議員 みわ由美

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活動紹介


9月定例県議会 岡田幸子県議の一般質問

9月27日に行った、日本共産党岡田幸子県議の一般質問(全文)です。

質問項目
1.教員の多忙化について
2.行徳定時制高校の統廃合について
3.夜間中学校の教員配置について
4.小規模農家支援について
5.旧血清研究所赤レンガ倉庫の保存について
6.その他
 日本共産党の岡田幸子です。一般質問を行います。はじめは教員の多忙化についてです。「夫は、部活動指導で4月から7月までほとんど休みが取れていない。倒れてしまうのではないかと心配」という女性。「毎日夜8時過ぎまで学校で仕事し、休日も出勤。くたくたです。」という若い先生。教員の長時間過密労働が社会的にも大問題になっています。
 文部科学省もついに動き出し2016年に教職員勤務実態調査をし、県もようやく昨年11月と今年の6月に勤務時間の調査を行いました。はじめて県が行った昨年11月の調査では1日当たりの在校時間は、小・中学校は11時間以上、高等学校や特別支援学校でも10時間を超え、在校時間が週に60時間を超えるいわゆる過労死ラインを超えている教員が、中学校では何と66%にも達しているという大変な実態が明らかになりました。
 多くの教員たちは、心身ともに疲れ果てて精神疾患になってしまう方も後を絶ちません。昨年度の長期療養休暇は145人にも及びました。また、在職者死亡数は32人と増加しています。まさに、教師の健康は脅かされ、命が削り取られています。県教委は今年9月に「学校における働き方改革推進プラン」を打ち出し、週60時間以上在校している教職員をゼロにするとして、業務改善、部活動の見直し、教員の意識改革などを進めるとしていますが、根本的な解決である教員の増員については言及していません。教育長、これで教員の長時間労働が解決されるでしょうか。業務改善などとあわせて教員の増員を進めてこそ多忙化解消につながると思いますがいかがでしょうか。見解を伺います。

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 県教委が勤務時間調査を行ったことは一歩前進ですが、その実態の捉え方には問題があります。千葉県は、休憩時間45分を労働時間から除いていますが、しかし、国が行った詳細な調査によって、休憩は取れていないことが明らかになっています。そのため、千葉県の教員の時間外勤務時間が、国の調査より1時間近くも短くなっているのです。実際、子どもたちの休み時間に、教員は休息などとれません。次の授業のプリントを印刷したり、「〇〇ちゃんが泣いている」などと呼ばれれば、その対応に追われます。給食時間は、気持ちよくみんなで食事ができるよう目配りし、掃除の時間も指導にあたります。いったい何をもって千葉県の教員は45分の休憩時間が取れていると判断したのでしょうか。お答えください。

 見過ごせないのは、教員は休憩も取らないで頑張っているのに、県教委自らが多忙化に拍車をかけている事態が進んでいることです。いま産休や療養休暇の代替教員が来ない、いわゆる未配置が解消されずにいることです。そうでなくても多忙化が激しい学校で、教員が1人でも足りないという事態は、学校にとっては大きな痛手であり、さらに現場を深刻な状況に追い込んでいます。今年4月当初から代替教員未配置は、昨年の2倍、110人にもなりました。
 市川の第6中学校では、昨年度も10月から3月までずっと未配置が続き、今年度も6月から療養休暇の代替教員が確保されていません。この方は週に22時間の授業を受け持っていましたが、美術の専科教員なので、ほかの教員が授業の代行をすることはできません。「1学期は、美術の自習にしていたけれども、2学期は、それもできなくなり、ほかの授業を行っている」と校長先生は言っています。学校に正規科目の授業をできなくさせている。こんなことが許されますか。
 そもそも教員未配置は、子どもたちの学習権の侵害であり、学校現場のやりくりにも限界があります。教育長、長期にわたり教員が配置されない、異常な事態が解消されない。県教委の責任は重大ではありませんか。見解を伺います。

 船橋市では、昨年から未配置対応のために市が補助教員を雇い、4月の新学期から9人が学校に勤務しています。市の担当者は「産休や療養休暇がでた時、すぐに対応でき、学級担任がいないという事態だけは避けている」と言っていました。本来であれば県が対策を講じるべきことです。県教委はいつも教員の確保については「国に定数増を求める」とばかり言います。そういう姿勢だから、いつまでも未配置が解消されないのではないですか。まずは県として未配置などという状況を作らないために、独自に予算をつけて、年度初めから、正規の教員を確保し対策を取っておくべきですがどうか、伺います。

 ここまで深刻になった教員の多忙化を解消するには、子どもの教育に直接関係のない仕事量の軽減に加えて、次の点が必要だと思います。
 その第1は、増加している授業時間数への対応です。2016年に学習指導要領が改訂され、18年前と比べると小学生は年間60時間から70時間も授業時数が増えました。(配布の資料をご覧ください)その結果、ある小学校の1週間の日課表を見ると毎日6時間授業です。教員は、8時に出勤。朝の会が8時5分に始まり、授業を終え、子どもたちを下校させると、すでに午後3時40分を過ぎています。その後、職員会議や校内研修、学年会、生徒指導の会議、分担されている事務の打ち合わせなどで、時計の針は退勤時刻であるはずの4時30分をとうに回っています。まだ終わりません。教室の環境づくりや採点、ノートの点検、学級だよりの作成があり、心配な子どもの家庭へ連絡することもあります。毎日夜7時、8時にようやく帰宅となりますが、こんなに頑張っているのに、本来一番やらなければならない、もっとも優先したいと思っている授業の準備は、いつも後回しにせざるを得ません。文科省も1時間の授業準備に1時間必要と言っています。多くの教員は、一番大事な授業準備や教材研究に時間が取れないでいます。この状況を教育長、どう考えますか。授業の持ち時間の上限を設けるべきではないでしょうか、見解を伺います。
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 第2は、長時間労働をより深刻化させている過熱した部活動のあり方を見直すことです。千葉県の部活動にかける時間は長く、特に中学生は全国第1位です。部活動は学習指導要領で「生徒の自主的・自発的な活動」とされていますが、部活顧問になった教員にとっては、校務であり仕事です。少なくない教員は顧問への要請を拒めず、指導にあたっているのが実情です。スポーツ系の部活の場合、教員は「上達したい」「強くなりたい」という生徒の気持ちや、保護者の意向に応えようと、ついつい無理をしてしまうのです。
 休日を取らないことや、長時間の練習は、成長期の子どもにとっても問題があり、専門家は「スポーツの上達にも支障が出る」と指摘しています。県教委は、スポーツ庁が出したガイドラインに基づき6月に「1週間に2日以上の休養日を設ける」「1日の活動時間は平日2時間、休日3時間とする」という県のガイドラインを策定しました。現在、中学校については各市町村教委へ、高校については各学校に具体的な取り組み方法を作成するよう依頼していますが、各市町村や学校任せになっています。

 茨城県では、具体的な取り組みを示しています。中学も高校も朝の練習は原則禁止として、平日は放課後の2時間にしました。これによって「部活での怪我が減った」「授業にも集中するようになった」「朝ご飯を食べてくるようになった」ということです。また、休日に開かれる大会への参加が多いことから、埼玉県でも茨城県でも東京都でも、参加する大会数に上限を設けることとしていますが、千葉県はそれもせず、各地域・学校に任せています。千葉県のガイドラインは、どこまで実効性が担保できるのか、長時間の部活が続くのではないかと懸念する声が聞かれます。ガイドラインを実効性あるものにするために、休養日、活動時間、大会参加数の上限の設定など、学校任せにせず、県がイニシアチブをとって、徹底させるべきだと思いますがどうか、お答えください。

 教育問題の2つ目は行徳高校定時制課程の統廃合についてです。  行徳定時制は地域の求めに応じて1951年に国府台高校の分校として開校し、1973年、現在の行徳高校に移設されました。これまで長年の間地域の学びのニーズに応えてきたのです。生徒にとってどれだけ大事な学びの場であったか、ある卒業生は「中学校の頃不登校で、勉強も出来ないし、友達もいなかった。不安な気持ちで入学したけど、先生や友達ともすぐに仲良くなれ、卒業できるまで頑張れたので今の自分がある。無くさないで欲しい」と、訴えています。
 県教委が繰り返し言っている統廃合の理由は2つです。1つは「多くの生徒と交わることによって、コミュニケーション能力がつく」としています。そこで伺います。県教委の言い分だと、少人数クラスで学んでいる行徳定時制の生徒は、他の定時制の生徒よりコミュニケーション能力に差があるということになりますが、どんな違いがあるのか、その根拠を具体的に示していただきたい、いかがでしょうか。
 2つは「統合して総合学科にすることによって、いろいろなコースが用意され、学びの選択ができる」と言っています。長年、生徒たちの様子を見てきた先生は「行徳に通う生徒は、多様な選択より、むしろ基礎的な学びを求めている」と話しています。行徳定時制の生徒が多様な選択を求めていると、県教委が判断した理由をお答えください。

 その上、今回のやり方は、あまりにも生徒のことを考えていないやり方だと言えます。行徳定時制の生徒たちは、ほとんどが自転車で通学しています。近くにある学校だから通えるのです。統合先の船橋まで通うことになれば、交通費がかかり負担が増えます。
 また、昨年11月に提案し、今年の3月には決定してしまうなど、生徒や保護者の意向も聞くことなく、あまりにも拙速で乱暴すぎます。さらに、地元市川市内での説明会もしないで済まそうとしています。地元中学校の進路指導の先生からも「がんばろうと決意した生徒たちの大切な進学先をなくしてしまうのか」という声が上がっています。保護者も生徒も不安です。地元で説明会を開催するのは県教委の最低限の責任です。それすら果たさず、統廃合を強行するのですか。地元の「統廃合を止めてほしい」との声に耳を傾け、納得が得られなければ統廃合計画を撤回するべきですがどうか、答弁を求めます。

 教育問題の3つ目は夜間中学の教員配置についてです。  現在、千葉県にある夜間中学は、市川市立大洲中学校夜間学級の一箇所です。同校は3学年で22人が通学していますが、例年、秋以降、生徒が増えて30人以上になるのです。
 先生は、県採用の正規教員が、教頭先生と教諭3人、合計4人しかいないため、大変な苦労を強いられています。在校生の多くは外国籍の方で、日本語の学習に力を注いでおり、しかも、生徒の入学時期が異なることから、一人ひとりの状況にそった丁寧な対応が求められています。学び直したいという日本人生徒にも十分な授業をやりたくても、先生が足りないという厚い壁が立ち塞がっています。このような現場の現状をどう認識していますか。このままで良いとお考えですか、お答え下さい。

 県教委は「大洲は夜間中学校ではない。大洲中学校の夜間学級だから、教員の配置基準はない」と言います。独立した夜間中学校ではなく、公立中学校を使って、夜に生徒が学ぶ夜間の学級だと、学校と学級の違いを理由にして、教員不足を放置しています。しかし、全国31ある夜間中学校のうち28校の名称は「夜間学級」ですが、大洲中のように教員配置が少ないところはありません。千葉県とは大違いです。中学校の中にある学級だろうが、独立した学校だろうが、夜間中学に求められる教育内容は同じはずです。県の責任で教員を増やすべきですがどうでしょうか、伺います。

 今後、県内に夜間中学校を広げていく上で、夜間中学の教員配置基準を明確にすることが求められています。文科省は昼間の中学校と同じ基準を示しています。県の教員配置基準は、「学級担任の人数に、増置教員3人ないし4人をプラスするが、生徒数の状況にもよる」などと極めて曖昧で、さじ加減一つで下回ることもできるものです。必ず配置しなければならない基準そのものをはっきりとさせるべきです。お答え下さい。

 次は農業支援、主に家族が担っている小規模農家支援について伺います。
 国連は2014年「国際家族農業年」を設定し、2019年から2028年を「家族農業の10年」にしました。小規模営農は世界的にも重視されています。県の担当者は「家族農業者が98%を占めていることから支援してきた。これからも支援していく」と言っています。しかし、千葉県の農業は後継者不足や高齢化などで、農家戸数が10年間で2万件も激減し、一方、耕作放棄地は約1割増で、私の住んでいる市川市の3倍以上、19000haにもなってしまいました。まさに千葉県農業の危機と言えます。
 これは米農家の実態を見ても歴然としています。2016年の60㎏あたりの生産コストは平均14215円かかりました。ところが、その年の千葉県産コシヒカリの買取価格は11800円で2600円も少ないのです。これでは米を作れば作る程赤字になり、しかも小規模農家ほど生産コストは上がります。たとえば農業機械の価格は耕作面積の広さに関係なく、耕作地が狭い農家だからと言って割引はされません。それが生産コストにかぶさるため、耕作地2ha以下は2万円を超えてしまうのです。千葉県の米農家は3万1600戸。そのうち耕作面積2ha以下の農家は2万6千戸と82%を占めており、生産費割れが与える影響は極めて深刻です。この状況をどう受け止めていますか。千葉県の米作りの存続が危ぶまれる事態だと思いますがどうか、お答えください。

 千葉県は、国の言うがままに、米農家に国の支援もあることから、飼料米への転作を勧めています。米農家は本来は食用米を作りたいと思っているのです。私たちの主食となるお米を作っている農家へは2010年から行われてきた「農業者戸別所得保障制度」が、2014年度に「経営所得安定政策」に切り替わり、それも今年度から廃止されました。県内では、米農家8000軒に支給されていた9億円の交付金がなくなり、多くの米農家が苦しんでいます。現場では、これを機会に田んぼを止めてしまった人がおり、その田んぼの耕作を頼まれても、なかなか引き受け手が見つかりません。主食用米農家に対する農業者戸別所得補償制度の復活や、販売価格との差額を補てんする「不足払い制度」の創設などを国に強く求めるとともに、県独自で農家への支援を行うべきではないでしょうか。お答えください。

 農家支援の2つ目は、要望の高い免税軽油利用の改善についてです。軽油引取税は、道路に関する費用に当てるために1956年に創設された税制ですが、道路を使わないトラクターなど農業機器には、申請をすることによって1リットル当たり32.1円の課税が免除されます。農業の機械化にともない燃料の使用量は増大し、近年の燃料価格の上昇が農業経営を圧迫している下で、この免税は農家負担を軽減させるものです。しかし、この免税軽油を利用している県内の農業経営体は451戸、農家総数6万2636戸のわずか0.7%です。なぜ利用されないのか、その理由は、まだまだ制度を知らない農家が多いこと。また、「申請の手続きが大変だ」と、しり込みをする農家が多いことがあげられます。県は「できるだけ多くの農家に伝えるよう努力する」とは言いますが、必要なことは、周知に努めると共に、農家の方々の立場に立った改善を行い、もっと多くの方が利用しやすくすることではないでしょうか。まずは、農業事務所で説明会や相談会を開いたり、農家の方々の求めに応じて、出前での説明会や、その場での申請の受付、個別の相談に応じる必要があると思いますがいかがでしょうか。伺います。

 最後に、市川市国府台にある旧血清研究所にある赤レンガ倉庫の保存について伺います。
 市川市国府台にある、旧血清研究所跡地に明治時代に建てられた赤レンガの倉庫が現存しています。これは、県の調べでも、文化財として貴重なもので保存活用するべきであるとされました。また、市川市では村越新市長が誕生し、前市長とは違って、敷地全体を公共用地として活用したいとの考えを示しています。県は、今年度中に建物の下の土壌調査を完了したい旨を示し、市川市は、時期を見計らって、県が求めている公共用地としての活用計画を提出するとしています。貴重な文化施設です。県としても保存・活用のために力を尽くすべきです。そこで伺います、市の意向を十分にくみ取りながら、進めていくべきだと考えますが。見解を伺います。
 以上、一回目の質問とします。


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