9月定例県議会 丸山慎一県議の代表質問
9月25日に行った、日本共産党丸山慎一県議の代表質問(全文)です。
日本共産党を代表して質問を行います。
まず、北海道の地震や台風21号、西日本豪雨など、かつてない規模の災害にあわれた方々に心よりお見舞いを申し上げます。これまでの枠を超えた救済復興対策を急ぐため力を尽くす決意を表明し、最初に知事の政治姿勢について伺います。
今年6月、政府は「経済財政運営と改革の基本方針」、いわゆる骨太の方針2018を閣議決定しました。このなかには、消費税10%への引き上げや、防衛力の大幅強化、大企業優遇策などが列挙されています。とりわけ、消費税増税で国民に負担増を強いる一方で、社会保障制度の連続改悪を推し進めようとしていることは重大です。
この間、75歳以上の医療費窓口2割負担の導入、年金受給開始年齢の引き上げ、介護保険でも要支援のヘルパーとデイサービスが市町村事業へと移行し、保険給付の対象外となりました。特別養護老人ホームへの入所は要介護度3以上に限定され、1割だった利用料に2割負担が持ち込まれました。さらに今年8月からは一部を対象に3割負担が実施されました。ある居宅介護支援事業所では、負担が増えた28人の中で5人がデイサービスやショートステイの回数を減らしました。その分、家族の負担が重くなり、「介護疲れで家庭が壊れてしまうかもしれない」と悲痛な声が聞こえてきています。骨太の方針ではこのうえさらに、要介護度1、2を保険給付から外し、現在無料となっているケアプラン作成への利用者負担を導入しようとしています。このまま進めば文字通り「保険あって介護なし」です。県として国に強く撤回を求めるとともに、県独自の利用料軽減策を講じるべきです。お答え下さい。
県の高齢者保健福祉計画では2020年度の特養ホームの利用見込みはおよそ2万6千人、整備目標は3万人となっています。しかし、今年1月、申し込んでも入れない入所待ちが1万1千人もいるため、仮に整備目標を達成したとしても7千人以上が入所できません。高齢者人口はこれからも伸びていくため入所希望者も増え、ますます入りづらくなります。保険料を支払い、入れる資格があって、入りたいと申し込んでいるのに何年も待たされる。こうした状態が介護自殺などの悲劇を生んでいます。入所待ちの状況などの実態にそって、希望する誰もが入れるように整備目標を改めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
特養ホームの整備を進める上で、介護職員の確保は切実です。昨年、開設するはずだった特養ホームのなかで、職員を確保できなかったために1年も開所が遅れたところがありました。入所待ちを無くすためにも介護職員の確保は緊急の課題です。ところが、千葉県内に11校ある介護福祉士養成校では548人の入学定員にたいして232人、4割程度しか入学していません。県では、養成校の教員を小中学校に派遣して介護のやりがいなどを伝える努力をしていますが、残念ながら効果は上がっていません。入学者が少ない要因は、やりがいを感じていても給料が安いために生活することすらおぼつかないことにあるからです。県でも2020年度に介護職員が1万4千人も不足するとしており、事態は一刻を争います。国でも処遇改善を進めることになっていますが、千葉県でも、保育士への助成に続いて、介護職員にも財政的支援を行うべきだと考えます。知事の見解を求めます。
県は、消費税による収入は、すべて社会保障に充てているとしています。しかし、今年度予算でみると社会保障費2808億円にたいして、消費税収入は1116億円にしかならず、全額充てても全く足りません。県として県民生活を支えるために必要な社会保障費は、財源にかかわらず確保するのは当然だと思いますが、お答えください。
消費税は所得の低い人ほど収入に対する負担割合が重くなり、暮らしにますます重い荷を背負わせることになります。しかも消費を冷え込ませて景気にブレーキをかけることになり、どこからみても最悪の税金です。社会保障の財源に最もふさわしくありません。財源は消費税に頼らず、莫大な利益をため込んでいる大企業や富裕層に、応分の負担を求めて確保すべきだと思いますが、認識をお聞かせください。
政治姿勢の二つ目は、憲法についてです。安倍首相は、9条に自衛隊を書き込むことなどの憲法改定案を次の国会に提出したいと明言しました。しかも来年7月の参議院選挙前に改憲の国民投票を行うとする自民党麻生派の申し入れに、「考え方は全く同じだ」と応じました。このまま進んでいけば、ほんの9カ月程度で国民投票が実施されることになります。しかし、先週の共同通信世論調査では臨時国会に改憲案を提出することに51%が「反対」し、過半数となっています。主権者である国民に十分な議論も保障しない、あまりにも性急なやり方に自民党内からも異論が出ていますが、知事はどうお考えでしょうか。
安倍首相が憲法9条に自衛隊を明記して戦争ができる日本に作り変えようとしているなか、千葉県では、来年6月、「武器見本市」の会場として幕張メッセが使われようとしています。いうまでもなく「武器」は、戦争や武力紛争の際に、戦闘員、非戦闘員を問わず、人を傷つけ、人の命を奪うために使われるものです。「武器見本市」の開催は武器の使用を奨励するものであり、国際紛争を解決する手段として戦争や武力の行使を禁じている憲法の立場に反するのは明らかです。県条例でも、幕張メッセの設置目的は「本県の産業の振興及び文化の発展を図るとともに、本県の国際化に資するため」としており、武器見本市はこれに反します。千葉県議会が決議した「非核平和千葉県宣言」でも「国際社会の理性を信頼し全世界の協力により、戦争という手段によらずに紛争を解決する道を追求するものである」としており、ここにこそ県民の願いがあります。憲法に基づく地方自治体として、人の命を奪うことに手を貸す「武器見本市」に、幕張メッセを提供すべきではないと思いますが、お答え下さい。
次にオスプレイについて伺います。
自衛隊が購入するオスプレイ17機のうち、最初の5機が秋までに日本に納入される予定となっていましたが、一昨日、地元との調整が間に合わないとの理由で、防衛省が「納入延期の方針を固めた」との報道がありました。しかし、延期は1〜2カ月程度で、「年度内の納入を目指して千葉県や木更津市との協議を続ける」とも報道されており、木更津暫定配備の方針を変えたわけではありません。
ところが、知事はこれまで、暫定配備先について「何ら決定していない」と繰り返しており、7月12日の会見では、「決定していないものは、『うわさ』だ」とまで言っています。しかしマスコミは今年の3月、いっせいに「配備先は自衛隊木更津駐屯地で調整中」と報道しました。これにたいして防衛省は抗議も反論もしていません。今回の納入延期報道でも木更津が前提になっています。これでは住民が心配するのは当然のことです。それを単なる「うわさ」だとして退けるのでは、県政を託されている知事として、あまりにも無責任ではありませんか。決定しているかどうかはともかく、「木更津で調整中」という報道は根拠のあるものだと考えますが、知事の認識はいかがでしょうか。
防衛省は、納入延期の動きがあるとはいえ、あとほんの数ヶ月で配備しようというのに、配備先についての情報を示していません。決定前に、地元自治体や住民に相談があってしかるべきです。ところが知事は、「決まっていない」と繰り返し、まったく問題にしていません。その間に準備が進められ、オスプレイが千葉県に配備されることになる。知事の姿勢は、県民をだますような、こうしたやり方に手を貸すのと同じことです。千葉県はもちろん、全国のどこに配備されようが、こんなやり方は許されないと思いますが、お答えください。
防衛省が秋に配備しようとしていたオスプレイを配備できなくなったのは、住民の大きな反対の声があったからです。その背景には、オスプレイほど危険な軍用機はないという事実があります。
オスプレイは一昨年12月に沖縄で墜落しました。昨年8月にオーストラリアで墜落し、9月にはシリアでも墜落しています。わずか10カ月の間に3回も墜落している飛行機など、どこにもありません。しかも、昨年9月に公表された沖縄での墜落事故に関する米軍の調査報告書では、原因はパイロットのミスだとされています。しかし報告書では、パイロットには疲労やストレスの兆候は見られず、任務遂行能力や専門的技術に対する懸念が全くなく、有効な資格を有するクルーチーフだったと記しています。これでもミスは起きる、ここにオスプレイの特殊性があります。構造がきわめて複雑で、操縦の難易度が極めて高いため、ミスの頻度も高く、頻繁に墜落事故を起こすのがオスプレイです。これまで、知事は、オスプレイ自体の安全性について、「国に安全対策を要望している」としていますが、公式の場で安全かどうか、自らの認識を示したことは一度もありません。10ヵ月の間に3回も墜落するオスプレイが本当に安全だと考えているのか、知事自身の認識をぜひ伺いたいと思います。
7月1日に行われたオスプレイ配備に反対する木更津での集会には2200人が集まりました。4年前の集会は500人、2年前は1300人ですから、やるたびに参加者が倍増しており、ここに県民の思いが表れています。オスプレイの配備はここ数ヶ月と切迫しており、決定されてから動くのでは遅すぎます。千葉県として県民の思いに応え、国にたいして、きっぱりと配備反対の立場で臨むことを強く求めるものですが、知事の認識をお聞かせください。
次に石炭火力発電所について伺います。
温室効果ガスによる地球の気温上昇について「気候変動に関する政府間パネル」では、このままいけば今世紀末には、極端な高温や豪雨などの頻度が増加する可能性が高いと指摘しています。日本でもその兆候はすでに表れており、7月の西日本豪雨や40度を超す猛暑などで多くの命が失われました。農業や水産業などにも重大な影響が出ています。温暖化対策は文字通り人類の生存がかかった緊急課題となっています。
ところが千葉県内では、温暖化対策に逆行する石炭火力発電所の建設計画が進められています。千葉市内の蘇我火力発電所では環境影響評価方法書への知事意見が6月に出されましたが、環境への負荷をできる限り避けるとか、海への放水温度を下げて生物への影響を小さくする、可能な限り効率の高い発電施設を導入するなど、すべて石炭火力発電所をつくることを前提にした意見になっています。しかしいま問われているのは、そもそも石炭火力を建設していいのかということです。今年3月に出された環境省の報告書によれば、地球温暖化対策に関するパリ協定の目標を達成するためには、石炭火力からの二酸化炭素排出量を現在より4000万トン減らす必要があります。しかし、全国の石炭火力の新増設計画がすべて稼働すると逆に3000万トン増えることになります。
こうした危機感を背景に国内でも、兵庫県の赤穂市や高砂市、宮城県仙台市などで、計画されていた石炭火力発電所の中止が相次ぎました。千葉県内でも市原市での建設中止に続き、袖ケ浦市の計画も石炭を使わず液化天然ガスに燃料を転換する検討に入ったと報道されています。市原でも袖ヶ浦でも知事は建設を前提とした意見を出してきましたが、世間は、はるか先を行っています。石炭火力発電所は、どんなに条件を整えても認められない、この流れが加速していることについて、知事はどうお考えでしょうか。お答えください。
石炭火力は、採算が合わないことも指摘されています。国内の電力需要は2010年から5年間で10%も減り、その一方で、コストが下がっている再生可能エネルギーは発電量に占める割合が2010年の9%から2016年には15%になりました。これらを背景にアクサやチューリヒなど国際的な大手金融機関が石炭火力から融資を引き上げ、国内でも日本生命が石炭火力への新規の投融資を全面的に取りやめる方針を明らかにしました。環境省も、石炭火力への投資は十分利益を回収できない「座礁資産」になる可能性が高いと指摘しています。石炭火力は経済的にも成り立たなくなっているという今の状況について、知事の認識をお聞かせください。
環境省は、お互いが競争関係にあるなかで、電力業界の自主的取り組みでは排出削減が進まないことを指摘していますが、これは当然のことです。企業は、もうけを上げることを目的としており、人類の未来よりも自分たちのいまの利益を優先させる可能性があるからです。そこで求められるのは企業から独立した行政や政治の役割です。仙台市では、「指導方針」を策定して石炭火力の市内への立地を自粛するよう強く求めるとともに、立地を検討する場合でも中止を含む複数の計画案を作成するなど厳しい手続きを定めています。ところが千葉県では、温室効果ガスの排出について、「地域ごとに考えることに意味はない」などと驚くべき答弁をしてきました。地域での取り組みを強化している仙台市と比べて、あまりにも認識が遅れています。いまでも、「地域ごとに考えることに意味はない」などと考えているのか。はっきりとお答えください。
石炭火力が計画されている千葉市中央区の蘇我地域は川鉄公害訴訟の結果、硫黄酸化物を始め様々な環境規制がかけられていますが、いまでもPM2・5などの基準が達成されず大気汚染が深刻です。「毎日掃除をしてもベランダや窓ガラスが真っ黒になる」など周辺住民の多くが粉塵被害を訴え、中央区の町内自治会連絡協議会も改善を求める要望書を提出しています。いまでも大気汚染に苦しんでいる地域に、新たな排出源となる石炭火力の建設など許されないと思いますが、いかがでしょうか。
環境省は、温暖化対策が進まなかった場合を想定した2100年の天気予報を公開しています。そこでは、札幌市は41度、東京や名古屋では44度という想像を絶する気温になることが示されています。しかし、このときの世代は壊れた地球を受け取る以外にありません。この未来を変えられるのはいまを生きている私たちの世代だけです。知事として持っている権限や影響力をすべて使って、石炭火力発電所の建設を中止させるべきではありませんか、お答えください。
次に道路について伺います。
まず始めに北千葉道路についてです。市川市から船橋市までの約15kmに自動車専用部と一般部を合わせて8車線の巨大な道路を建設する計画が進められています。県は、その目的として、成田空港への移動時間の短縮、周辺道路の渋滞緩和、緊急時の輸送ネットワークの強化などをあげていますが、どれだけ短縮できるのか、どれだけ緩和されるのか、まったく示していません。船橋市で行われた説明会でも「開通後はどの程度の交通量になるのか」との質問に、「現時点ではわからない」と答えています。何台車が走るのかもわからずに、莫大な税金を使って巨大な道路建設が進められていく。これでは建設先にありきだとの批判は免れないと思いますが、認識をお聞かせください。
これまでも大型道路には最優先で、まるで聖域のように税金が投入されてきました。外環道や圏央道、北千葉道路の印西成田間への直轄事業負担金は、国から言われるままに、毎年100億円もの県費が投入され、その累計はすでに3000億円を超えています。これに新たな8車線の北千葉道路が加われば、さらに膨らむことになります。今回整備しようとしている15キロメートル部分の総事業費や県の負担はどの程度を見込んでいるのか、お答えください。
大型道路の建設はこれだけに留まるものではありません。圏央道や富津館山道の4車線化、銚子連絡道路、長生グリーンラインの整備促進、国道16号バイパスの具体化、そして三番瀬の貴重な干潟を破壊する第二湾岸道路の早期具体化なども掲げています。問題は、これらが、県民が望んだ道路なのかということです。県が行った県民世論調査では、生活道路の整備、交通事故対策、通学路の歩道設置などの要望が上位を占め、高速道路や大型道路とはなっていません。この県民の願いに応えるのが県の在り方だと思いますが、知事の認識を伺います。また、三番瀬をはじめとした千葉県の貴重な自然が、道路建設で破壊されるようなことがあってはならないと思いますが、お答えください。
では、県民が望む身近な道路整備はどうなっているでしょうか。船橋市内を横切る木下街道は事故が多発していましたが、船橋法典駅から東へ400mの歩道が整備されたため、歩行者を巻き込んだ事故は、歩道ができる前の4年間で7件から、歩道整備後は歩行者の飛び出しを除けば、自転車との事故1件だけとなっています。歩道整備は命にかかわる大事な事業であり、最優先して予算を確保すべきだと思いますが、いかがでしょうか。また木下街道では、さらに東へ歩道整備が進められており、一刻も早い完成が求められていますが、認識をお聞かせください。
通学路の歩道も遅れたままです。県が管理している道路で交通安全指定道路のうち通学路は1154kmですが、まったく歩道がない区間が325kmも残されています。年間で4から5kmというこれまでの歩道整備のペースでは、すべて完了するまで80年もかかります。通学路のこうした実態について、知事はどうお考えでしょうか、お答えください。
問題なのは生活道路の整備に携わっている土木事務所からの要望額や要望箇所が毎年カットされていることです。土木事務所からの要望額98億円にたいして72億円、要望箇所も7割程度しか予算がついていません。現場の状況を熟知している土木事務所が、必要と判断した箇所を要望しているのに、それが先送りされ、大型道路には優先的に予算が配分される。こんなおかしな話はありません。土木事務所からの要望は満額予算として計上し、県民の命と安全を守るべきだと考えますが、お答えください。
次に県立学校の施設改修とエアコン設置について伺います。
毎年、千葉県内のすべての県立学校から県教育委員会に施設や設備、グランドなどの改修の要望が出されています。今年度の要望件数は合計3026件ですが、毎年2割程度しか予算がつかず、多くが先送りされています。
今年2月、県立船橋高校を訪問して校舎などを見せていただきましたが、あちこちで見受けられるのが雨漏りでした。天井には雨漏りのあとが残り、武道場では大雪による雨漏りで道場にバケツを3つも出して雨を受けていました。学校からは「雨漏りによる漏電の危険があるので、照明はつけないように」との指示が出され、夕方の道場では薄暗い中で生徒たちが剣道の練習をしていました。体育館では、バレーボールのネットの柱が途中で曲がり、床には隙間があって「スライディングレシーブで怪我をしそう」との話でした。校舎の階段は手すりが低く、学校では「命に関わるもの」として最優先で直してくれるように県教委に求めていますが、いまも改善されていません。未来を担う子どもたちが毎日通って学ぶ場所が、これでいいはずがありません。一刻も早い改修が必要だと思いますが、認識をお聞かせください。
船橋啓明高校では、テニスコートの人工芝がはがれていて危険だと6年前から要望を出していましたが、県教委が放置した結果、今年の5月、体育の授業中に先生が転んで怪我をしてしまいました。今年度やっと予算が付いて改修されることになりましたが、昨年度までに直っていれば怪我をしないですみました。他にも、校舎の壁の剥がれ落ちや進路指導室の雨漏りなど急いで直さなければならないところが少なくありません。学校の中で子どもや教職員の安全が脅かされるようなことがあっていいはずがありません。こうした要望は提出されたらすぐに対応するのが当たり前だと思いますが、お答えください。
県立学校から上がってくる要望には、生徒や先生の安全が確保できなくなっているもの、消火栓やポンプの老朽化など法令に照らして不備のあるもの、黒板の表面が痛んでいて書きにくいなど教育そのものに支障を来しているものなど、どれも切実なものばかりです。しかし、予算が付く件数が新たな要望件数より少ないために総件数は増加し、今年度は5年間で最多となりました。これでは先送りの件数が増えるばかりです。少なくとも、新たな要求件数を上回る予算をつけ、総件数を年々減らしていけるようにすべきではないでしょうか。お答えいただきたい。
次に県立学校のエアコン設置について伺います。
今年の夏は記録的な猛暑となり、千葉県内でも35度を超える日が続きました。気象庁も「ひとつの災害だ」としており、過去の経験を超えたものとなりました。ところが県立高校では教室にエアコンが付いていない学校が20校も残されています。これらの高校では、熱中症で教室から救急搬送される生徒もいました。猛暑の中、エアコンのない教室で授業を受けている子どもたちや先生方のことをどう考えているのか、認識をお聞かせください。
20校以外の県立高校では教室にエアコンがついていますが、騒音対策で窓が開けられない5つの高校以外は、保護者がお金を出してエアコンを設置しています。これではとても「県立」とは言えません。一方、神奈川県では、同じ状況を県として解消したと聞いて、先日、お話を伺ってきました。神奈川県でもこれまで教室にエアコンがない高校が残り、あっても保護者負担となっていました。しかし、2013年度から3ヵ年の整備計画を立てて、すべて県負担に切り替えました。エアコンを保護者が購入した学校では県が買い取り、保護者がリースでお金を支払っている学校では、県が同額を負担金として保護者に支払っています。エアコンが付いていなかった高校には県の予算ですべて設置しました。現在、神奈川県ではいっさいの保護者負担なしで、県立高校144校すべてにエアコンが設置されています。普通教室や職員室はもちろんのこと、音楽室や図書室など特別教室にも一部を除いてエアコンがついています。神奈川県の担当者は、「保護者負担では、学校間格差の固定につながりかねないので、すべて公費負担とした」と話していました。また、「健康管理や学習環境改善のため、設置者である県が整備したものだ」と説明し、「今年はすごい猛暑となり、設置していてよかったと感じている」と感想を述べていました。これが本来の姿ではないでしょうか。先週の県議会で知事は、「来年夏に向けて未設置校の普通教室に空調を整備することについて関係部局に検討を指示した」と答え、保護者負担で設置されている高校についても「費用負担について検討する」と述べました。これは一歩前進ですが、あいまいさが残ります。エアコンのない高校に、来年夏に間に合うようにエアコンを付けると明言すべきではありませんか。お答えください。また、保護者負担は全額公費負担に切り替えるべきだと考えますが、答弁を求めます。
県立高校では、先生方が使う職員室にもエアコンが付いていません。関東では千葉県だけという異常事態です。これも、エアコンの設置を保護者負担に頼ってきた結果です。教育環境の整備、労働条件の改善のためにも職員室のエアコン設置も緊急課題です。教育長の決断を求めます。お答えください。
次に障害者福祉について二つ伺います。
一つ目は、県立障害者入所施設袖ケ浦福祉センターについてです。
8月20日、第三者委員会である「進捗管理委員会」から答申が提出されました。内容は、2013年11月に発生した職員による入所者虐待死事件を受けて取り組まれた「集中見直し期間」の提言を含む総括評価です。この中で、県の取り組みについて厳しい意見が多数盛り込まれていますが、最大の問題の一つとして指摘しているのが、将来のセンターの運営理念や将来像を、県が最後まで示さなかったことです。答申では「現行の建物内では少人数を単位としたケアは不可能であり、県が将来像を出さなかったことは事業団の士気をくじいたし、今後このまま現状を容認することは利用者の人権侵害にあたる」と厳しく指摘しています。県としてこの指摘をどう受け止めているのか、お聞かせください。
県はこれについて、「まずは、定員の半減に取り組み、その上で検討するつもりだった」などと言っていますが、こうした議論は通用しません。なぜなら、昨年3月に進捗管理委員会の中間意見が出され、この問題はすでに指摘されていたからです。それをまったく受け止めず、必要な手立ても取らず、総括評価でも、さらに厳しい指摘を受けることになったわけですから言い訳は通用しません。こうなった要因は、すべて進捗管理委員会まかせで、県が自らの問題として主体的に解決する姿勢に立っていなかったことにあると思いますが、いかがでしょうか。
一方、答申では入所者の地域移行について、更生園で進んでいないことが指摘されていますが、なぜ進んでいないのか、その要因についての分析は、ほとんど記載されていません。地域移行は当事者や家族の自主的な判断によって行われるべきであり、数年単位の時間がかかります。一人一人にとって、何が一番いいのか、当事者や家族は何を望んでいるのか、十分、時間をかけて検討すべきものであり、もともと、3年の集中見直し期間に40人を地域移行させるという数的目標を掲げたやり方自体がふさわしくなかったのではないでしょうか。
提言では、来年度から2年間で県立施設としての存廃を検討し、廃止の場合は次の2年間で民間移譲の方法を検討するとされていますが、これ自体が無理な地域移行に結びつきかねないとの懸念が指摘されています。あくまでも入所者と家族の意志と合意を100%尊重するべきだと思いますが、どうでしょうか。
提言では、今後の取り組みについて新たに「在り方を検討する委員会」を立ち上げ、今後の取り組みを検討するとしていますが、その方向は民間移譲に力点が置かれています。しかし、袖ケ浦福祉センターの立て直しは県立だからできなかったのではなく、県が主体的に取り組むことや、財政的に県としての役割を果たすという姿勢に欠けた結果です。神奈川県では、2016年に元職員の入所者殺傷事件が起こった県立「津久井やまゆり園」について、昨年10月、「基本構想」をまとめましたが、県立施設として存続させることや、小規模施設に分散させて利用者の選択の幅を広げ、本人の意思による選択を重視することが明記されています。千葉県でも県立施設として少人数ケアができる施設に移行し、今度こそ県立にふさわしい施設に転換できるようにすべきではないですか。お答えいただきたい。
その際、重要なのは職員の処遇改善や十分な配置です。5年前の事件の背景には、県が予算を大幅に削減した結果、正規職員が大量退職に追い込まれ、十分な知識も経験もない非正規職員が多数雇用されたことがありました。これからは、正規職員を十分配置した入所者への処遇を中心に据えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
障害者の二つ目は障害者雇用率についてです。
中央省庁で障害者雇用率の算定について、障害者の人数に入れてはいけない人が多数に及び、再確認した結果、雇用している障害者の人数が半減したことが大きな問題となっています。しかし国だけではありませんでした。千葉県でも、障害者手帳の未確認が知事部局で12人、水道局で3人、教育委員会で73人ありました。教育委員会ではこれに加えて労働時間が満たないものが9人いました。
厚生労働省のガイドラインでは、障害者雇用率に算定できる障害者は、障害者手帳を所持しているか、産業医などの認定を受けていることが基準となっています。また労働条件でも1年を超えて雇用される見通しであることや、週20時間以上の労働時間が必要です。ところが知事部局では、障害者手帳を持っていないのに、障害者だと認定していました。教育委員会では、手帳の不所持に加えて、本来、算入してはならない週20時間未満の職員も障害者の人数に加えていました。こうした状況について、厳しい自己分析が必要だと思いますが、知事はなぜこうしたことが起こったと考えているのでしょうか。お答えください。
法律で障害者雇用率を定めているのは、障害があろうがなかろうが、働く権利を保障するためであり、単なる数合わせではありません。再確認の結果、知事部局は法定雇用率未達成となり、あと4人の雇用が必要です。教育委員会は154人、警察本部も4・5人たりません。本気で反省しているというのであれば、中途採用や障害者採用枠などをフルに活用して、一刻も早く法定雇用率を達成する手立てをとるべきだと考えますが、どうでしょうか。
次にカジノ実施法とギャンブル依存症について伺います。
7月20日、「統合型リゾート・IR実施法」、いわゆるカジノ法が強行成立させられました。西日本豪雨対策が緊急に求められていたにもかかわらず、数の力で押し切った、まさに暴挙です。そもそもカジノというのはギャンブル・賭博であり、日本の刑法で禁止されてきました。人から金を巻き上げて人生をゆがめ、仕事を奪い、家庭を破壊するからです。それを合法化しようというのですから、多くの国民から批判の声が上がるのは当たり前のことで、「カジノ実施法」成立後の読売新聞の世論調査では、成立を「評価しない」が62%と半数を超えています。日本で民間賭博場を初めて合法化するカジノ実施法について知事はどう認識しているのか、うかがいます。
政府はこれまでカジノを誘致したシンガポールを例にあげ、海外から観光客を呼び込めるとしてギャンブル合法化に突き進んできました。しかし、2010年にカジノを開設したシンガポールでは、カジノが出来てから5年間の外国人観光客の伸び率は124%でしたが、同じ5年間で日本は386%、千葉県も234%となっています。この数字は、カジノなど無くても外国からの観光客は十分増やせることを示しています。逆にカジノが出来れば、観光客を囲い込み、懐から金を吸い上げてしまうため、せっかく豊かな自然や歴史、文化を備えている千葉県内の観光地への客足に、影響が出るのは明らかです。県内観光の振興のためにもカジノはマイナスにしかならないと考えますが、お答えください。
日本は世界でも突出してギャンブル依存症の多い国となっており、320万人もの人が依存症だと言われています。カジノの合法化に当たって政府も依存症対策を講じなければならなくなり、「ギャンブル依存症対策基本法」が成立しました。一方でギャンブルを合法化し、もう一方で「依存症対策法」を作る。アクセルを踏みながらブレーキを踏むような、ちぐはぐなことをやらなければならないところにもギャンブル合法化の矛盾が表れています。
基本法では、教育や知識の普及、医療提供体制の整備、相談支援の充実、経済的負担の軽減、民間団体への支援、人材の確保・養成・資質の向上などが基本的施策としてあげられています。いまでもギャンブル依存症の当事者や家族は苦しんでおり、こうした施策を県としても、一日も早く具体化する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
この間、ギャンブル依存症の家族のみなさんからお話を伺う機会がありました。
懇談の中で、「ギャンブル依存症になった父親を持つ小学生に、お父さんは病気なんだと話して普通に受け入れられるようにした」との話があり、「依存症は病気だという認識を広げていってほしい」との要望が出されました。また、「ギャンブルで多額の借金を抱えてしまっても相談するところがなく、自分で抱え込んでつらかった。もっと早く相談していれば軽いうちに治せたかもしれない」との事例も出され、相談機関の充実や相談員の育成の必要性が強調されました。「施設に8ヵ月間入所して仕事にも復職することが出来たが、月20万円かかった。施設に入った方がいいのに、お金がなくて入れない人もいる。行政から財政的支援をしてほしい」との話も出されました。予防や啓発、相談機関の充実と相談員の育成、施設入所時などの財政的支援など、出された要望は基本法の方向と一致しています。県として、これらの要望に応えるべきではないでしょうか。お答えください。そのためにも県として、当事者や家族の方から直接話を聞いて要望を詳しくつかむべきだと考えますが、いかがでしょうか。
次に県内の鉄道について質問いたします。
鉄道は、県民の移動手段として重要な役割を果たしており、鉄道会社は「安くて便利で安全に」という県民の要望に応えるために公共交通機関として、責任と役割を果たしていく必要があります。しかし県内の鉄道ではそれに逆行する事態が広がっています。その一つがJRや京成電鉄で進められている駅の無人化です。JRでは、この間、千葉支社管内だけでも15の駅が始発から朝7時ごろまで駅員が配置されず、無人となっています。京成電鉄でも、4つの駅で夜11時から終電まで無人化されました。
JRや京成は、遠隔監視システムを導入したので、駅員がいなくても対応できるとしています。しかし実際には、様々な問題が浮かび上がってきています。鉄道側では、トラブルが起きたときはインターホンで監視駅に連絡してほしいと言っていますが、聴覚障害者は、そもそもインターホンが使えません。車いすの人にたいしては、「前日までに駅に連絡してほしい」と掲示しています。直接、駅に行っても、すぐには電車に乗れず、障害者に新たなバリアを課すものとなっています。事故への対応や、「切符が出ない」「自動改札が開かない」などへの対応にも時間がかかることになります。
しかもこれだけ様々な問題が想定されるのに、JRは地元の自治体にも、県にも知らせていませんでした。ホームページにも載せていません。あまりにも利用者の安全も便利さも軽視したやり方であり、容認できないものと考えますが、知事の認識はいかがでしょうか。
JRは、今回の一部時間帯の駅無人化の理由について、「経営合理化のため」という一言で済ませています。「経営合理化」とは、支出を減らして、もうけを上げることです。しかし、JR東日本は現在でも莫大なもうけを上げ続けています。昨年度決算では「当期純利益は2470億円で過去最高」「営業収益も6期連続増収で過去最高」「株主への配当金総額は270億円で、今年度は289億円に増配する見込み」となっています。にもかかわらず無人化を進めようというのですから納得できるものではありません。
JRは公共交通機関であり、営利企業とはいえ利用者を最優先にすべきです。ましてや旧国鉄から国民の財産を引き継いだ会社ですから、当然のことです。そのJRが、株主への配当を増やすためなどを目的に、駅の無人化を進めることなど許されないと考えますが、認識をお答えください。
JR東日本が無人化を進めているのは、千葉県だけではありません。埼玉県でも、同じように無人化が進められています。これにたいして埼玉県は今年2月、JR東日本本社と支社にたいして要望書を提出し、「早朝時間帯の駅係員の再配置」と「駅員の常勤体制」を求めています。千葉県としても、県民や利用者の声を代表して、JR東日本や千葉支社、また京成電鉄などに、駅員配置の復活を求めるべきだと思いますが、どうでしょうか。
鉄道についての二つ目は東葉高速鉄道の高い運賃の引き下げです。
船橋市の「西船橋駅」と八千代市の「東葉勝田台駅」を結んでいる東葉高速鉄道の運賃は異常なほど高く、「東葉勝田台駅」から「西船橋駅」まで630円もかかります。京成電鉄ではほぼ同じ区間となる「勝田台駅」から「京成西船」まで320円しかかからず、東葉高速の半分です。高い運賃の要因は、国がP線方式と呼ばれる有利子資金で建設する方式を採用したため、3000億円を超える有利子負債を抱えてしまったことにあります。しかも財政投融資資金であることを理由に、金利の低い融資に借り換えることを、国が許可しなかったため、支払利息が経営を大きく圧迫してきました。営業を開始した1996年度の支払利息は123億円に達し、利益をすべて利払いに充てても足りない状況となっていました。こうした状態は最近まで続き、昨年度までの22年間で支払った利子の総額は1533億円、元金返済額は954億円となっています。
こうした経緯を見れば、東葉高速鉄道の高運賃は国にも大きな責任があるのは明らかです。2010年12月の千葉県議会でも、P線方式が建設工事の長期化や建設費高騰のリスクをすべて鉄道事業者が負う非常に厳しい制度だとして、長期債務の軽減を求めています。
沿線の自治会のみなさんとの懇談でも「消費税が増税されたとしても、せめて運賃を維持してほしい」「広告料収入を増やしたり、高架下の活用やイベントなど、本業以外の収入増にも力を入れてほしい」「県職員の天下り先となっている人事をあらためてほしい」などの要望や提案が出されました。県としてこうした声に応えるとともに、国にたいして金利の減額や免除、元金返済のさらなる長期化を求めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
質問の最後に、県議会での知事の答弁について一言申し上げたいと思います。知事をはじめとする当局の答弁があまりにも不誠実であり、答弁義務を果たしていないからです。
6月県議会では、4つの会派が代表質問を行いましたが、自民、民主、公明の3会派にたいする答弁時間は40分程度なのに、共産党への答弁時間は27分でした。しかも、複数の質問にたいしてまとめて答える一括答弁も、自民、民主、公明の3会派にはまったく無いのに、共産党にだけは14回も一括で答弁し、当たり前のように行われています。これでは答弁時間が短くなるのは当たり前です。
それでも、質問にたいしてまともに答えているのならまだ救われますが、答弁の内容はすり替えのようなものばかりです。6月議会でも、商店街への補助金ではなく、個別のお店への補助金を求めたのに、「商店街への補助金は実施している」と答え、個別の店については答弁しませんでした。まさにすり替えそのものです。知事も議員も、ともに県民から選ばれた存在であり、立場の違いはあっても県民の前で正々堂々と議論するのが当然の姿だと思いますが、知事はどうお考えでしょうか。
以上ですが、今回の質問に対しては、誠実に、正々堂々と正面から答えていただけるよう心より願って1回目の質問を終わります。
質問項目 1.知事の政治姿勢について(1)社会保障(介護保険)と消費税増税について (2)憲法9条「改憲」と「武器見本市」について 2.陸上自衛隊オスプレイの木更津駐屯地配備計画について 3.石炭火力発電所について 4.北千葉道路と身近な生活道路について 5.県立学校の施設改修とエアコン設置について 6.障害者福祉について (1)袖ケ浦福祉センターについて (2)障害者雇用率について 7.カジノ実施法とギャンブル依存症について 8.県内の鉄道について (1)駅無人化について (2)東葉高速鉄道の運賃引き下げについて 9.県議会での知事答弁について 10.その他 |
日本共産党を代表して質問を行います。
まず、北海道の地震や台風21号、西日本豪雨など、かつてない規模の災害にあわれた方々に心よりお見舞いを申し上げます。これまでの枠を超えた救済復興対策を急ぐため力を尽くす決意を表明し、最初に知事の政治姿勢について伺います。
今年6月、政府は「経済財政運営と改革の基本方針」、いわゆる骨太の方針2018を閣議決定しました。このなかには、消費税10%への引き上げや、防衛力の大幅強化、大企業優遇策などが列挙されています。とりわけ、消費税増税で国民に負担増を強いる一方で、社会保障制度の連続改悪を推し進めようとしていることは重大です。
この間、75歳以上の医療費窓口2割負担の導入、年金受給開始年齢の引き上げ、介護保険でも要支援のヘルパーとデイサービスが市町村事業へと移行し、保険給付の対象外となりました。特別養護老人ホームへの入所は要介護度3以上に限定され、1割だった利用料に2割負担が持ち込まれました。さらに今年8月からは一部を対象に3割負担が実施されました。ある居宅介護支援事業所では、負担が増えた28人の中で5人がデイサービスやショートステイの回数を減らしました。その分、家族の負担が重くなり、「介護疲れで家庭が壊れてしまうかもしれない」と悲痛な声が聞こえてきています。骨太の方針ではこのうえさらに、要介護度1、2を保険給付から外し、現在無料となっているケアプラン作成への利用者負担を導入しようとしています。このまま進めば文字通り「保険あって介護なし」です。県として国に強く撤回を求めるとともに、県独自の利用料軽減策を講じるべきです。お答え下さい。
県の高齢者保健福祉計画では2020年度の特養ホームの利用見込みはおよそ2万6千人、整備目標は3万人となっています。しかし、今年1月、申し込んでも入れない入所待ちが1万1千人もいるため、仮に整備目標を達成したとしても7千人以上が入所できません。高齢者人口はこれからも伸びていくため入所希望者も増え、ますます入りづらくなります。保険料を支払い、入れる資格があって、入りたいと申し込んでいるのに何年も待たされる。こうした状態が介護自殺などの悲劇を生んでいます。入所待ちの状況などの実態にそって、希望する誰もが入れるように整備目標を改めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
特養ホームの整備を進める上で、介護職員の確保は切実です。昨年、開設するはずだった特養ホームのなかで、職員を確保できなかったために1年も開所が遅れたところがありました。入所待ちを無くすためにも介護職員の確保は緊急の課題です。ところが、千葉県内に11校ある介護福祉士養成校では548人の入学定員にたいして232人、4割程度しか入学していません。県では、養成校の教員を小中学校に派遣して介護のやりがいなどを伝える努力をしていますが、残念ながら効果は上がっていません。入学者が少ない要因は、やりがいを感じていても給料が安いために生活することすらおぼつかないことにあるからです。県でも2020年度に介護職員が1万4千人も不足するとしており、事態は一刻を争います。国でも処遇改善を進めることになっていますが、千葉県でも、保育士への助成に続いて、介護職員にも財政的支援を行うべきだと考えます。知事の見解を求めます。
県は、消費税による収入は、すべて社会保障に充てているとしています。しかし、今年度予算でみると社会保障費2808億円にたいして、消費税収入は1116億円にしかならず、全額充てても全く足りません。県として県民生活を支えるために必要な社会保障費は、財源にかかわらず確保するのは当然だと思いますが、お答えください。
消費税は所得の低い人ほど収入に対する負担割合が重くなり、暮らしにますます重い荷を背負わせることになります。しかも消費を冷え込ませて景気にブレーキをかけることになり、どこからみても最悪の税金です。社会保障の財源に最もふさわしくありません。財源は消費税に頼らず、莫大な利益をため込んでいる大企業や富裕層に、応分の負担を求めて確保すべきだと思いますが、認識をお聞かせください。
政治姿勢の二つ目は、憲法についてです。安倍首相は、9条に自衛隊を書き込むことなどの憲法改定案を次の国会に提出したいと明言しました。しかも来年7月の参議院選挙前に改憲の国民投票を行うとする自民党麻生派の申し入れに、「考え方は全く同じだ」と応じました。このまま進んでいけば、ほんの9カ月程度で国民投票が実施されることになります。しかし、先週の共同通信世論調査では臨時国会に改憲案を提出することに51%が「反対」し、過半数となっています。主権者である国民に十分な議論も保障しない、あまりにも性急なやり方に自民党内からも異論が出ていますが、知事はどうお考えでしょうか。
安倍首相が憲法9条に自衛隊を明記して戦争ができる日本に作り変えようとしているなか、千葉県では、来年6月、「武器見本市」の会場として幕張メッセが使われようとしています。いうまでもなく「武器」は、戦争や武力紛争の際に、戦闘員、非戦闘員を問わず、人を傷つけ、人の命を奪うために使われるものです。「武器見本市」の開催は武器の使用を奨励するものであり、国際紛争を解決する手段として戦争や武力の行使を禁じている憲法の立場に反するのは明らかです。県条例でも、幕張メッセの設置目的は「本県の産業の振興及び文化の発展を図るとともに、本県の国際化に資するため」としており、武器見本市はこれに反します。千葉県議会が決議した「非核平和千葉県宣言」でも「国際社会の理性を信頼し全世界の協力により、戦争という手段によらずに紛争を解決する道を追求するものである」としており、ここにこそ県民の願いがあります。憲法に基づく地方自治体として、人の命を奪うことに手を貸す「武器見本市」に、幕張メッセを提供すべきではないと思いますが、お答え下さい。
次にオスプレイについて伺います。
自衛隊が購入するオスプレイ17機のうち、最初の5機が秋までに日本に納入される予定となっていましたが、一昨日、地元との調整が間に合わないとの理由で、防衛省が「納入延期の方針を固めた」との報道がありました。しかし、延期は1〜2カ月程度で、「年度内の納入を目指して千葉県や木更津市との協議を続ける」とも報道されており、木更津暫定配備の方針を変えたわけではありません。
ところが、知事はこれまで、暫定配備先について「何ら決定していない」と繰り返しており、7月12日の会見では、「決定していないものは、『うわさ』だ」とまで言っています。しかしマスコミは今年の3月、いっせいに「配備先は自衛隊木更津駐屯地で調整中」と報道しました。これにたいして防衛省は抗議も反論もしていません。今回の納入延期報道でも木更津が前提になっています。これでは住民が心配するのは当然のことです。それを単なる「うわさ」だとして退けるのでは、県政を託されている知事として、あまりにも無責任ではありませんか。決定しているかどうかはともかく、「木更津で調整中」という報道は根拠のあるものだと考えますが、知事の認識はいかがでしょうか。
防衛省は、納入延期の動きがあるとはいえ、あとほんの数ヶ月で配備しようというのに、配備先についての情報を示していません。決定前に、地元自治体や住民に相談があってしかるべきです。ところが知事は、「決まっていない」と繰り返し、まったく問題にしていません。その間に準備が進められ、オスプレイが千葉県に配備されることになる。知事の姿勢は、県民をだますような、こうしたやり方に手を貸すのと同じことです。千葉県はもちろん、全国のどこに配備されようが、こんなやり方は許されないと思いますが、お答えください。
防衛省が秋に配備しようとしていたオスプレイを配備できなくなったのは、住民の大きな反対の声があったからです。その背景には、オスプレイほど危険な軍用機はないという事実があります。
オスプレイは一昨年12月に沖縄で墜落しました。昨年8月にオーストラリアで墜落し、9月にはシリアでも墜落しています。わずか10カ月の間に3回も墜落している飛行機など、どこにもありません。しかも、昨年9月に公表された沖縄での墜落事故に関する米軍の調査報告書では、原因はパイロットのミスだとされています。しかし報告書では、パイロットには疲労やストレスの兆候は見られず、任務遂行能力や専門的技術に対する懸念が全くなく、有効な資格を有するクルーチーフだったと記しています。これでもミスは起きる、ここにオスプレイの特殊性があります。構造がきわめて複雑で、操縦の難易度が極めて高いため、ミスの頻度も高く、頻繁に墜落事故を起こすのがオスプレイです。これまで、知事は、オスプレイ自体の安全性について、「国に安全対策を要望している」としていますが、公式の場で安全かどうか、自らの認識を示したことは一度もありません。10ヵ月の間に3回も墜落するオスプレイが本当に安全だと考えているのか、知事自身の認識をぜひ伺いたいと思います。
7月1日に行われたオスプレイ配備に反対する木更津での集会には2200人が集まりました。4年前の集会は500人、2年前は1300人ですから、やるたびに参加者が倍増しており、ここに県民の思いが表れています。オスプレイの配備はここ数ヶ月と切迫しており、決定されてから動くのでは遅すぎます。千葉県として県民の思いに応え、国にたいして、きっぱりと配備反対の立場で臨むことを強く求めるものですが、知事の認識をお聞かせください。
次に石炭火力発電所について伺います。
温室効果ガスによる地球の気温上昇について「気候変動に関する政府間パネル」では、このままいけば今世紀末には、極端な高温や豪雨などの頻度が増加する可能性が高いと指摘しています。日本でもその兆候はすでに表れており、7月の西日本豪雨や40度を超す猛暑などで多くの命が失われました。農業や水産業などにも重大な影響が出ています。温暖化対策は文字通り人類の生存がかかった緊急課題となっています。
ところが千葉県内では、温暖化対策に逆行する石炭火力発電所の建設計画が進められています。千葉市内の蘇我火力発電所では環境影響評価方法書への知事意見が6月に出されましたが、環境への負荷をできる限り避けるとか、海への放水温度を下げて生物への影響を小さくする、可能な限り効率の高い発電施設を導入するなど、すべて石炭火力発電所をつくることを前提にした意見になっています。しかしいま問われているのは、そもそも石炭火力を建設していいのかということです。今年3月に出された環境省の報告書によれば、地球温暖化対策に関するパリ協定の目標を達成するためには、石炭火力からの二酸化炭素排出量を現在より4000万トン減らす必要があります。しかし、全国の石炭火力の新増設計画がすべて稼働すると逆に3000万トン増えることになります。
こうした危機感を背景に国内でも、兵庫県の赤穂市や高砂市、宮城県仙台市などで、計画されていた石炭火力発電所の中止が相次ぎました。千葉県内でも市原市での建設中止に続き、袖ケ浦市の計画も石炭を使わず液化天然ガスに燃料を転換する検討に入ったと報道されています。市原でも袖ヶ浦でも知事は建設を前提とした意見を出してきましたが、世間は、はるか先を行っています。石炭火力発電所は、どんなに条件を整えても認められない、この流れが加速していることについて、知事はどうお考えでしょうか。お答えください。
石炭火力は、採算が合わないことも指摘されています。国内の電力需要は2010年から5年間で10%も減り、その一方で、コストが下がっている再生可能エネルギーは発電量に占める割合が2010年の9%から2016年には15%になりました。これらを背景にアクサやチューリヒなど国際的な大手金融機関が石炭火力から融資を引き上げ、国内でも日本生命が石炭火力への新規の投融資を全面的に取りやめる方針を明らかにしました。環境省も、石炭火力への投資は十分利益を回収できない「座礁資産」になる可能性が高いと指摘しています。石炭火力は経済的にも成り立たなくなっているという今の状況について、知事の認識をお聞かせください。
環境省は、お互いが競争関係にあるなかで、電力業界の自主的取り組みでは排出削減が進まないことを指摘していますが、これは当然のことです。企業は、もうけを上げることを目的としており、人類の未来よりも自分たちのいまの利益を優先させる可能性があるからです。そこで求められるのは企業から独立した行政や政治の役割です。仙台市では、「指導方針」を策定して石炭火力の市内への立地を自粛するよう強く求めるとともに、立地を検討する場合でも中止を含む複数の計画案を作成するなど厳しい手続きを定めています。ところが千葉県では、温室効果ガスの排出について、「地域ごとに考えることに意味はない」などと驚くべき答弁をしてきました。地域での取り組みを強化している仙台市と比べて、あまりにも認識が遅れています。いまでも、「地域ごとに考えることに意味はない」などと考えているのか。はっきりとお答えください。
石炭火力が計画されている千葉市中央区の蘇我地域は川鉄公害訴訟の結果、硫黄酸化物を始め様々な環境規制がかけられていますが、いまでもPM2・5などの基準が達成されず大気汚染が深刻です。「毎日掃除をしてもベランダや窓ガラスが真っ黒になる」など周辺住民の多くが粉塵被害を訴え、中央区の町内自治会連絡協議会も改善を求める要望書を提出しています。いまでも大気汚染に苦しんでいる地域に、新たな排出源となる石炭火力の建設など許されないと思いますが、いかがでしょうか。
環境省は、温暖化対策が進まなかった場合を想定した2100年の天気予報を公開しています。そこでは、札幌市は41度、東京や名古屋では44度という想像を絶する気温になることが示されています。しかし、このときの世代は壊れた地球を受け取る以外にありません。この未来を変えられるのはいまを生きている私たちの世代だけです。知事として持っている権限や影響力をすべて使って、石炭火力発電所の建設を中止させるべきではありませんか、お答えください。
次に道路について伺います。
まず始めに北千葉道路についてです。市川市から船橋市までの約15kmに自動車専用部と一般部を合わせて8車線の巨大な道路を建設する計画が進められています。県は、その目的として、成田空港への移動時間の短縮、周辺道路の渋滞緩和、緊急時の輸送ネットワークの強化などをあげていますが、どれだけ短縮できるのか、どれだけ緩和されるのか、まったく示していません。船橋市で行われた説明会でも「開通後はどの程度の交通量になるのか」との質問に、「現時点ではわからない」と答えています。何台車が走るのかもわからずに、莫大な税金を使って巨大な道路建設が進められていく。これでは建設先にありきだとの批判は免れないと思いますが、認識をお聞かせください。
これまでも大型道路には最優先で、まるで聖域のように税金が投入されてきました。外環道や圏央道、北千葉道路の印西成田間への直轄事業負担金は、国から言われるままに、毎年100億円もの県費が投入され、その累計はすでに3000億円を超えています。これに新たな8車線の北千葉道路が加われば、さらに膨らむことになります。今回整備しようとしている15キロメートル部分の総事業費や県の負担はどの程度を見込んでいるのか、お答えください。
大型道路の建設はこれだけに留まるものではありません。圏央道や富津館山道の4車線化、銚子連絡道路、長生グリーンラインの整備促進、国道16号バイパスの具体化、そして三番瀬の貴重な干潟を破壊する第二湾岸道路の早期具体化なども掲げています。問題は、これらが、県民が望んだ道路なのかということです。県が行った県民世論調査では、生活道路の整備、交通事故対策、通学路の歩道設置などの要望が上位を占め、高速道路や大型道路とはなっていません。この県民の願いに応えるのが県の在り方だと思いますが、知事の認識を伺います。また、三番瀬をはじめとした千葉県の貴重な自然が、道路建設で破壊されるようなことがあってはならないと思いますが、お答えください。
では、県民が望む身近な道路整備はどうなっているでしょうか。船橋市内を横切る木下街道は事故が多発していましたが、船橋法典駅から東へ400mの歩道が整備されたため、歩行者を巻き込んだ事故は、歩道ができる前の4年間で7件から、歩道整備後は歩行者の飛び出しを除けば、自転車との事故1件だけとなっています。歩道整備は命にかかわる大事な事業であり、最優先して予算を確保すべきだと思いますが、いかがでしょうか。また木下街道では、さらに東へ歩道整備が進められており、一刻も早い完成が求められていますが、認識をお聞かせください。
通学路の歩道も遅れたままです。県が管理している道路で交通安全指定道路のうち通学路は1154kmですが、まったく歩道がない区間が325kmも残されています。年間で4から5kmというこれまでの歩道整備のペースでは、すべて完了するまで80年もかかります。通学路のこうした実態について、知事はどうお考えでしょうか、お答えください。
問題なのは生活道路の整備に携わっている土木事務所からの要望額や要望箇所が毎年カットされていることです。土木事務所からの要望額98億円にたいして72億円、要望箇所も7割程度しか予算がついていません。現場の状況を熟知している土木事務所が、必要と判断した箇所を要望しているのに、それが先送りされ、大型道路には優先的に予算が配分される。こんなおかしな話はありません。土木事務所からの要望は満額予算として計上し、県民の命と安全を守るべきだと考えますが、お答えください。
次に県立学校の施設改修とエアコン設置について伺います。
毎年、千葉県内のすべての県立学校から県教育委員会に施設や設備、グランドなどの改修の要望が出されています。今年度の要望件数は合計3026件ですが、毎年2割程度しか予算がつかず、多くが先送りされています。
今年2月、県立船橋高校を訪問して校舎などを見せていただきましたが、あちこちで見受けられるのが雨漏りでした。天井には雨漏りのあとが残り、武道場では大雪による雨漏りで道場にバケツを3つも出して雨を受けていました。学校からは「雨漏りによる漏電の危険があるので、照明はつけないように」との指示が出され、夕方の道場では薄暗い中で生徒たちが剣道の練習をしていました。体育館では、バレーボールのネットの柱が途中で曲がり、床には隙間があって「スライディングレシーブで怪我をしそう」との話でした。校舎の階段は手すりが低く、学校では「命に関わるもの」として最優先で直してくれるように県教委に求めていますが、いまも改善されていません。未来を担う子どもたちが毎日通って学ぶ場所が、これでいいはずがありません。一刻も早い改修が必要だと思いますが、認識をお聞かせください。
船橋啓明高校では、テニスコートの人工芝がはがれていて危険だと6年前から要望を出していましたが、県教委が放置した結果、今年の5月、体育の授業中に先生が転んで怪我をしてしまいました。今年度やっと予算が付いて改修されることになりましたが、昨年度までに直っていれば怪我をしないですみました。他にも、校舎の壁の剥がれ落ちや進路指導室の雨漏りなど急いで直さなければならないところが少なくありません。学校の中で子どもや教職員の安全が脅かされるようなことがあっていいはずがありません。こうした要望は提出されたらすぐに対応するのが当たり前だと思いますが、お答えください。
県立学校から上がってくる要望には、生徒や先生の安全が確保できなくなっているもの、消火栓やポンプの老朽化など法令に照らして不備のあるもの、黒板の表面が痛んでいて書きにくいなど教育そのものに支障を来しているものなど、どれも切実なものばかりです。しかし、予算が付く件数が新たな要望件数より少ないために総件数は増加し、今年度は5年間で最多となりました。これでは先送りの件数が増えるばかりです。少なくとも、新たな要求件数を上回る予算をつけ、総件数を年々減らしていけるようにすべきではないでしょうか。お答えいただきたい。
次に県立学校のエアコン設置について伺います。
今年の夏は記録的な猛暑となり、千葉県内でも35度を超える日が続きました。気象庁も「ひとつの災害だ」としており、過去の経験を超えたものとなりました。ところが県立高校では教室にエアコンが付いていない学校が20校も残されています。これらの高校では、熱中症で教室から救急搬送される生徒もいました。猛暑の中、エアコンのない教室で授業を受けている子どもたちや先生方のことをどう考えているのか、認識をお聞かせください。
20校以外の県立高校では教室にエアコンがついていますが、騒音対策で窓が開けられない5つの高校以外は、保護者がお金を出してエアコンを設置しています。これではとても「県立」とは言えません。一方、神奈川県では、同じ状況を県として解消したと聞いて、先日、お話を伺ってきました。神奈川県でもこれまで教室にエアコンがない高校が残り、あっても保護者負担となっていました。しかし、2013年度から3ヵ年の整備計画を立てて、すべて県負担に切り替えました。エアコンを保護者が購入した学校では県が買い取り、保護者がリースでお金を支払っている学校では、県が同額を負担金として保護者に支払っています。エアコンが付いていなかった高校には県の予算ですべて設置しました。現在、神奈川県ではいっさいの保護者負担なしで、県立高校144校すべてにエアコンが設置されています。普通教室や職員室はもちろんのこと、音楽室や図書室など特別教室にも一部を除いてエアコンがついています。神奈川県の担当者は、「保護者負担では、学校間格差の固定につながりかねないので、すべて公費負担とした」と話していました。また、「健康管理や学習環境改善のため、設置者である県が整備したものだ」と説明し、「今年はすごい猛暑となり、設置していてよかったと感じている」と感想を述べていました。これが本来の姿ではないでしょうか。先週の県議会で知事は、「来年夏に向けて未設置校の普通教室に空調を整備することについて関係部局に検討を指示した」と答え、保護者負担で設置されている高校についても「費用負担について検討する」と述べました。これは一歩前進ですが、あいまいさが残ります。エアコンのない高校に、来年夏に間に合うようにエアコンを付けると明言すべきではありませんか。お答えください。また、保護者負担は全額公費負担に切り替えるべきだと考えますが、答弁を求めます。
県立高校では、先生方が使う職員室にもエアコンが付いていません。関東では千葉県だけという異常事態です。これも、エアコンの設置を保護者負担に頼ってきた結果です。教育環境の整備、労働条件の改善のためにも職員室のエアコン設置も緊急課題です。教育長の決断を求めます。お答えください。
次に障害者福祉について二つ伺います。
一つ目は、県立障害者入所施設袖ケ浦福祉センターについてです。
8月20日、第三者委員会である「進捗管理委員会」から答申が提出されました。内容は、2013年11月に発生した職員による入所者虐待死事件を受けて取り組まれた「集中見直し期間」の提言を含む総括評価です。この中で、県の取り組みについて厳しい意見が多数盛り込まれていますが、最大の問題の一つとして指摘しているのが、将来のセンターの運営理念や将来像を、県が最後まで示さなかったことです。答申では「現行の建物内では少人数を単位としたケアは不可能であり、県が将来像を出さなかったことは事業団の士気をくじいたし、今後このまま現状を容認することは利用者の人権侵害にあたる」と厳しく指摘しています。県としてこの指摘をどう受け止めているのか、お聞かせください。
県はこれについて、「まずは、定員の半減に取り組み、その上で検討するつもりだった」などと言っていますが、こうした議論は通用しません。なぜなら、昨年3月に進捗管理委員会の中間意見が出され、この問題はすでに指摘されていたからです。それをまったく受け止めず、必要な手立ても取らず、総括評価でも、さらに厳しい指摘を受けることになったわけですから言い訳は通用しません。こうなった要因は、すべて進捗管理委員会まかせで、県が自らの問題として主体的に解決する姿勢に立っていなかったことにあると思いますが、いかがでしょうか。
一方、答申では入所者の地域移行について、更生園で進んでいないことが指摘されていますが、なぜ進んでいないのか、その要因についての分析は、ほとんど記載されていません。地域移行は当事者や家族の自主的な判断によって行われるべきであり、数年単位の時間がかかります。一人一人にとって、何が一番いいのか、当事者や家族は何を望んでいるのか、十分、時間をかけて検討すべきものであり、もともと、3年の集中見直し期間に40人を地域移行させるという数的目標を掲げたやり方自体がふさわしくなかったのではないでしょうか。
提言では、来年度から2年間で県立施設としての存廃を検討し、廃止の場合は次の2年間で民間移譲の方法を検討するとされていますが、これ自体が無理な地域移行に結びつきかねないとの懸念が指摘されています。あくまでも入所者と家族の意志と合意を100%尊重するべきだと思いますが、どうでしょうか。
提言では、今後の取り組みについて新たに「在り方を検討する委員会」を立ち上げ、今後の取り組みを検討するとしていますが、その方向は民間移譲に力点が置かれています。しかし、袖ケ浦福祉センターの立て直しは県立だからできなかったのではなく、県が主体的に取り組むことや、財政的に県としての役割を果たすという姿勢に欠けた結果です。神奈川県では、2016年に元職員の入所者殺傷事件が起こった県立「津久井やまゆり園」について、昨年10月、「基本構想」をまとめましたが、県立施設として存続させることや、小規模施設に分散させて利用者の選択の幅を広げ、本人の意思による選択を重視することが明記されています。千葉県でも県立施設として少人数ケアができる施設に移行し、今度こそ県立にふさわしい施設に転換できるようにすべきではないですか。お答えいただきたい。
その際、重要なのは職員の処遇改善や十分な配置です。5年前の事件の背景には、県が予算を大幅に削減した結果、正規職員が大量退職に追い込まれ、十分な知識も経験もない非正規職員が多数雇用されたことがありました。これからは、正規職員を十分配置した入所者への処遇を中心に据えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
障害者の二つ目は障害者雇用率についてです。
中央省庁で障害者雇用率の算定について、障害者の人数に入れてはいけない人が多数に及び、再確認した結果、雇用している障害者の人数が半減したことが大きな問題となっています。しかし国だけではありませんでした。千葉県でも、障害者手帳の未確認が知事部局で12人、水道局で3人、教育委員会で73人ありました。教育委員会ではこれに加えて労働時間が満たないものが9人いました。
厚生労働省のガイドラインでは、障害者雇用率に算定できる障害者は、障害者手帳を所持しているか、産業医などの認定を受けていることが基準となっています。また労働条件でも1年を超えて雇用される見通しであることや、週20時間以上の労働時間が必要です。ところが知事部局では、障害者手帳を持っていないのに、障害者だと認定していました。教育委員会では、手帳の不所持に加えて、本来、算入してはならない週20時間未満の職員も障害者の人数に加えていました。こうした状況について、厳しい自己分析が必要だと思いますが、知事はなぜこうしたことが起こったと考えているのでしょうか。お答えください。
法律で障害者雇用率を定めているのは、障害があろうがなかろうが、働く権利を保障するためであり、単なる数合わせではありません。再確認の結果、知事部局は法定雇用率未達成となり、あと4人の雇用が必要です。教育委員会は154人、警察本部も4・5人たりません。本気で反省しているというのであれば、中途採用や障害者採用枠などをフルに活用して、一刻も早く法定雇用率を達成する手立てをとるべきだと考えますが、どうでしょうか。
次にカジノ実施法とギャンブル依存症について伺います。
7月20日、「統合型リゾート・IR実施法」、いわゆるカジノ法が強行成立させられました。西日本豪雨対策が緊急に求められていたにもかかわらず、数の力で押し切った、まさに暴挙です。そもそもカジノというのはギャンブル・賭博であり、日本の刑法で禁止されてきました。人から金を巻き上げて人生をゆがめ、仕事を奪い、家庭を破壊するからです。それを合法化しようというのですから、多くの国民から批判の声が上がるのは当たり前のことで、「カジノ実施法」成立後の読売新聞の世論調査では、成立を「評価しない」が62%と半数を超えています。日本で民間賭博場を初めて合法化するカジノ実施法について知事はどう認識しているのか、うかがいます。
政府はこれまでカジノを誘致したシンガポールを例にあげ、海外から観光客を呼び込めるとしてギャンブル合法化に突き進んできました。しかし、2010年にカジノを開設したシンガポールでは、カジノが出来てから5年間の外国人観光客の伸び率は124%でしたが、同じ5年間で日本は386%、千葉県も234%となっています。この数字は、カジノなど無くても外国からの観光客は十分増やせることを示しています。逆にカジノが出来れば、観光客を囲い込み、懐から金を吸い上げてしまうため、せっかく豊かな自然や歴史、文化を備えている千葉県内の観光地への客足に、影響が出るのは明らかです。県内観光の振興のためにもカジノはマイナスにしかならないと考えますが、お答えください。
日本は世界でも突出してギャンブル依存症の多い国となっており、320万人もの人が依存症だと言われています。カジノの合法化に当たって政府も依存症対策を講じなければならなくなり、「ギャンブル依存症対策基本法」が成立しました。一方でギャンブルを合法化し、もう一方で「依存症対策法」を作る。アクセルを踏みながらブレーキを踏むような、ちぐはぐなことをやらなければならないところにもギャンブル合法化の矛盾が表れています。
基本法では、教育や知識の普及、医療提供体制の整備、相談支援の充実、経済的負担の軽減、民間団体への支援、人材の確保・養成・資質の向上などが基本的施策としてあげられています。いまでもギャンブル依存症の当事者や家族は苦しんでおり、こうした施策を県としても、一日も早く具体化する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
この間、ギャンブル依存症の家族のみなさんからお話を伺う機会がありました。
懇談の中で、「ギャンブル依存症になった父親を持つ小学生に、お父さんは病気なんだと話して普通に受け入れられるようにした」との話があり、「依存症は病気だという認識を広げていってほしい」との要望が出されました。また、「ギャンブルで多額の借金を抱えてしまっても相談するところがなく、自分で抱え込んでつらかった。もっと早く相談していれば軽いうちに治せたかもしれない」との事例も出され、相談機関の充実や相談員の育成の必要性が強調されました。「施設に8ヵ月間入所して仕事にも復職することが出来たが、月20万円かかった。施設に入った方がいいのに、お金がなくて入れない人もいる。行政から財政的支援をしてほしい」との話も出されました。予防や啓発、相談機関の充実と相談員の育成、施設入所時などの財政的支援など、出された要望は基本法の方向と一致しています。県として、これらの要望に応えるべきではないでしょうか。お答えください。そのためにも県として、当事者や家族の方から直接話を聞いて要望を詳しくつかむべきだと考えますが、いかがでしょうか。
次に県内の鉄道について質問いたします。
鉄道は、県民の移動手段として重要な役割を果たしており、鉄道会社は「安くて便利で安全に」という県民の要望に応えるために公共交通機関として、責任と役割を果たしていく必要があります。しかし県内の鉄道ではそれに逆行する事態が広がっています。その一つがJRや京成電鉄で進められている駅の無人化です。JRでは、この間、千葉支社管内だけでも15の駅が始発から朝7時ごろまで駅員が配置されず、無人となっています。京成電鉄でも、4つの駅で夜11時から終電まで無人化されました。
JRや京成は、遠隔監視システムを導入したので、駅員がいなくても対応できるとしています。しかし実際には、様々な問題が浮かび上がってきています。鉄道側では、トラブルが起きたときはインターホンで監視駅に連絡してほしいと言っていますが、聴覚障害者は、そもそもインターホンが使えません。車いすの人にたいしては、「前日までに駅に連絡してほしい」と掲示しています。直接、駅に行っても、すぐには電車に乗れず、障害者に新たなバリアを課すものとなっています。事故への対応や、「切符が出ない」「自動改札が開かない」などへの対応にも時間がかかることになります。
しかもこれだけ様々な問題が想定されるのに、JRは地元の自治体にも、県にも知らせていませんでした。ホームページにも載せていません。あまりにも利用者の安全も便利さも軽視したやり方であり、容認できないものと考えますが、知事の認識はいかがでしょうか。
JRは、今回の一部時間帯の駅無人化の理由について、「経営合理化のため」という一言で済ませています。「経営合理化」とは、支出を減らして、もうけを上げることです。しかし、JR東日本は現在でも莫大なもうけを上げ続けています。昨年度決算では「当期純利益は2470億円で過去最高」「営業収益も6期連続増収で過去最高」「株主への配当金総額は270億円で、今年度は289億円に増配する見込み」となっています。にもかかわらず無人化を進めようというのですから納得できるものではありません。
JRは公共交通機関であり、営利企業とはいえ利用者を最優先にすべきです。ましてや旧国鉄から国民の財産を引き継いだ会社ですから、当然のことです。そのJRが、株主への配当を増やすためなどを目的に、駅の無人化を進めることなど許されないと考えますが、認識をお答えください。
JR東日本が無人化を進めているのは、千葉県だけではありません。埼玉県でも、同じように無人化が進められています。これにたいして埼玉県は今年2月、JR東日本本社と支社にたいして要望書を提出し、「早朝時間帯の駅係員の再配置」と「駅員の常勤体制」を求めています。千葉県としても、県民や利用者の声を代表して、JR東日本や千葉支社、また京成電鉄などに、駅員配置の復活を求めるべきだと思いますが、どうでしょうか。
鉄道についての二つ目は東葉高速鉄道の高い運賃の引き下げです。
船橋市の「西船橋駅」と八千代市の「東葉勝田台駅」を結んでいる東葉高速鉄道の運賃は異常なほど高く、「東葉勝田台駅」から「西船橋駅」まで630円もかかります。京成電鉄ではほぼ同じ区間となる「勝田台駅」から「京成西船」まで320円しかかからず、東葉高速の半分です。高い運賃の要因は、国がP線方式と呼ばれる有利子資金で建設する方式を採用したため、3000億円を超える有利子負債を抱えてしまったことにあります。しかも財政投融資資金であることを理由に、金利の低い融資に借り換えることを、国が許可しなかったため、支払利息が経営を大きく圧迫してきました。営業を開始した1996年度の支払利息は123億円に達し、利益をすべて利払いに充てても足りない状況となっていました。こうした状態は最近まで続き、昨年度までの22年間で支払った利子の総額は1533億円、元金返済額は954億円となっています。
こうした経緯を見れば、東葉高速鉄道の高運賃は国にも大きな責任があるのは明らかです。2010年12月の千葉県議会でも、P線方式が建設工事の長期化や建設費高騰のリスクをすべて鉄道事業者が負う非常に厳しい制度だとして、長期債務の軽減を求めています。
沿線の自治会のみなさんとの懇談でも「消費税が増税されたとしても、せめて運賃を維持してほしい」「広告料収入を増やしたり、高架下の活用やイベントなど、本業以外の収入増にも力を入れてほしい」「県職員の天下り先となっている人事をあらためてほしい」などの要望や提案が出されました。県としてこうした声に応えるとともに、国にたいして金利の減額や免除、元金返済のさらなる長期化を求めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
質問の最後に、県議会での知事の答弁について一言申し上げたいと思います。知事をはじめとする当局の答弁があまりにも不誠実であり、答弁義務を果たしていないからです。
6月県議会では、4つの会派が代表質問を行いましたが、自民、民主、公明の3会派にたいする答弁時間は40分程度なのに、共産党への答弁時間は27分でした。しかも、複数の質問にたいしてまとめて答える一括答弁も、自民、民主、公明の3会派にはまったく無いのに、共産党にだけは14回も一括で答弁し、当たり前のように行われています。これでは答弁時間が短くなるのは当たり前です。
それでも、質問にたいしてまともに答えているのならまだ救われますが、答弁の内容はすり替えのようなものばかりです。6月議会でも、商店街への補助金ではなく、個別のお店への補助金を求めたのに、「商店街への補助金は実施している」と答え、個別の店については答弁しませんでした。まさにすり替えそのものです。知事も議員も、ともに県民から選ばれた存在であり、立場の違いはあっても県民の前で正々堂々と議論するのが当然の姿だと思いますが、知事はどうお考えでしょうか。
以上ですが、今回の質問に対しては、誠実に、正々堂々と正面から答えていただけるよう心より願って1回目の質問を終わります。