日本共産党、松戸市選出の三輪由美です。党を代表して質問します。
まず、知事の政治姿勢について伺います。
多くの国民の反対の声を押し切って強行した安保法制、戦争法が3月29日に施行されました。これによって南スーダンでの駆けつけ警護と呼ばれる武力行使が可能となり、戦後初めて日本の自衛隊が殺し、殺されるという危険が現実のものとなってきました。見過ごせないのは、ここへ来て自民党などから、北朝鮮の脅威から国を守るために集団的自衛権をなどという議論が出ていることです。なぜ北朝鮮問題への対応に集団的自衛権が必要なのか。集団的自衛権の行使とは、日本を攻撃していない国に日本の側から武力行使をすることであり、それは相手国から見れば、事実上の日本による先制攻撃となり、我が国を攻撃する大義名分を与えることになります。結局、国民の命を守ることではなく、国民を進んで危険にさらすことになる、ここに集団的自衛権の本質があります。北朝鮮問題を利用して戦争法、集団的自衛権行使を合理化することは論理上全く成り立たないと思うが、知事の見解を伺います。
北朝鮮の国連決議を無視した核兵器、ミサイル開発の暴挙は断じて許されるものではありません。知事も記者会見で国際社会と連携して臨んでいただきたいと述べているように、今必要なのは軍事による対応ではなく、6カ国協議など、北朝鮮を対話による解決のテーブルに着かせるために、国際社会が粘り強く一致した対応を強めることではありませんか。知事の認識をお聞かせください。
解釈改憲によって戦争法を強行成立させた後、安倍首相が狙っているのは憲法の全面改定であり、在任中にも成し遂げたいと公言し、明文改憲への執念をむき出しにしています。では、安倍首相が掲げる自民党憲法改正草案とはどんなものか。
第1に、自民党改憲案の最大の狙いは、戦力を持たない、交戦権を認めないと定めた憲法9条2項を削除し、国防軍を創設することにあります。これによって、憲法上許されないとしてきた海外での武力行使が何の制約もなく行える、まさに戦争法に憲法上の根拠を与え、戦争する国づくりを完成させることが目的であると言わなければなりません。
そこで率直に伺います。知事も国防軍の創設が今必要だなどと思っているのか、お答えください。
第2に、緊急事態条項が改憲案に盛り込まれていることです。緊急事態と政府が判断すれば、法律と同じ効力のある政令を制定できるとされており、首相と内閣に権限が集中し、何でもできることになってしまいます。さらに重大なのは、緊急事態のもとでは、首相が自治体の長に対して必要な指示をすることができると、地方自治体が国の監視下に置かれ、事実上の戒厳令をも可能になるという、とんでもないものとなっています。地方自治破壊とも言うべき条項まで盛り込まれていることに知事はどのような認識をお持ちか、お答えください。
第3に、基本的人権が制限され、憲法が国民を縛る道具にさせられてしまうということです。自民党改憲案のもとで基本的人権はどうなるのか。現行憲法13条の公共の福祉の規定は公益及び公の秩序に書きかえられ、これに反してはならないとして、公益を優先し、基本的人権の制約が可能となっています。さらに、国民に新たに憲法尊重擁護義務を課すなど、国民の権利を守るために権力を縛るのではなく、逆に憲法で国民を縛るものになっている、知事はこのことを御存じかどうか。知事も、日本国憲法は我が国の最高法規であり、憲法を尊重し遵守することは当然のことと答弁しています。その憲法を戦争と独裁と抑圧の道具へと変質させる自民党憲法改正草案は絶対に許してはならないと思うが、どうか、お答えください。
今、戦争法に反対する戦いを通じて、安倍政権の独裁的政治に対して国民一人一人が立ち上がる、戦後かつてない新しい市民運動が沸き起こっています。それは今や主権者としての強い自覚のもと、政治を変える力へと発展してきており、その声に後押しされて、戦後史上初めての野党と市民の共闘が力強く全国に広がっています。今回の参議院選挙で、全国32の1人区全てで野党と市民との統一候補が実現するなど画期的な流れがつくられています。我が党はこの力をさらに発展させ、戦争法廃止、立憲主義を取り戻すために全力を尽くします。
次に、暮らしと経済の問題について伺います。
国民の8割以上が景気がよくなったとは思わないと答えるなど、既にアベノミクスの失敗、破綻は明らかとなっています。この間のアベノミクスは国民に何をもたらしたのか。一部の大企業や富裕層には巨額の利益がもたらされました。日本の富裕層の上位40人の資産総額は、この4年間で2倍以上へ膨れ上がっています。一方、中間層の疲弊と貧困の新たな広がりが深刻になっており、この3年間、貯蓄ゼロ世帯は過去最高に達し、今や全世帯の3分の1以上にも及んでいます。結局、アベノミクスのもとでつくられたのは巨額の富の集中と独占、格差と貧困の拡大だった、知事、この事実はお認めですか、伺います。
格差を正し、貧困をなくして国民の暮らしを安定させるために経済政策の転換が今こそ必要だと思うが、知事の基本認識をお聞かせください。
国民の暮らし最優先で経済を立て直すために今3つの転換が求められています。
第1に、税金の集め方を変えることです。所得の低い人に重くのしかかる消費税は最悪の景気破壊税であり、10%への増税は中止すべきです。一昨年の8%への増税後の家計消費の落ち込みに、安倍首相も予想以上に消費が落ち込み、予想以上に長引いていると、その見通しの誤りを認めざるを得ませんでした。増税するならアベノミクスで大もうけをした富裕層と大企業ではありませんか。国に対して、消費税増税は先送りではなく、きっぱり中止を求めるべきですが、どうか、お答えください。
所得の高い人はより高い税率で、低い人は低い税率で負担する、これが負担能力に応じての原則に立った公正で民主的な税制のあり方ですが、知事の認識はどうか、伺います。
第2は、税金の使い方を切りかえることです。大企業支援や軍事費へのばらまきを続けながら、財源がないと社会保障の自然増削減を初め負担増や給付削減が次々と進められています。中でも軍事費は4年連続で拡大し、今年度当初予算で初めて5兆円を突破するなど、戦争法施行のもと、米軍と自衛隊が海外で肩を並べて戦争する体制づくりに邁進しています。海外で戦争するための大軍拡はやめて暮らしに回せは国民の正当な要求ではありませんか、知事の認識を伺います。
第3に、働き方を変えることです。今の日本では低賃金、不安定雇用の非正規労働者が4割を占める一方、過労死や長時間労働が蔓延する異常な働かせ方が横行しています。働く貧困層をなくすことはまさに政治の責任であり、急務の課題となっています。働いても貧困から抜け出せない、その根本には最低賃金が余りにも低過ぎることがあります。千葉県の最低賃金は時給817円です。仮に千葉県で所定労働時間の平均である月155時間働いたとしても月額13万円弱、年収で150万円程度です。これでどうやって暮していけというのか、これが人間らしく暮らせる賃金と言えますか、知事の認識を伺います。
経済の立て直しの中心軸は、GDPの6割を占める個人消費、家計を応援することです。経済のかじ取りを大企業応援から国民の暮らし最優先へと大きく切りかえるべきときと思いますが、知事の見解はどうか、お答えください。
次に、公共施設統廃合計画についてです。
千葉県は、国が決めたインフラ長寿命化基本計画に沿って、ことし2月、千葉県公共施設等総合管理計画を策定しました。この計画は、県が保有する全ての施設が対象で、計画期間も今年度から30年間という大がかりなものとなっています。国の基本計画は、生産性の高い国土づくりという経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針や国土のグランドデザイン2050などで、東京圏を中心に世界と戦える国際経済都市を再構築するために、地方の拠点都市を中心にフルセット行政を解体し、公共施設再編を推し進めようとしています。しかも、そのやり方は民間の資金とノウハウを活用し、公共施設の集約化や複合利用、集約後の余剰地売却、再投資など民間のビジネス機会を拡大するというものです。もちろん県有施設のあり方を長期的視野で検討するのは当然のことですが、県が打ち出した方向は県民の生活や権利、置かれている状況から出発したものではなく、国の大方針のもと、コスト削減と民間の利益最優先が貫かれたものとなっています。こうした国の方針は拒否するとともに、公共施設の今後は地域住民の生活や文化、暮らしの豊かさを向上させることを基本に住民合意で策定されるべきです。お答えください。
個々の施設ごとに見ても、県の計画は国の方針を無批判に反映したゆがんだものとなっています。例えば県立乳児院は民間施設が新設されることを前提に廃止の方針が打ち出されています。しかし、虐待がふえ、子供たちの置かれている状況は複雑かつ深刻になっているとき、経営優先で考えなければならない民間の乳児院をカバーする役割を担う県立乳児院の存在意義はますます大きくなっていると思いますが、どうか、お答えください。
しかも、数自体も足りません。県管轄の乳児院は定員88人に79人が入所し、一時保護も7人受け入れており、余裕がありません。いかなる事態にも対処できるよう、県立乳児院は存続させるべきです。答弁を求めます。
県営住宅も貧困の広がりを反映して役割は大きくなっていますが、4月の応募倍率は最も高い団地で162倍、県全体の平均も8.1倍と極めて入りづらくなっています。その要因は募集戸数が211戸しかないことにありますが、県はさらなる管理戸数の縮減を掲げています。しかし、県民の暮らしの実態に応えるためには縮減ではなく、県営住宅の新設増設こそ進めるべきです。お答えください。
雇用がここまで悪化しているのに高等技術専門校の施設の集約化が検討され、県立博物館や自然公園、海浜公園、県立公園も廃止や移譲が浮上しています。県民の雇用を支え、文化を広め、県民の願いに応えることをまるで放棄しているかのようです。県は広域行政として広い視野から暮らしの豊かさを支えるべきですが、どうか、お答えください。
その一方で、県は幕張メッセやかずさアカデミアホールなど、鳴り物入りで進めてきた巨大開発の中心施設は毎年数億円もの赤字が出ているのに現行のまま存続とされています。メッセの利用率は46%で、東京ビッグサイトの74%やパシフィコ横浜の79%と比べても格段に低くなっており、赤字の穴埋めに379億円も税金が投入されてきました。かずさアカデミアホールも4億円を超す指定管理料を支払っているのに7,000万円程度の収入しかなく、かずさ構想の破綻の象徴となっています。こうした施設こそ、廃止を含めた抜本的な方針検討が必要ではありませんか。それをほとんど自動的に存続を決めるのでは県民の納得は得られないと思うが、どうか、お答えください。
こうした中、千葉県行徳野鳥観察舎廃止の見直しを求める運動が広く起こっています。行徳野鳥観察舎は1976年、宮内庁の鴨場と一体になっている行徳近郊緑地特別保全地区の一角に開設されました。周辺には湿地が広がり、日本産鳥類の半分に当たる約300種もの水鳥が確認されています。野鳥の観察施設として全国初とも言えるもので、関係者の中で知らない人はいないと言われるほどの施設です。2階と3階に設置されている望遠鏡の数も44台で、全国最大規模だと専門家は指摘しています。野鳥の観察機能と湿地の管理機能、傷病鳥の保護回復機能など総合的な役割を担い、観察に来た人の休憩場所や学校の観察会など、子供たちが自然や野生を学べる貴重な施設となっています。観察舎が持っているこうした役割について県はどう認識しているのか、伺います。
今、野鳥観察舎を廃止させるわけにはいかないと、行徳野鳥観察舎の存続を求める署名が取り組まれ、その数は既に何と2万人を超えています。市川市長も、引き続き県有施設として維持管理することを求めています。現在は耐震強度不足で一時休館となっているものの、地震対策を施して早く再開してほしいというのが多くの県民の声です。県はこの声に応えるべきです。御答弁ください。
廃止の理由として、県は運営費や老朽化に伴う補修費用とともに利用者の減少を挙げていますが、利用者数はここ数年、少しずつふえており、廃止の理由にはなりません。先日の行政改革審議会の答申で、酪農のさとは関係機関でワーキンググループや外部有識者の会議で検討した結果、行徳野鳥観察舎と同じ施設のあり方検討の区分から有効活用策検討区分に変わり、存続充実へとかじが切られました。野鳥観察舎でも関係者の検討会を開催して方針に反映させるべきではありませんか。施設のあり方は経済効率だけで判断するのではなく、自然環境の保全や文化的な役割をきちんと評価して存続させるべきです。答弁を求めます。
そもそも公の施設とは住民福祉を増進するためのものであり、自治体としての役割を体現している存在です。それをコスト最優先で切り捨てれば、自治体が自治体でなくなり、民間営利企業のもうけを支え、企業に奉仕するだけの存在になりかねません。抜本的な方針転換を求めるものですが、どうか、お答えください。
次に、深刻化する保育所の待機児童問題について伺います。
この間、保育園落ちたというブログをきっかけに、多くのお母さん、お父さんが保育園落ちたの私だと声を上げています。県内でもことし3月、市川市の1歳3カ月の子供を持つお母さんが認可保育所にことごとく落ち、認可外保育所にも片っ端から当たったものの全て断られ、結局、市川市から引っ越しました。仕事をやめたり、育児休業を目いっぱいまで延長したり、夫の田舎へ引っ越したり、県内でも保育園落ちたの私だの叫びがいっぱいです。知事にもこうした声が聞こえていますか。保育所のために引っ越さざるを得ないほど追い詰められている深刻な事態をどう受けとめているのか、まずお聞かせください。
保育所に入れない待機児童数は、昨年4月1日時点で全国では約2万3,000人から10月1日時点では4万5,000人へ、県内でも約1,600人から3,200人と2倍にふえています。昨年度から国の子ども・子育て支援新制度が始まり、保育所の定員も確かに数はふえていますが、待機児童は解消されるどころか一層深刻化しています。県の新次世代育成支援行動計画では、2019年までに待機児童の解消を目指しますとしていますが、これではとても達成など望めません。
そこで伺います。県は2019年までに待機児童の解消を目指すという目標をどう達成するのか、はっきりとお答えください。
この間、政府がやった待機児童解消対策は、まともな対策とは言えません。解消に向けて何が重要なのか。
第1は、待機児童の正確な掌握です。政府は待機児童の定義、数え方を変え、殊さら数を小さく見せるために苦心してきました。希望していた認可保育所に入れなかった子供全てを待機児童と数えるのをやめました。第1希望に落ちて、やむなく認証保育所など、自治体が助成する認可外施設や小規模保育、長時間預かりをする幼稚園などに入った場合は待機児童ではないことにしました。第2、第3希望どころか、どこも入れず、育児休業の延長でしのいだり、あるいは求職活動そのものをやめてしまった場合も待機児童としてカウントしないことにした。都合よく定義を変更し、数字上、待機児童数を減らしてきたことが実態をより見えなくしてきたのではないですか、お答えください。
その結果、いわゆる隠れ待機児童が大きな社会問題となりました。厚労省は、この春初めて隠れ待機児童が昨年4月1日時点で全国で約6万人に及ぶことを発表しました。これは特定の保育所等を希望、育児休業中など、従来は外していた幾つかの項目を加えたもので、千葉県でも隠れ待機児童は2,192人もいたことが判明しました。しかも、この数にも入らない実質的、潜在的な待機児童が多数存在していることは間違いないとの関係者の指摘もあります。隠れ待機、潜在的な待機を含む正確な待機児童数の把握は、この問題を解決する大前提ではありませんか。県として、国基準の待機児童の定義にとらわれず、市町村の保育需要を正確に掌握すべきです。希望する保育所を申し込んだが入れなかった全ての児童数、育児休業中の人、保活そのものを諦めた人も含めた隠れ待機児童数、潜在的な待機児童数を独自に調査すべきです。お答えください。
第2は、そうした正確な保育需要の掌握をもとに、きちんとした保育所の整備計画をつくり実行することです。昨年4月段階では、国基準の待機児童と隠れ待機を合わせれば、県内では3,838人が保育所に入れなかったことになりますが、例年10月1日時点では待機児は4月の約2倍になること、さらに潜在的な待機児を含めれば、少なくとも1万人以上の緊急的な整備が必要です。圧倒的多数の方たちが希望しているのは認可保育所です。安心して子供を預けたいという願いに応えるために、待機児童の解消は従来の認可保育所の整備によって図ることを基本にすべきです。公有地の活用を市町村に積極的に促すとともに県単独の補助金を増額するなど、認可保育所の増設のために思い切った手だてをとるべきではありませんか。
第3は、保育の質を低下させる規制緩和はあってはならないことです。政府は待機児童解消に向けての緊急対策を発表しましたが、小規模保育の定員を超えての受け入れや保育士配置基準の緩和を自治体に求めるなど、規制緩和によって既存の施設に子供たちを無理やり詰め込むものにほかなりません。また、この4月に厚労省の一部改正省令によって保育所等の最低基準が引き下げられ、朝と夕方など、最低2人配置する保育士のうち1人は保育士資格がなくてもよいとされました。こうした規制緩和がいかに危険か。昨年1年間に、全国で保育施設での死亡事故は14件起こっていますが、そのうち保育士の配置基準が義務づけられていない認可外施設での事故は9件に上ります。この3月にも、保育士資格がない職員が保育をしていた東京の認可外施設で、1歳児がうつぶせ寝によって死亡する事故が起こりました。今回の最低基準の引き下げによって、さらなる保育の質の悪化を招くのは明らかです。保育士の専門性を否定し、子供たちの命を危険にさらす、こうした規制緩和は行うべきではないと思いますが、どうか。
最後に、保育の質を確保するためには保育士不足を解消することが不可欠です。70万人以上の潜在保育士がいる一方で、2015年10月時点で保育士の有効求人倍率は全国で1.93倍、県内で2.11倍に上っています。その最大の要因は、保育士の賃金が全産業の平均より月額約10万円も低く、劣悪な保育士配置基準や詰め込みにより過酷な労働が強いられていることにあります。県内でも深刻です。保育士の配置基準を実態に見合ったものに見直すよう国に求めるとともに、県として保育士配置改善事業を拡充させて独自に抜本的な処遇改善を図るべきです。お答えください。
次は、教員の多忙化解消についてです。
今、学校現場からは、忙し過ぎて授業準備の時間が足りない、子供と向き合う時間がないと悲鳴が上がっています。教える内容がふえ、国や教育委員会などへの報告書も多過ぎる、保護者への対応や部活指導など、長時間過密労働の中で精神を病む先生が県内でも毎年200人前後と深刻です。多忙化は教員の健康に支障を来すばかりか、子供に重大な影響を与えます。一部に教員の仕事は特殊だからという声もありますが、だからといって、健康を害したり、最悪過労死など、あってはならないと私どもも繰り返し求めてきました。近年、ようやく国も県も多忙化の改善を言い始めましたが、問題はその中身です。
県教育委員会は4年前から多忙化対策検討会議を設置して、教員一人一人の仕事のやり方や意識の改革が必要だとしています。しかし、それで解決できるのか。多くの教員は睡眠時間を削り、早朝から夜遅くまで、あるいは家に持ち帰り、休日も返上して頑張っています。県教委は教員に、授業準備に時間をかけずに時短を目指せなどと呼びかけ、県ホームページに掲載の授業レシピを検索するよう促しています。しかし、教員にとっては授業は命です。レシピや手引があれば、それで事足りるということではなく、日々一人一人の子供を思い浮かべ、どうしたらわかる授業、楽しい授業ができるかと努力を重ねています。こうした授業準備を十分に保障することこそ県教委の責任ではありませんか。県教委は、教員が忙し過ぎるのは教員の仕事の段取りが悪い、授業準備に時間をかけ過ぎる、努力が足りないからだという認識なのか、お答えください。
本気で多忙化を解消するためには、前提となる勤務時間の客観的で正確な把握が必要不可欠です。この間、県教委も調査していると言いますが、毎年、小学校はわずか31校から、中学校では13校から抽出で校長から聞き取るだけで、正確に把握したとは言えないではありませんか。お答えください。
県立学校についてはどうか。2015年度の多忙化対策検討会議の資料によれば、全日制高校における教員の1日の平均残業時間は1時間49分としていますが、これは校長、教頭らの目視によるものとの説明です。しかし、目視となれば、毎日、管理職は誰よりも早く登校し、どの先生が何時まで残業したのかを見届け、毎日、一番最後に帰宅しなくてはならず、実際には非現実的です。そんなやり方では実態とかけ離れた数字になることは必然ではありませんか。管理職の目視などという曖昧なやり方では、超過勤務の実態をきちんとつかむことはできません。教員一人一人の勤務時間の実態を正確に捉える手だてを緊急にとるべきです。お答えください。
まともな調査をしていないから、県教委は過労死ラインと言われる月の残業時間が80時間以上の教員は何人か、100時間以上はいないのか、その人数さえつかんでいない、それでよしとしており大問題です。労働安全衛生法第66条では、80時間以上の超過勤務となれば、医師に健康チェックを受ける必要があると規定していますが、それすら守られていない。即刻改善すべきです。答弁を求めます。
次に、教員の多忙化の原因の1つとも言われ、今、社会的な関心事でもある部活動の指導についてです。部活動の意義は重要ですが、顧問の教員の善意によって成り立っている現状もあります。この間、全国で部活顧問をするかどうかの選択権を教員に与えてほしいとの署名が1万6,000人分も集まり、改善を求める動きが始まっています。
千葉県の県立高校勤務の若い女性教諭は、通常の仕事をしながら、土日もなく陸上部の顧問として練習や競技大会に頑張った、年間通して休んだのは風邪でダウンした1日だけと話しています。また、野球部顧問の男性教諭は、平日は夜7時過ぎまで練習、土日・祝日は朝早くから夕方まで練習試合、4月から11月までで130を超える試合をしたが、勝ちたい、勝たせたい、でも体はくたくた、板挟みの毎日ですと話しています。自分の学校だけ土日に部活をやめたら、子供や親の期待に応えられず無理をしてしまうと、少なくない教員は感じています。
今、部活動のあり方が問われています。そもそも部活動とは、学習指導要領にも課外活動として位置づけられていますが、あくまでも教育活動の一環です。運動部の場合、勝つことだけを目的としたり、勝ち負けで評価されるようなことはあってはなりません。適切な休養は教員にとっても、成長期の子供たちの健康面にとっても必要です。例えば全県一斉に土日・休日のノー部活デーを設けるなど、それぞれの学校任せにせず、県教委がイニシアチブを発揮するべきだと考えますが、いかがですか、御答弁ください。
最後に強調したいことは、教員の多忙化を解決する根本的な手だてはやはり教員の増員だという問題です。現在、学校の教員配置は余りにもゆとりがなく、多忙化を常態化させています。驚くのは、精神疾患などで長期の療養休暇をとる先生の代替が来ないことです。昨年度、松戸市のある小学校では何と1年間も、また、習志野市の小学校では2カ月半もの間、先生が来ませんでした。そのために、両学校とも教務の先生が担任として入り、教務と担任を兼務し、倒れる寸前であったと先生たちは訴えていました。また重大なのは、毎年4月当初、教員の数が定数に満たず、先生が不足したまま新学期を迎える学校があることです。今年度は何と25校にもなり、異常事態です。担任の先生がいない状態では子供への影響は甚大で、教員の負担ははかり知れず、県教委の責任は極めて重いと考えますが、どう自覚していますか、お答えください。
多忙化を改善するためには少人数学級を進めるなど、教員定数をふやすことです。今こそ国の定数を口実にせず、県単独で教員を採用し増員を図るべきですが、どうか、伺います。
次に、重度障害者医療費助成制度について伺います。
昨年8月、県は償還払いから現物給付へと変更し、医療費の全額立てかえ払いから窓口無料へと制度を改善しました。20年来の悲願の実現、粘り強い県民運動の成果であり、医師会初め多くの団体から待たれていたものです。しかし、このときに県は2つの改悪を持ち込み、障害者に耐えがたい痛みを押しつけました。通院1回、入院1日300円の一部負担金を導入し、新たな障害者手帳取得者の中で65歳以上の高齢者は制度の対象から外しました。昨年6月県議会でも、改悪中止を求める2万6,000筆の怒りの署名が寄せられています。実施後10カ月、何が起きているのか。
まず第1に、300円の一部負担金導入です。例えば松戸市に住む82歳の男性は、重い心臓病でぺースメーカーを入れ、糖尿病と骨髄腫がんを患っていますが、これまでは医療費が償還払いとはいえ、無料でした。ところが、去年8月から毎回窓口で300円を支払うようになり、毎月5,100円、年間6万1,200円もの新たな負担が発生しました。今では身体の硬直を和らげるための週3回の訪問マッサージ治療も回数を減らしている、真夏のエアコン使用や家の床修理も我慢している、無料に戻してほしいと訴えています。
県は、現物給付で利便性が向上した。だから受益者負担だと言いますが、そもそも福祉に受益という考え方自体、相入れません。実際に受益どころか、逆に受診を減らし暮らしを削り、障害者に不利益を押しつけているではありませんか。しかも、利便性向上と言いますが、医療費請求の手間が省けただけで、なぜ障害者がお金を払わなければならないのですか、お答えください。
また、県は制度対象外の人との公平性の観点から、子ども医療費と同様に一定額の負担を求めるなどと言いますが、一般に回復力のある子供と、この男性のような幾つもの病気をあわせ持ち、継続的な治療が必要な重度障害者とを同列視して公平性を論じること自体、改めるべきです。専門家も、重度障害者の場合、手おくれになれば命にかかわる。医療費負担増は受診抑制につながり軽視できないと厳しく指摘しています。今まで無料だったのものが有料になり、その結果、受診抑制となり、障害者の命や健康が脅かされても仕方がない。それが県の言う公平性ということなのですか、お答えください。
第2に、65歳以上の高齢者を重度障害者医療の対象から外したことです。例えば千葉市に住む80代の男性は、昨年10月、脳梗塞で倒れ現在も入院中で、初めて障害者手帳を取得しました。しかし、無料で済む重度障害者医療費助成制度から外されて後期高齢者医療制度の1割負担となったため、1カ月4万4,000円、半年で26万6,000円もの医療費がかかるようになりました。医者代が大変で治療が続けられない、年寄りの障害者は早く死ねと言われているのと同じだと訴えています。県はこうした深刻な実態を知っていますか、きちんと調査し把握していますか、お答えください。
千葉県障害者差別禁止条例は不当な差別的取り扱いを禁止し、制度等の障壁、バリアの解消を明記しているではありませんか。県が重度障害者医療費助成制度の対象を65歳という年齢により制限するこうしたやり方は、この県条例に背くものではありませんか、お答えください。
県の重度障害者医療費助成制度の要綱は、制度の目的を健康福祉の増進と医療費負担の軽減を図るとしていますが、一部負担金導入も高齢者外しも新たな負担増となり、要綱の目的に反しています。改悪はやめるべきです。お答えください。
この質問の最後は、精神障害者を制度の対象からいまだに外している重大問題についてです。20代後半で重い鬱病になった36歳の女性は、毎月数万円程度の収入から医療費が約1万5,000円近くもかかり、厳しいとの訴えでした。鬱病治療に関しては自立支援医療が適用され、彼女の場合は毎月2,500円が上限です。しかし、その他の医療は全額3割負担になってしまうからです。精神障害者は、長期間服用する強い薬の副作用で内臓その他の病気の発症率が高いと言われ、実際、彼女の場合も胃腸炎で内科、メニエル病で耳鼻科、アレルギーで眼科、湿疹で皮膚科等、多くの治療が必要です。私どもが懇談した千葉県精神障害者家族会連合会の方たちは、身体障害者の約半数、知的障害者の4割が県制度を受給している。私たちも早く他障害並みに助成してほしいと訴えていました。これは当然の願いなのに県はなぜ応えないのか、理由をお聞かせください。障害者基本法や障害者差別禁止法では、身体、知的、精神の3障害がきちんと位置づけられています。精神だけ外すのは差別ではないですか、はっきりお答えください。
県は、市町村の意見が分かれており、県内や他県の状況を踏まえ慎重に検討などと逃げてきました。しかし、全国では既に半分以上、27の道府県が助成し、関東近県でもあと栃木と千葉だけです。県内アンケートでも精神を加えるべきと回答した市町村のほうが多く、県内6つの市が実施しています。もはや市町村の意見の違いを引き合いに出し、それを口実にしてやらないなど認められません。まず県が実施して市町村に広げる、これが県の役割ではありませんか。
直ちに精神障害者を助成対象にすべきです。知事の答弁を求めます。
最後に、私の住む松戸市で起きているパチンコ出店計画について伺います。
松戸市松戸新田・和名ケ谷地域は、松戸市消防局千葉北西部消防指令センターを初め学校、病院、プールなどがあり、急増したマンションには若い子育て世代があふれ、市内有数の人口密集地となっています。ところが、同地域内の工場跡地に突然地上6階建て、高さ23.5メートル、1,000台の遊戯台と630台の駐車場を持つ市内最大級のパチンコ出店計画が浮上し、子供が市内でも特に多いこの地域からは強い反対の声が噴き出しています。そこで県行政にかかわり、幾つか伺います。
第1は、千葉県風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例に違反があってはならないという問題です。例えば県条例では、70メートル圏内に病院があればパチンコ営業の許可は禁止しています。この場所は、事業者が配布したパチンコ計画地の敷地からすぐ近くの病院建物がある敷地までの距離は65.27メートルしかなく、さらに手前の専用駐車場も敷地となることから、もっと距離が縮まることが判明しました。住民や松戸市はこの距離について、警察に県条例に違反がないか問い合わせしましたが、警察は、営業許可は建物も完成させ遊技台も全部入れてから、最後の最後に申請されて許可、不許可が判断される、まだ営業許可申請は出ていない、何にもお答えできないなどと一切回答を拒否し続けています。そんな姿勢でよいのですか。
お手元にお配りした資料のとおり、事業者は住民説明会で、警察と事前に協議して、県条例の70メートル規制は大丈夫だと答えています。そして、事業者はこのときの議事録を市長に提出し、市条例に基づく手続を着々と進め、6月1日から既に着工と住民に配布をしています。この事業者は、営業許可に向けて警察と非公式に接触、あるいは協議していると誰もが思うのではありませんか。事業者と警察は事前に協議している、これは事実ですか、正直にお答えください。
今回のように、住民や関係自治体から県条例にかかわる明らかな疑念が持たれている場合は、県警はきちんと見解を示し、住民の不安の解決に当たるのは当然ではないですか、お答えください。
第2は住環境の悪化、とりわけ、この計画地が通学路に接している問題です。住宅地へのパチンコ店出店によって、防犯や青少年への影響、交通事故増加、さらなる道路渋滞など、心配の声は多数ありますが、中でも通学路の安全に対する不安は強いものがあります。計画地は、3方向から通学路が集中する和名ケ谷スクランブル交差点の真ん前で、斜め前には駐車台数244台の大型ホームセンターが年内同時オープン予定ですから、最大で874台の車がふえることになります。通学路は安全第一、子供たちが万が一にも犯罪や事故に遭うなど、あってはなりません。県教委は教育上、安全上、こうした事態についてどう認識しているのか、答弁を求めます。
全国では、通学路の安全性や防犯上から、パチンコ店出店に際してさまざまな規制を行っています。例えば大阪狭山市では通学路の両側おおむね100メートル以内は禁止し、兵庫県芦屋市では学校や病院、駅から200メートル以内は禁止にしています。千葉県も県条例を改正し、通学路に接したパチンコ出店営業は禁止するなどの対策を講じるべきです。見解を伺います。
第3は、県民、地元住民から寄せられた疑問も不安も、大事な問題は何一つ解消されないまま粛々と営業許可をおろしていいのかという問題です。現在、パチンコ出店計画から子どもと住環境を守る会が結成され、市長、知事、県警本部長宛てに6月3日現在、わずか1カ月で2,680筆の署名が寄せられ、5月12日付の朝日、東京、千葉日報など新聞各紙が報道しています。本県議会にも請願が提出されます。県として、県民からの疑問や不安にきちんと応えるべきです。そうした仕組みを県条例に盛り込むべきですが、どうか、お答えください。
今回の計画については十分な協議も理解もないまま、民意を無視してパチンコ店の営業許可に突っ走ることのないよう強く要望します。
以上、第1回目の質問といたします。